【どうなる半導体株?底打ちを示すサイン】テクニカルアナリストが解説してみた!

世界情勢 マーケットニュース 国内情勢 2023.10.22

江口 裕臣 江口 裕臣

こんにちは、アナリストの江口です。

 9月末から10月中旬にかけて、日米株市場は波乱の時期を迎えました。

ここで焦点を当てたいのは、半導体株の今後についてです。

まずは5つのパートにわけて解説していきます。

 

SOX指数の軌跡

フィラデルフィア半導体株(SOX)指数 日足チャート (2022年9月22日~10月17日)

 

まず、SOX指数とはアメリカの主要な半導体関連企業30社で構成された株価指数です。

米株市場の半導体株の動きを示した指数であるため、日本株市場にも大きな影響を与えています。

 

まずはここ1年間の値動きをみると、2022年10月14日に安値2,162ポイントをつけましたが、2023年7月末には3,861ポイントまで上昇。

その後は調整を経て、長期トレンドは安値水準が切り上がる好形、右肩上がりのチャート形成をしています。

 

株価には常にサイクルがあり、天井→下落→底→上昇→天井・・・とループしています。

では、これらの周期に当てはめて考えると、7月末の高値3,861ポイントを天井とし、下落調整をしつつ、9月26日に安値3,329ポイントを付けた後に反発していることから、底を打ったと考えることが出来ます。

 

これらを踏まえるとテクニカル的には長期的な上昇トレンドに入ったと考えることが出来るため、本格的な上昇に期待が持てるタイミングであると見ています。

 

電気機器セクターへの注目

 

日本には半導体株だけを集約した株価指数は存在しませんが、業種別の株価指数の中で、電気機器セクターの動きに注目してみましょう。

東証プライム市場の中で、業種別時価総額の比率で見ると、上位3業種は電気機器、情報通信、輸送用機器となっています。

 

その中でも10月に入り、電気機器の比率はダントツで高い水準を維持しており、日経平均株価に採用されている225銘柄中、電気機器に属する銘柄は31銘柄。

日経平均株価への寄与度が高く、指数との連動性も強いため、SOX指数が上昇するということは電気機器セクターが上昇をけん引していると考えることが出来ます。

 

加えて、SOX指数が長期上昇トレンドを形成しているということは、今後は日本国内で電気機器セクターが上昇していく可能性が高いことをテクニカル的に示しています。

 

半導体市況の見通し

 

半導体市場においては、在庫調整の長期化が懸念されましたが、近年の動向からみると、半導体産業の回復が鮮明です。

特にメモリー市場における回復が見込まれ、DRAMやNAND型フラッシュメモリーの価格は改善の兆しを見せています。

 

過去の傾向を見ても、半導体販売は一旦プラスに転じると販売の増加基調が継続しやすく、半導体株の大幅な上昇につながるケースが多いと言われています。

また韓国のサムスン電子の7-9月期決算の内容が発表され、減益幅が4-6月期よりも縮小しており、半導体セクターは最悪期からの脱却を果たした可能性が高いと考えています。

 

昨年半ばからの在庫調整はほぼ終わりが見えており、半導体サイクルは上昇基調に転じ始めている可能性が高いことから、2024年上期の世界経済は緩やかな景気後退局面に入ると言われていますが、半導体株についてはポジティブな展開が想定されます。

現状は上昇サイクルが始まった初動と見ており、割安感は現状では判断しにくいものの、半導体株の根本的な価値は今後上昇していく可能性が高いと睨んでいます。

 

日本株市場への影響

9月末から10月に入り、日本株市場は乱高下の激しい展開となっています。

日経平均株価は一時30,487円67銭まで売り込まれたものの、即座に反発。

 

32,000円台を再び奪還と目まぐるしく戦況が変化しています。

混沌とした相場展開の中、SOX指数の底打ちと上昇が相場下落の中でも異彩を放っており、半導体株の上昇フェーズが到来している可能性も。

 

また日本は世界の主要な半導体企業が工場を建設している地域であり、安全保障の観点からも重要な位置を占めています。

 

世界経済の動向に関係なく、半導体セクターは需要が高まる可能性があり、注目の投資先と考えることが出来るため、金利上昇、利上げ、地政学リスクの高まりとリスク面を嫌気した売りが波及している状況下でも高いパフォーマンスが期待出来る銘柄として、脚光を浴びるかも知れません。

 

まとめ

 

ここまでを整理しますと、

 

①SOX指数の長期上昇トレンド入り

②10月相場を孤軍奮闘する電気機器セクター

③サムスン電子の決算発表を機に最悪期からの脱却

④世界経済の景気後退とは逆行して、半導体株はポジティブ

 

このような理由から、不安定な相場環境の中でもパフォーマンスの高い半導体株は生成AI市場の成長も相まって、ここからの盛り返しに大いに期待が持てる局面にいるとして、今後の値動きに注目していきたいですね。

 

アメリカ→日本の順に株価が連動することから、決算を終えた半導体株は狙い時かも知れません。

 

世界情勢 マーケットニュース 国内情勢 2023.10.22

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江口 裕臣

この記事を書いた人

江口 裕臣

日本投資機構株式会社 アナリスト
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本投資機構株式会社 アナリスト
テクニカルアナリスト(CMTA®)

著名な元機関投資家や経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーより培った知識と経験を基に、数多くの市場動向の予測や個別銘柄の動向をピンポイントで分析。銘柄の推奨実績において社内の月間最高勝率記録を持つテクニカルアナリスト。

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