【9月19日~20日に会合】利上げ停止はいつから?FOMCの意思決定

投資戦略 世界情勢 マーケットニュース 相場展望 2023.09.10

遠藤 悠市 遠藤 悠市

9月19~20日に予定されているFOMC(連邦公開市場委員会)について、市場では金融政策の変更がないとの見方が大方となっています。

9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、利上げの有無に加えて、FOMC参加者らの政策金利見通しが引き上げられるのかが注目されます。

 

9月FOMCに対する市場の見立ては

 

 

米国の消費者物価指数は6月の前年比+4.8%から7月は同+4.7%に低下し、前月比ベースでは2ヵ月連続で+0.2%と低めの伸びにとどまりました。

 

足元のインフレ率の低下から、米連邦準備制度理事会(FRB)の見通し達成確度はやや高まったと考えられます。

 

一方で、4~6月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.4%と、潜在成長率を上回る伸びとなりました。現状、明確な景気減速の兆候はなく、米国景気の好調に大きな変化が見られません。この結果から、米連邦準備制度理事会(FRB)にとって、更なる利上げは不要としても、利下げに転じることは難しいと考えられています。

 

また、9月5日には、FRB理事であるウォラー氏がCNBCとのインタビューで、「近いうちに何らかの措置を講じる必要があるということは何もない」と述べています。

 

「差し迫ってすぐに何かをする必要があると示すものは一切ない」と発言し、次回のFOMC(連邦公開市場委員会)会合で金利据え置きを支持することを示唆しました。

 

このことから、9月FOMCでの利上げは無いということが市場の見立てとなっています。

 

注目されるのは「政策金利見通し」

 

FRBの利上げサイクルは最終局面にあるとみられ、利上げ終了後にどれだけ長く政策金利を維持するかが焦点となるでしょう。

 

6月のFOMCでは、政策金利の中央値は2023年末の5.6%から2024年末には4.6%に低下するという見方が示されました。

 

2024年の利下げ幅が6月のFOMCからどう変化するのかに注目が集まっています。

 

利上げ停止はいつから?

 

ウォラー理事は、非常に慎重になり、この軌道に沿ってインフレが数ヶ月続くのを見てからにしたいとの認識を示しており、「今後数ヶ月間、インフレ率を月次で 0.2%程度のペースで下げ続けることができれば、我々はかなり良い状態にあるだろう」と発言しています。

 

米商務省が毎月末に発表している個人消費の物価動向を示す指標(価格変動が激しい食品とエネルギーを除いたもの)であるコアPCEデフレータが、今後、2~3ヶ月前月比+0.2%程度で推移することができれば、年末頃には明示的な利上げ停止が行われる可能性があると考えられます。

 

「政策金利見通し」が株式市場に与える影響

 

一般的には、金利が下がると株価は上がり、金利が上がると株価は下がる傾向があります。

 

・金利が低下すると

企業は資金を借りやすくなり、設備投資など事業拡大が可能となるため、企業の売上が増え社会全体の景気が良くなる可能性があり、株価を上げる要因となります。

 

・金利が上昇すると

資金調達の際に高い金利を支払わなければならないため、借り入れ需要が減少する可能性があります。また、資金を借りて投資したとしても、金利以上の利益を出せる見込みがないケースもあり、事業拡大が見込まれず経済が全体的に不活発になり、株価を下げる要因となります。

 

この関係から考えると、2024年の利下げ幅が6月のFOMCから大きくなっていれば、株式市場にとってはプラス要因、逆に小さくなっているもしくは、2024年の政策金利見通しが引上げられている場合は株式市場にとってマイナス要因となるでしょう。

 

9月19〜20日会合での追加利上げ予想

 

9月19〜20日に開催されるFOMCでの追加利上げは見送られると予想されます。

一方で、米国経済はインフレ率は抑制されていても、景気に明確な減速感が確認できていないのが状況だと思われます。

 

そのため、9月のFOMCでは2023年末の政策金利見通しには変更が加えられない一方で、2024年の政策金利見通しがやや引き上げられる可能性もあるでしょう。

 

この場合、株式市場にはネガティブ要因となりますが、9月のFOMCでの利上げ見送り、2024年の政策金利見通しやや引き上げは事前に織り込まれていると考えられるため、大きな下落には繋がらないと考えられます。

 

ですので、9月のFOMCで大きく構える必要はないと見ています。

2024年の政策金利見通しが大きく引き上げられる以外の理由で大きく下落した場合は仕込みのチャンスになるかもしれませんので、今のうちに買いたい銘柄の候補を絞っておくと良いでしょう。

投資戦略 世界情勢 マーケットニュース 相場展望 2023.09.10

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この記事を書いた人

遠藤 悠市

日本投資機構株式会社 アナリスト日本投資機構株式会社 アナリスト
大学時代に投資家である祖母の影響で日本株のトレーディングを始める。大学時代、アベノミクスの恩恵も受けて、株式投資を投資金30万円で始め4年間で990万円まで資金を増やすことに成功する。卒業後、証券会社、投資顧問会社を経て2019年2月より日本投資機構株式会社の分析者に就任。モメンタム分析を最も得意としており、IPO(新規上場株)やセクター分析にも長けたアナリスト

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