過去の大化け株から傾向を分析!!2023年テンバガー達成銘柄はなぜ上昇?
株式情報 投資戦略 日本株 2023.12.21

2023年の相場も残すところあと少し。
今年の相場では、日本経済のリオープンや東証による低PBR改善要請、生成AIの普及などが材料視されました。
そうしたなか、日本株市場で特に大きく上昇した銘柄は何だったか覚えていますか?
大幅高にはそれなりの理由があったはずで、しっかりと振り返っておけば来年の取引にも活かせると思います。
そこで本記事では、2023年の日本株市場で上昇率が大きかった銘柄トップ5を取り上げ、その理由を解説します。
最後にはポイントもまとめていますので、是非チェックして、来年の相場に備えていただければと思います。
目次
5位【4264】セキュア:監視カメラの需要拡大が商機に
【4264】セキュア 日足チャート (2023年1月5日~6月28日)
※TradingView(https://jp.tradingview.com/)のチャートを使用しています。
2023年の値上がり率第5位となった銘柄は、入退室管理システムや監視カメラシステム、画像解析ソリューションを法人向けに提供している【4264】セキュアです。
値上がり率は1月6日の安値585円から6月21日の高値3,990円まで、6.87倍に達しました。
今年の2月に、スシロー迷惑動画事件が連日ワイドショーで報道され始め、監視カメラの需要が拡大するとの思惑から急動意。
5月には、23年12月期の業績予想を上方修正し、買いが加速しました。
人流の回復でリアル店舗のDX化が進み、同社の収益を押し上げたとみられます。
2024年も、何度もワイドショーで報道されるようなニュースが大化け株選びのヒントになるかもしれません。
4位【3042】ビューティ花壇:空売りを巻き込んで短期急騰
【3041】ビューティ花壇 日足チャート (2023年4月11日~7月7日)
※TradingView(https://jp.tradingview.com/)のチャートを使用しています。
値上がり率第4位となったのは、生花祭壇の設営・提供や、ブライダルフラワーの提供、生花卸を行っている【3042】ビューティ花壇です。
1月6日の安値272円から5月17日の高値2,409円まで、株価は8.85倍になりました。
同社は、2014年をピークに売上高が伸び悩み、200~300円程度での株価推移が長らく続いていました。
しかし、今年に入ってSNSなどで個人投資家の人気を集め、短期急騰を見せています。
時価総額が小さいため株価が派手に動きやすく、低位株として個人投資家に人気となりやすかったとみられます。
また、長年人気がなかった分、戻り待ちの売りが出にくく、空売りを入れた投資家の買い戻しを巻き込みながら上げ幅を拡大しました。
23年6月期は3期連続で増収見通しと、足元の業績の底堅さも買いを集める一因になったとみられます。
2021年にはアメリカで、SNSで人気に火がついた【GME】ゲームストップが売り方の買い戻しを巻き込みながら大きく株価を伸ばし話題となりましたが、日本でも同じようなことが起きているわけです。
【GME】ゲームストップ 日足チャート (2020年10月16日~2021年3月19日)
2024年も個人投資家の間で人気に火が付き、急騰する銘柄が誕生する可能性は高いです。
ただし、こうした銘柄は人気がなくなると徐々に企業業績に基づいた急伸前の株価水準に戻りやすいため、高値掴みには注意が必要でしょう。
3位【4011】ヘッドウォータース:生成AI相場の本命株に
【4011】ヘッドウォータース 日足チャート (2023年1月4日~7月18日)
※TradingView(https://jp.tradingview.com/)のチャートを使用しています。
値上がり率第3位は、AIを活用したソリューションを提供する【4011】ヘッドウォータースです。
1月6日の安値1,672円から7月3日の高値16,630円まで、上昇率は9.94倍に達しました。
同社は以前から、OpenAIとパートナーシップを結ぶマイクロソフトとの連携を強化していて、ChatGPTのリリースが業績拡大に直結。
23年12月期第3四半期累計(1-9月)の売上高は前期比で67.4%増加と、驚異的なトップラインの伸びを見せています。
数あるAI関連銘柄のなかでも特にパフォーマンスが好調で、生成AI相場の本命株であったと言っても過言ではありません。
このような「世の中の変化を追い風に急速な業績拡大期を迎えた銘柄」は、大化け株の王道パターンです。
ただし、さすがに買いが行き過ぎたとみられ、現在は1万円台での売りが重くなっていますので、今後は調整局面を迎える可能性があるとして注意が必要です。
2位【9560】プログリット:IPO直後の業績が絶好調
【9560】プログリット 日足チャート (2023年1月5日~6月26日)
