脱炭素社会に向けて銅が足りない!?

マーケットニュース 国内情勢 2023.10.12

峯岸恭一 峯岸恭一

地球温暖化を防ぐために温暖化ガスの排出をゼロにする、いわゆる脱炭素社会に向けて様々な業界で取り組みが行われています。

そんな中、将来的に「銅」の需要が供給を追い越してしまうのではないかという予測が出ているのをご存じでしょうか。

 

今回は、脱炭素社会での銅の重要性と将来的な需給や関連銘柄の展望ついて書いていきます。

 

脱炭素社会での銅の重要性

 

 

銅はベースメタルと呼ばれ埋蔵量と産出量が多い金属で10円玉等にも使われているため、身近に感じる方も多いのではないのでしょうか?

 

そんなものが将来的に不足すると聞いてもピンとこないかもしれません。

 

しかし、実は銅には脱炭素社会のために必要なある特徴があるんですね

 

CO2の排出を大幅に減らすための有効な手段のひとつとして期待されている「電化」というものがあります。

 

石油ストーブなどの化石燃料を使用しているものを、エアコンやエコキュート等の電気式のものに入れ替えることを指します。

 

その電化を進める際に必須なのが「銅」なんですね。

実は「銅」は金属のなかでも「電気を通しやすい」という特徴があります。

 

他にも電気を通しやすい金属はありますが、銅は埋蔵量・生産量が非常に多く加工も安易なため、電気を通す部品としては銅の需要が多いんです。

そのため、電気を使用するものを作るときの材質として重宝されています。

 

脱炭素時代の需給

 

代表的な電化である「EVシフト」や「再生可能エネルギー」には大量の銅が必要になります。

 

銅はEVでエンジンの代わりとなるモーターは勿論、電子機器を繋ぐワイヤーハーネス等にも使用されています。

ガソリン車と比較すると1台当たり3~4倍の銅が必要と言われており、今後のEVシフト本格化に向けて需要は加速度的に増えて行くことが想定されます。

 

また、代表的な再生可能エネルギーである太陽光や風力の発電設備に必要な銅の量は、1メガワットあたり陸上風力発電では5.4トン、洋上風力発電では15.3トン、太陽光発電では7トンと言われており、化石燃料による発電設備と比較すると、4倍の量の銅を使用します。

 

さらに、化石燃料による発電は大型の施設で集約的に電力を作っているのに対して、再生可能エネルギーによる発電は分散的に多くの場所で発電することが多いです。

そのため、作った電力を運ぶための供給網も多く必要になり、電気を作る、貯める、運ぶ、全ての過程で銅の需要があります

 

現在の年間の銅の需要は約2500万トンと言われていますが、2050年には5000万トン以上になるという予測も出ています。

 

銅と関連銘柄の展望

 

電化の流れは全世界的な動きであり、銅の需要が今後減少するとは考えにくいです。

前述の通り、銅は埋蔵量・生産量ともにとても多い金属ですが、電化による需要量の増加はこれを追い抜く可能性が非常に高いです。

 

供給が間に合わなくなると、必然的に価格が高騰するため関連銘柄の株価の上昇にも期待が出来ます。

 

リチウム電池の需要急拡大の影響でコバルトの価格が急上昇した2021年。

 

米国のロックダウン解除後住宅の建築需要が増えた影響で木材の価格が急上昇した2020年のウッドショックでは、資材販売や木材加工を行っている【7426】山大が21年4月の始値770円から23日に1672円を付け、木材建材の大手である【1911】住友林業等は21年3月の始値の1986円から4月30日に2582円を付けるなど、関連企業の株価に大きく影響を与えました。

 

このことから銅の関連分野でも銅の供給量の不足が表面化してきた際に、大きく株価が上昇する期待は高いと見ています。

 

現在、世界的な景気後退の懸念から銅の価格は伸び悩んでおりますが、しかし将来の需要増加を考えれば、絶好の仕込み時であるとも考えられます。

 

脱炭素社会の移行による銅の供給不足に向けて、銅の関連銘柄をポートフォリオに組み込んで見てはいかがでしょうか。

マーケットニュース 国内情勢 2023.10.12

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峯岸恭一

この記事を書いた人

峯岸恭一

日本投資機構株式会社 データアナリスト
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本ディープラーニング協会認定ジェネラリスト(G検定)
日本投資機構株式会社 データアナリスト
テクニカルアナリスト(CMTA®)
ジェネラリスト(G検定)

総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計等をもとに銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活動の幅を拡げている。

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