【遂に復活!?半導体株は今後どうなる?】テクニカルアナリストが徹底解説してみた!

株式情報 投資戦略 国内情勢 日本株 2023.11.08

江口 裕臣 江口 裕臣

トヨタ自動車の販売台数が示す半導体株の未来

今回は前回の記事に引き続き、半導体関連株の今後についてお話をさせて頂ければと思います。

 

まずは、半導体市場の値動きを見る上で最も分かりやすい指標の一つでもある、日本を代表する企業【7203】トヨタ自動車の直近の状況を見ていきましょう。

 

10月30日に、9月のグループ世界販売が前年同月比11%増の100万3,779台と同月としては過去最高の販売台数になったことを発表しました。

 

発表によると、ダイハツ工業と日野自動車を除いたトヨタ単体の販売は同12%増の92万1,308台。グループ、単体共に8カ月連続で前年越えの水準となっており、4~9月期の類型としては販売と生産ともに過去最高となりました。

 

自動車業界は半導体不足の影響で需要に見合った生産が出来ない状況下にあったものの、部品供給の改善に伴い今期は生産面での回復が鮮明となっています。

 

また海外売上比率の高い日本の自動車メーカーは円安の恩恵やアメリカで堅調な需要が続いていることから、2024年3月期の業績は良好なものとなりやすい地合いです。

 

つまりは、半導体不足は解消し本格的に生産面での回復が期待視される局面にいるということは、関連株の業績が回復又は上振れる公算が高まるということです。

 

SOX指数(フィラデルフィア半導体指数)は2021年12月に付けた高値3,881.25ポイントをピークに売り込まれましたが、2022年10月の安値2,331.06ポイントを節目に反発。

 

そして、2023年7月の高値3,726.40ポイントを節目に再び売り込まれています。

 

ただ、【7203】トヨタ自動車の業績を見る限り、半導体不足の影響は解消され回復期にいることから、3,000ポイント付近を目途に下げ止まるようなら、本格的な二番底が意識される局面にいると見ています。

 

地政学リスクと半導体株

 

 

10月相場の大きな下落要因は、地政学リスクの高まりによる長期金利の上昇というのが大きな一因でしょう。

 

ECBのラガルド総裁もイスラエルの攻撃によって支出が弱まる可能性があると発言しており、ECBは利上げを見送っています。

 

日銀も内外の経済や金融市場を巡る不確実性が極めて高いと答えており、中銀ウィークを終えた日本株市場は本格的な大底を迎えたと考えることが出来ます。

 

そんな市場環境をけん引するのがハイテク株(半導体関連)と見ており、半導体のスポット価格はかなり上昇しています。

 

特に半導体製造装置販売額と半導体製造装置主力株である6社(東京エレクトロン、アドバンテスト、ディスコ、レーザーテック、SCREENホールディングス、東京精密)の時価総額合計を比較しても販売額の回復し始め直後に大きく下落。

 

主力6社の時価総額を見る限り、既に下げ切る水準まで押し下げている可能性が高く、一時的に決算発表による下落があったとしても、それは一時的なモノであると考えています。

 

日本経済の成長と大型景気対策

 

ここで少し話を変えて、今後の日本経済の先行きについてお話をしたいと思いますが、直近IMF(国際通貨基金)が今年の日本の経済成長率の見通しを引き上げたことで、海外投資家からの資金流入が期待出来ることに加え、所得減税や給付金の動きを受けて、IMFが次回2024年1月の見直しで、実は日本の経済成長率の見通しを引き上げる可能性が高まっているんです。

 

2024年の春ごろには東京都のコアCPIがゼロ%近辺まで低下し、所得減税や給付金が実施されれば、賃上げもかなりの幅で行われる可能性が高いため、これにより日本の所得環境が大きく改善しているかもしれません。

 

今回の補正予算を含めた景気対策は長らく続いたデフレ脱却を後押しし、日本株市場を援護射撃する大きな材料になるともみています。

 

賃金と物価の上昇によるインフレ転換のタイミングにおり、一般的にインフレ=株高という流れは過去の歴史が物語るように外部環境的に見ても切り上がる条件が整っているとみて取れます。

 

また9月の日銀短観では企業の想定為替レートは1ドル=135.75円となっており、150円台を推移する現状と比較しても大きく円安に傾いています。

 

これによって日本の企業業績は上向きやすく、11月の決算発表を機に上昇サイクルに転じる可能性が高く、10月の安値は今年最後の安値であったと考えることも出来るんです。

 

まとめ

 

岸田内閣の経済対策が下期に効果を表すことを想定すれば、10月の下げを乗り超えた今は絶好の買い場と考えることが出来ます。

 

その中で上昇をけん引するのが私の見立て通り、テック株だとしたら散々振り回された10月相場は2023年最後の安値であり、年末株高の序章が始まっているのかもしれません。

 

また今後も生成AI市場の拡大に伴う半導体需要も期待視されていることから、大きく下げた半導体株には復活の狼煙が上がっているとしたら、更に面白い相場展開になりそうです。

 

もちろん、短期的には地政学リスクや決算による下落は想定されるものの、決算後に急落した半導体株は絶好の買い場が到来している可能性があるとして、半導体株の逆襲に期待したい。

株式情報 投資戦略 国内情勢 日本株 2023.11.08

江口 裕臣 江口 裕臣

江口 裕臣

この記事を書いた人

江口 裕臣

日本投資機構株式会社 アナリスト
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本投資機構株式会社 アナリスト
テクニカルアナリスト(CMTA®)

著名な元機関投資家や経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーより培った知識と経験を基に、数多くの市場動向の予測や個別銘柄の動向をピンポイントで分析。銘柄の推奨実績において社内の月間最高勝率記録を持つテクニカルアナリスト。

江口アナリストの投資助言を受けたい方は≪こちらをクリック≫

アクセスランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間