トヨコーの将来性は?特許技術「CoolLaser」で挑むインフラ再生最前線

株式情報 日本株 新規上場(IPO) 2025.05.14

峯岸恭一 峯岸恭一

日本全国で橋やトンネルといった社会インフラの老朽化が深刻化する中、今注目を集めているのが2025年3月に東証グロース市場に上場した【341A】トヨコーという企業です。

 

同社は、特許取得済みのレーザー技術「CoolLaser」を用いて錆を非接触で除去し、インフラを再生するという独自のアプローチを確立。
建設業に分類されながらも、典型的なゼネコンとは異なる成長性を有しています。

 

そこで本記事では、このCoolLaser技術の実用性や競争優位性、さらにはトヨコーの中長期の成長性と今後の株価見通しを、アナリストが分かりやすく解説します。

 

錆をレーザーで一掃!トヨコーの「CoolLaser(クーレーザー)」とは?

 

トヨコーは現在、「SOSEI(ソセイ)」と「CoolLaser(クーレーザー)」という2つの主要技術を展開しています。

「SOSEI」は、老朽化した屋根にスプレーコーティングを行い再生する技術、「CoolLaser」は、橋梁の錆などをレーザーで除去する技術です。

 

現在は「SOSEI」がトヨコーの売上高を支えていますが、成長性の高さから注目が集まっているのは「CoolLaser」の方です。
「CoolLaser」とは、老朽化した橋梁や鉄塔などのインフラ構造物の錆や塗膜を効率的に除去するための革新的なレーザー技術です。

 

「CoolLaser」は、従来の技術にはない以下のような特徴と強みを有しています。

 

・高出力レーザーによる迅速な除去
 CoolLaserは、最大6kWの高出力レーザーを使用しており、従来の方法では困難だった厚みのある錆や塗膜を高速で除去できます。

 

・環境負荷の低減
 従来のブラスト工法と比較して、CoolLaserは粉塵の発生が少なく、産業廃棄物の削減にも寄与します。

 

・作業効率の向上
 レーザー照射による錆や塗膜の除去は、従来の方法よりも作業時間を短縮し、効率的なメンテナンスを可能にします。

 

・作業環境の改善
従来の工法に比べて作業時の粉塵や騒音が少ないため、作業者の負担が軽減されます。

 

国土交通省の準推奨技術に選定!成長加速に期待。

 

「CoolLaser」のこうした強みには、国も太鼓判を押しています。
2025年4月には、国土交通省の令和7年度準推奨技術に選定されて、注目を集めたのです。

 

国の新技術データベース(NETIS)に「準推奨技術」として登録されると、その技術を使った工事は、公共工事の入札で有利になります。
つまり、建設会社が「CoolLaser」を採用すると入札で点数が加算され、仕事を取りやすくなるというメリットが生まれたのです。

 

さらに従来の方法では、工程別に機材の入れ替えが必要でしたが、「CoolLaser」を使えば一気通貫で作業ができます。
使いやすさの面でも大きなメリットがあるため、今後ますます利用が広がる期待が高いです。

 

現在は、橋梁の補修や鉄塔の白錆除去に使用されていますが、今後はコンクリート構造物の表面処理への応用も期待されています。
屋外用かつ高出力というのは独自性の高い技術であり、開発が困難であることから、容易に他社に真似されないという強みもあります。

 

売上構成比は3%から85%へ。CoolLaserがけん引する将来性

 

トヨコーの売上高に占めるCoolLaserの比率は、2024年3月期でわずか3%でしたが、翌25年3月期第3四半期時点で21%に上昇。
さらに、2030年3月期には85%を目指しています。

 

というのも、「鉄と酸素があれば、あらゆる構造物はサビによる腐敗が生じる」ため、CoolLaserがターゲットとする市場は非常に広大です。
前述したような強みを武器に、この広大な市場を取り込んでいくのが同社の計画なのです。

 

トヨコーの株価はどうなる?好業績に期待感

 

【341A】トヨコー 日足チャート 2025年3月28日~5月14日
※TradingView(https://jp.tradingview.com/)のチャートを使用しています。

 

トヨコーの株価は、3月末に上場した後、順調に上値を伸ばしたものの、CoolLaser技術の準推奨技術選定により一段高となった後は利確売りに押される場面が見られました。
ただ、その後5月7日に大型案件を中心とした工事の順調な進捗などを要因に、25年3月期の業績予想を上方修正。
これを好感した買いが強まる場面も見られています。

 

今後については、5月14日の上場後初めての本決算を受けた反応に注目が集まります。
好決算に期待が高まりますが、公開価格の730円の2倍近く、PBRも14倍台まですでに上昇しているため(2025年5月13日時点)、一定程度の期待感は株価に織り込み済みでしょう。
決算発表を受けて好材料出尽くし感が台頭し、一時的に株価が下落する可能性に注意が必要です。

 

一方で、売上高が順調に伸びている上に、研究開発費率が減少傾向にあり、今後は利益が急拡大するタイミングを迎える可能性が高いです。
「CoolLaser」の技術的有意性によって、順調にシェアを伸ばすことができれば、業績も株価も長期的に大きく伸びていく期待ができます。

 

まとめ|CoolLaserが切り拓く、次世代の社会インフラ保全

 

トヨコーは、特許技術「CoolLaser」を核に、老朽インフラ再生というニッチかつ成長性のある分野で競争力を持つ企業です。
インフラの老朽化が進むなかで、予防保全の重要性は今後ますます高まることが予想されます。

 

現時点では決算待ちで様子見の局面ではあるものの、中長期的には有望な成長ストーリーを描ける銘柄として、注目してみてはいかがでしょうか。

 

株式情報 日本株 新規上場(IPO) 2025.05.14

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この記事を書いた人

峯岸恭一

日本投資機構株式会社 データアナリスト
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本ディープラーニング協会認定ジェネラリスト(G検定)
日本投資機構株式会社 データアナリスト
テクニカルアナリスト(CMTA®)
ジェネラリスト(G検定)

総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計等をもとに銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活動の幅を拡げている。

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