【利益確定の目安】買った株はどこまで持てば良い?

株式情報 投資戦略 日本株 2023.11.22

山崎 毅 山崎 毅

買った株の価格が上昇していると、毎日が幸せ気持ちになりませんか?

 

しかし、それと同時に「どこまで持ち続ければ良いのか?」と不安になる方も多いと思います。

 

その理由ですが、せっかく安く仕込んだのに早めに利益確定してしまい、その後の上昇分の利益を取り逃してしまった経験から不安になる方もいるでしょう。

 

反対に、上昇していた株をずっと持ち続けていたら、結局同じ値段まで戻ってきてしまい、利益を取り逃してしまったことがあるため心配される方もいると思います。

 

実は株式投資で勝ち組になるには、株価が安いタイミングで仕込める技術も重要ですが、仕込んだ株をきちんと高値で利益確定できるかどうかもとても大切になるのです。

 

なぜなら、本来取れた筈の利益を取り逃してしまうと、その分だけ耐えられるリスク許容度が下がってしまうので、結果的に取引全体の期待値も低下してしまう=負けやすい傾向が強い投資家になってしまうからです。

 

更に、株価の上昇途中で持っていた株を売ってしまうと、次の株価の流れを読んで取引を再開することが難しくなってしまい、下手な銘柄や思わぬ高値で別の銘柄を掴んでしまうリスクも高くなります。

 

だからこそ、株の勝ち組を目指している皆さまには、今回の記事でしっかりと株価の高値圏(利益確定の目安)を見極められる投資家になっていただければ幸いです。

 

では早速、プロも実践しているその方法を紹介していきましょう。

 

株価の上昇余地は〇〇を見れば分かる?

 

ずばり結論から言いますと、株価の上昇余地は、企業の「収益性」を分析すれば推測できます。

 

企業の収益性とは、その企業(銘柄)がどれだけ儲けられるかです。

 

決算書だと、損益計算書の「利益」の項目に表されます。

 

その中でも特に株主が見るべき数字は、「EPS(一株当たり収益)」という数字でしょう。

 

EPSは、企業の当期純利益を1株単位で表した指標です。

 

この数字を見れば、その企業がどれだけ効率的に収益を上げているかが測れるのです。

 

具体的には、過去の決算や通期の予測値と比較して、EPSが増加傾向であればその企業の収益性は高まっている(より効率的に稼げるようになっている)と評価でき、逆にEPSが減少傾向であればその企業の収益性は低下傾向(儲けにくくなっている)であると評価できます。

 

つまり、EPSが高い銘柄ほど株主に還元できる余地(配当や剰余金の積み増し等)も大きくなりますので、結果的に株価の上昇余地(上値目標)も高くなると考えられるのです。

 

EPSを相場予測に使うときは「PER」で考える!

 

株価の上昇余地が読める仕組みを理解出来たらいよいよ実践です。

実践時のポイントですが、EPSを使って株価の上値目標を予測する場合は、EPSをそのまま使うのではなく「PER(株価収益率)」という数字を使って考えるのがミソになります。

ここからは頭で理解するよりも、実際に株価をイメージしながら覚えた方が分かりやすいと思いますので、以下の事例を使って考えていきましょう。

 

【問題】天井の株価はいくらだと思いますか?

 

現在株価が1000円でPERが7.5倍の銘柄Aがあります。この銘柄は、過去の決算で業績の上方修正を発表した時に、株価が倍増するほど上昇した実績があります。その時のPERは12.5倍でした。

 

この銘柄Aが次の決算で、過去と同じレベルの上方修正が行った場合、株価はどこまで買われると予測できますか?ちなみに決算時のEPSは600円だと仮定します。

 

①前回と同様に株価が1,000円から2,000円に倍増する
②PER7.5倍まで買われると想定できるのでEPS600×7.5=3,750円
③PER12.5倍まで買われると想定できるのでEPS600×12.5=7,500円
④今回は株価の前提が示されていないので予測できないのが正解

 

さあ、いかがでしょうか?
少し時間を取って考えてみましょう。

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それでは、答え合わせをして参ります。

 

正解は、【③:PER12.5倍まで買われると想定できるのでEPS600×12.5=7,500円】です。

 

前回の上方修正時の銘柄Aの株価は1,000円から2,000円まで上昇し、その時のPER推移は7.5倍→12.5倍でした。

 

そして、株価の上値目標を予測する場合に参考にすべき数字は「EPSがどれだけ(何倍分)買われるか?≒PERが何倍まで買われるか?」でしたね。

 

なので、今回も同じ位の上方修正をすると仮定した場合、参考にすべきは「PERが12.5倍」まで買われる可能性があるという数字になります。

 

ちなみにPER=株価÷EPSですので、【12.5=X÷600】と代入でき、それを計算すると、【12.5×600=X(7,500円)】と予測できるということです。

 

このように株価がどこまで買われる可能性があるかを企業の収益性から予測できるようになると、上昇過程の途中で株を手放してしまったり、株価がピークアウトしているのに持ち続けてしまったりといった失敗が大幅に減らせます。

 

そして、それができるようになると、株式投資では面白いように利益確定ができるようになるのです。

 

皆さんも、持ち株をいつ手放せばいいのか?迷った時は、ぜひこの記事の内容を思い出して銘柄のEPSとPERを確認してみましょう。

 

きっと勝利につながる突破口を見いだせることでしょう!

 

 

株式情報 投資戦略 日本株 2023.11.22

山崎 毅 山崎 毅

山崎 毅

この記事を書いた人

山崎 毅

日本投資機構株式会社 投資戦略部 部長
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本投資機構株式会社 投資戦略部 部長
テクニカルアナリスト(CMTA®)

大学卒業後さわかみ投信株式会社に入社し、顧客管理・企業調査・アナリストなど幅広い日本株の資産運用業務に従事。独立後、FXトレードの利益で世界一周旅行を達成した「バックパッカートレーダーズ」を企画し、自らトレーダーとして世界を回った。帰国後は、海外証券会社やヘッジファンドへのコンサルティング業務を行いつつ、2013年に国内の投資助言・代理業に参入。書籍出版(世界一わかりやすいFXの教科書等)、セミナー登壇、メディア出演等、実績多数。また個人投資事業として、古陶磁鑑定美術館を2023年度にM&Aし、二代目館長に就任。古美術品への現物投資と日本文化の継承を目的に美術館経営に参入。それ以外にも果樹農家として農業事業に参入するなど、幅広い分野で活躍中。

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