※TradingView(https://jp.tradingview.com/)のチャートを使用しています。
値上がり率第2位となり、見事テンバガーを達成したのは、英会話コーチングサービスを手掛けている【9560】プログリットです。
株価は1月4日の安値233円から6月20日の高値2,499円まで、10.72倍になっています。
同社は2022年9月に、東証グロース市場に上場。
初値こそ公開価格の243円を上回る393円を付けましたが、日銀によるYCCの柔軟化が発表された場面で売りが強まり221円まで下落するなど、上場時の評価が高かったとは言えません。
事業内容が地味であったため、あまり人気化しなかったとみられます。
しかし、今年の1月に発表した22年8月期第1四半期(9-11月)の決算で、業績面の好調さが確認されると、これを好感した買いが殺到しました。
この決算では、法人研修市場への参入やサブスクリプション型の英語学習サービスの育成を進め、第1四半期(9-11月)の経常利益が通期計画に対してすでに46.0%に達したと明らかにしています。
その後の第2四半期の決算発表では通期の業績予想を上方修正し、株価も一段高となりました。
上場から日が浅く、値動きが軽かったことも値幅が出た一因だとみられます。
上場直後の評価が限定的で割高感がないIPO銘柄は、その後の業績推移が良好であれば、株価の上昇率も大きくなりやすいため、チェックしておくと良いと思います。
1位【6573】アジャイルメディアネットワーク:上場廃止間際から大復活
【6573】アジャイルメディア・ネットワーク 日足チャート (2023年3月2日~11月15日)
※TradingView(https://jp.tradingview.com/)のチャートを使用しています。
2023年、もっとも大きく上昇した銘柄は、【6573】アジャイルメディア・ネットワークです。
同社は、企業が有するブランドのファンにSNSなどでの情報発信を促して、マーケティングを行う施策の企画、運営支援を行っています。
株価は、3月29日の安値61円から10月19日には961円まで、15.75倍に大化けしました。
この企業は実は、不適切会計、役員による横領が明らかになり、上場廃止の可能性も意識されていました。
ただ、内部管理体制の改善を進め、今年1月付で社長が交代。
12月に第三者割当増資で調達した資金も活用して、上場廃止を免れるべく、新事業への投資などを進めたため、市場でも見直し買いが進んだのです。
1月にはTikTokチャンネル運用を行うコンフィを子会社化、4月にはアパレル・コスメティック商品の企画販売などを手掛けるIM&HINI JAPAN(イムアンドヒニジャパン)との間で合弁会社の設立を前提に業務提携を行うと発表。
7月には酸素ボックス商材を企画・製造・販売する子会社「and health」を新設すると発表と、立て続けに材料も出しています。
無事に内部管理体制の改善も進み、8月30日には特設注意市場銘柄の指定が解除されて、安心感から買いが加速する場面も見られました。
市場が企業の先行きに関して厳しい見方をしていた分、好材料によるインパクトが大きくなったという点は見逃せません。
材料が良いか悪いかだけではなく、それまでの市場の評価がどうだったのかも考慮した上で、ギャップの大きな銘柄に投資した方が値幅には期待ができます。
テンバガー、大化け株の条件はこれ!当てはまる銘柄を探そう!
2023年に大幅高となった銘柄から、それぞれ以下のようなヒントが得られました。
・ワイドショーなどで連日報道されるニュースに関連したテーマの銘柄は大きく上昇する期待ができる。
・一見地味な銘柄がSNSなどで人気に火が付き、急騰するケースがある。ただし、逃げ時、高値掴みには注意が必要。
・世の中の変化を追い風に急速な業績拡大期を迎えた銘柄は、大化けする可能性が高い。
・新規上場から日が浅く、上場直後の評価が限定的で割高感がない銘柄は、その後の業績推移次第で値幅を伴って上昇しやすい。
・市場での評価が低いほど、好材料によるインパクトが大きくなりやすい。
是非このようなヒントを頼りにしながら、2024年の相場で大幅高となる銘柄を探してみてください。
株式情報 投資戦略 日本株 2023.12.21

この記事を書いた人
日本投資機構株式会社 アナリスト
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)日本投資機構株式会社 投資戦略部 主任
証券アナリスト(CMA)
テクニカルアナリスト(CMTA®)
国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。
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