【日産自動車】営業利益99%減!その原因とは?
株式情報 日本株 2024.09.01
8月の決算期が過ぎ、大手自動車メーカーの第一四半期決算が出揃いました。
多くの完成車メーカーが円安の恩恵を受け、増益を達成している中、日産自動車が99%もの大幅な減益となっているのをご存じでしょうか。
この決算を受けて、日産の株価は決算発表後に大幅に下落し、8月初めの市場環境の悪化も重なって、株価はコロナショック以来初めて400円を割り込みました。
今回は、日産の減益要因と今後の株価動向について解説していこうと思います。
目次
日産の減益要因
原因はズバリ、販売競争に負けないためにインセンティブを多く支払ったことです。
こちらは、日産の決算資料にある「営業利益増減分析」です。
販売パフォーマンスが足を引っ張っているのがわかると思います。
そして内訳を見てみると「販売費用/価格改定」の項目が-778億円で、一番の減益要因のようです。
これは北米での販売競争の激化とモデルチェンジの出遅れが主な要因です。
日産は主力モデル、ローグの24年モデルの開発の販売が遅れたことにより
依然として23年モデルの在庫を処理している状態でありました。
他社の24年モデルが競い合っているなか、23年モデルの在庫を販売するために日産が取った手段は、インセンティブの上乗せです。
インセンティブとはディーラーに支払う販売奨励金やディーラーに対して便宜をはかる販売奨励策などのことを指します。
低金利での自動車ローンの斡旋や、購入者へのキャッシュバック、保証期間の延長などさまざまです。
つまり、資金を使い様々な特典などを付与することで、販売台数を伸ばす作戦です。
ですが、特典分の費用がかかるため利益率は低下してしまうんですね。
そんな諸刃の剣であるインセンティブの上乗せを行った影響で、営業益が大きく減ってしまったんですね。
日産の今後の見通し
インセンティブの上乗せによる薄利多売戦略。
日産は在庫処理のために、第2、第3四半期も同様の戦略を取る方針を発表。
今後も期初予想より多くの販売費用がかかる見通しです。
質疑応答では「第3・第4四半期から多くのプレミアムモデルが発売されるため、好業績が期待できる」と述べていますが、これは楽観的な見方かもしれません。
現状の日産は販売奨励策などをとり実質的に値引きを行って販売しており、「価格」で勝負している状況です。
しかし、高利益率が期待できるプレミアムモデルでは「価格」ではなく「車の魅力」で戦うことになります。
「価格」から「車の魅力の」の土俵に移るとなると「トヨタ」や「ホンダ」を始めとしたメーカーと正面からぶつかる形になります。
実は日産は2017年頃にも北米での競争が激化した際にインセンティブ上乗せによる薄利多売商法をしていた時がありました。
そして2019年ごろにも新車投入を行い、利益率改善を行おうとしました。
結果としては、販売台数が想定より減少して減益に。
まさに今回と同じような状況で、同じ様な戦略をとったことがあるわけです。
もちろん、今回販売するプレミアムモデルが非常に魅力的であり、販売台数を維持または増加させることができれば、業績は改善する可能性がありますが、それは容易なことではありません。
販売台数が大幅減少となれば2019年の様に大きく株価が下落する可能性が高く、軟調な推移が継続していくと見ています。
まとめ
現在、日産の株価はPBRなどの指標から見ると依然として安い価格帯にあります。
しかし、業績の回復が見込まれるまでの間は、手を出すのは控えた方が賢明でしょう。
大きな下落があった後は、銘柄を安く仕込むチャンスですが、闇雲に仕込むのではなく、今後の見通しを確認してみましょう。
資産運用はギャンブルではありません、賢明に立ちまわって資産を増やしていきましょう。
株式情報 日本株 2024.09.01
この記事を書いた人
日本投資機構株式会社 データアナリスト
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本ディープラーニング協会認定ジェネラリスト(G検定)
日本投資機構株式会社 データアナリスト
テクニカルアナリスト(CMTA®)
ジェネラリスト(G検定)
総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計等をもとに銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活動の幅を拡げている。
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