【製造工程から見る半導体】投資家なら知っておきたい日本の半導体企業の強みとは?

株式情報 投資戦略 日本株 2024.02.08

遠藤 悠市 遠藤 悠市

昨今、「半導体」という言葉を当たり前のように聞くようになっています。

 

国内では、台湾の半導体受託製造世界最大手のTSMCが熊本県に工場を建設するという発表がなされており、皆さんもニュースなどで目にする機会が増えてきたのではないでしょうか?

 

「半導体」は今や現代社会にとって無くてはならない存在となっています。

しかし、多くの場合、半導体そのものは一般向けには販売されておらず、具体的にどのようなものかよく分からない方も多いかと思います。

 

そこで今回は、「半導体」とはどのようなものなのかを製造工程も交えて詳しく解説していきます。

 

「半導体」とは?簡単に解説!

 

半導体を簡単に説明すると、「状況により電気を通したり、通さなかったりする物質のこと」となります。

 

半導体の特徴としては電気や磁場を加えることで、電気を通す・通さないを瞬時に切り替えることができる点が挙げられます。

 

1870年代に鉱石に整流作用があると発見されたことが半導体の歴史の始まりであり、そこから発展と応用が加速し続けています。

 

今や半導体は、スマートフォンなどの通信機器、エアコンや炊飯器などの家電製品、自動車や飛行機などのモビリティ等々、身の周りにある様々なものに使用されています。

 

半導体の作り方は?製造工程を確認しておこう!

 

「半導体」の本来の意味は物質やその性質を表すものです。

 

しかし現在では、半導体を活用して作られた電子部品や、それらを集積したトランジスタや集積回路などの製品の総称としても用いられています。

 

半導体は、複雑な工程を経て作られています。

その工程は大きく分けて3つからなり、各工程内でさらに細かい作業を行っています。

 

全容を把握するために、まずは、3つの工程を見ていきましょう。

 

1.設計

半導体に必要な回路とパターンを構築する工程です。ここでは、効果的なパターンを検証し、フォトマスクと呼ばれる回路パターンを描く透明なガラス板とシリコンから作られた材料基盤であるシリコンウエハーを形成します。

 

2.前工程

シリコンウエハーの表面上に電子回路を形成するまでの工程です。ここでは、シリコンウエハーは超高純度の単結晶インゴットを薄く切って作られます。1枚のウエハー上に数百個の半導体チップを格子状に並べて形成されます。

 

3.後工程

半導体をウエハーから切り出して製品化する工程です。ここでは、ウエハーから集積回路を1つずつ切り出し、半導体チップを金属に固定して、配線処理を施した後樹脂で固めて保護します。

 

今回は分かりやすくするために、半導体の製造工程を大きく3つに分けて説明していますが、実際は20以上の工程を踏んだ非常に細かい作業が施されているのです。

 

世界に注目される日本の半導体銘柄は?

 

半導体といっても、種類はさまざまで、競争力も領域によって大きく異なります。製造には多くの技術が関わっており、1つの企業で生産が難しいのが現状です。

 

そのため、半導体製造にかかわる企業は、工程別に独自の技術を用いています。

工程が細分化されているため、半導体に関連する企業は世界各国に幅広く存在します。

 

世界的にも有名な半導体関連企業としては、アメリカのインテルやNVIDIA、台湾のTSMCなどが挙げられます。

 

日本にも有力な半導体メーカーはいくつか存在しますが、他国に比べると、全体としてやや力不足で、世界シェアは10%程度となっています。

 

しかし、日本の半導体製造装置メーカーは30%前後のシェアがあり、高い競争力を保っています。

 

上場企業では、東京エレクトロンやアドバンテスト、SCREENホールディングスやディスコ、KOKUSAI ELECTRICレーザーテックなどが半導体製造装置メーカーとして存在感を示しています。

 

半導体製造装置の分野は日本の高い技術力を生かせる産業であり、今後の成長が期待されています。

 

シェアの高さは技術力の高さといっても過言ではなく、国内の半導体製造装置メーカーには今後も注目しておくべきだと考えています。

株式情報 投資戦略 日本株 2024.02.08

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この記事を書いた人

遠藤 悠市

日本投資機構株式会社 アナリスト日本投資機構株式会社 アナリスト
大学時代に投資家である祖母の影響で日本株のトレーディングを始める。大学時代、アベノミクスの恩恵も受けて、株式投資を投資金30万円で始め4年間で990万円まで資金を増やすことに成功する。卒業後、証券会社、投資顧問会社を経て2019年2月より日本投資機構株式会社の分析者に就任。モメンタム分析を最も得意としており、IPO(新規上場株)やセクター分析にも長けたアナリスト

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