年末から来年にかけての相場展開は内需・成長株の上昇に期待!?

株式情報 投資戦略 相場展望 2023.12.14

江口 裕臣 江口 裕臣

株式市場にはサイクルと言われる周期が存在しており、物色対象も相場状況に合わせて大きく変化しています。

 

そこで今回の記事では、これらの物色動向を踏まえて、今月の12月相場、さらには年明けの2024年からは、どのような投資戦略が有効的なのかをお話させて頂きます。

 

物色傾向の変化・アメリカの動向

 

10月までの物色対象を簡単に整理すると、PBRとROEの高い・低い銘柄で大きく差が開いています。

 

1月~10月までは、低PBR・低ROE銘柄を中心に買いが集まっています。

 

これは東証の低PBR銘柄の是正効果やバフェット効果などが影響しており、バリュー株主導の相場状況であったとデータが示しています。

 

ただ、11月に入り様相は一変しており、高PBR・高ROEといった高クオリティ株に物色熱がシフトしています。

 

要因としては、10月まではアメリカ景気がノーランディングと言われていましたが、実際は後退せずに継続的な成長が期待視されるという見方に変わっていったことが大きいでしょう。

 

それに伴い、米長金利は引き締め継続の観測と共に、5%程度まで上昇しており、金利の上昇でとバリュー株が買われる構図でした。

 

しかし、11月に入り雇用統計が鈍化、ISM製造業指数、非製造業景況感指数も市場コンセンサスを下回ったことで、再びアメリカ経済に景気の過熱感が意識されており、景気後退への懸念が波及しています。

 

金利は足元では落ち着きだしているものの、バリュー株主導の相場から、割高であったとしても成長性に期待が持てる高クオリティの企業に資金のシフトが始まっているとみています。

 

内需・成長株に上昇の兆しが到来中?

 

アメリカ経済が景気後退となるのか、景気減速になるのかによって株式市場には大きな転換点になる可能性はあるでしょう。

 

もし仮に、景気後退となれば高クオリティ株が覇権を握るような相場展開になると見ており、利下げや量的緩和などが再開されれば、バリュー株には更なる売りが波及する可能性が高いとみています。

 

しかし、日本はここから引き締めをしていく状態であることから、バリュー株の下げ幅は限定的になりやすいものの、日銀のスタンスは未だ曖昧な口調と姿勢であることから、現状では波乱材料の一つと考えておく程度で良いと思います。

 

また、ドル円の動向には目が離せない状況にあり、このまま日米の金利差が縮小していけば、円高・ドル安が更に進行していくことが予想されます。

 

そうなると、単純な話ではありますが、円安銘柄が株式市場をけん引してきた展開から、ドル円の影響を受けない内需株に本格的にシフトしていく流れになると見ています。

 

11月末にかけてドル円の感応度が高い銘柄が売られ、感応度の低い銘柄に資金が集まっていることから、目先の投資戦略としては、内需・成長株がトレンドになる可能性が高いと睨んでいます。

 

まとめ

 

 

ここまでを纏めると、アメリカ景気に減速の兆候が見え始めており、原油価格も足元では落ち着き始めていることから、長期金利は低下傾向にあります。

 

アメリカ経済がソフトランディングするのか、ハードランディングするのかによって相場のトレンドに変化が起こる可能性があること。

 

どちらにしても短期的に「高PBR・高ROE」の銘柄が物色されやすく、ハードランディングとなれば、継続的な上昇が見込めることから、バリュー株から高クオリティ株への資産シフトが始まっていくと見ています。

 

加えて、日本株市場はドル円との感応度が高く、急激な円安水準が剥がれ落ちたことで、円高への警戒感が台頭しています。

 

米株市場とは逆行した推移となっており、相場上昇をけん引してきた円安の恩恵を受ける銘柄を中心に売りが波及しています。

 

そのため、ドル円との感応度の低い銘柄を買い直す動きが顕著であることから、内需・成長株が今後のトレンドになっていく可能性が高いと私は睨んでいます。

 

 

株式情報 投資戦略 相場展望 2023.12.14

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江口 裕臣

この記事を書いた人

江口 裕臣

日本投資機構株式会社 アナリスト
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本投資機構株式会社 アナリスト
テクニカルアナリスト(CMTA®)

著名な元機関投資家や経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーより培った知識と経験を基に、数多くの市場動向の予測や個別銘柄の動向をピンポイントで分析。銘柄の推奨実績において社内の月間最高勝率記録を持つテクニカルアナリスト。

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