全世界株式(オルカン)を「おすすめしない」のはこんな人!おすすめしない理由とは?

株式情報 投資戦略 2024.04.17

石塚 由奈 石塚 由奈

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」、通称「オルカン」という投資信託が人気を博しています。

「投資初心者にはオルカンがおすすめ!」という話をそのまま信じて、深く考えずにオルカンに投資をしている人も多いのではないでしょうか。

 

しかし、必ずしも全ての人にオルカンがおすすめできるわけではありません。

 

そこで本記事では、オルカンを「おすすめしない」のは、いったいどのような人なのかをアナリストが解説します。

 

①文明が進歩し続けるとは思えない人

 

文明が進歩し続けるとは思えない人には、オルカンはおすすめできません。

オルカンは、進歩主義的な「テクノロジーは今後も進歩し、世界人口は増加を続け、人類はさらなる繁栄を手にする」という思想を持っている人が積み立てるべき商品です。

 

なぜなら、オルカンは全世界の株式をポートフォリオにして運用している投資信託で、その価値は、世界経済の成長によって膨らむからです。

テクノロジーの進歩や人口の増加は、世界経済が成長する原動力となります。

 

2024年現在は生成AIがブームとなっており、今後より魅力的な商品や便利さを私たちは手にすると信じている方が多いでしょう。

幼い頃にど〇えもんで見た世界が100年、200年後には実現しているのではないかと考えている方もいらっしゃるかもしれません。

 

こうした人類の明るい未来を信じるのであれば、オルカンを積み立てるのが正解だと思います。

上がろうが下がろうが、稼いだお金をオルカンにつぎ込み続けてください。

 

しかし、いくら技術が進歩したとしても、私たちには想像もつかないサービスや商品を生み出すことはできません。

いったい私たちの想像力の限界はどこにあるのでしょうか?

限界を超えた場合には、AIが代わりに考えてくれる世界が待っているのでしょうか?

 

また、世界の人口は2064年をピークに減少するという米ワシントン大学による予測が発表されています。

 

人類はまだ、人類の数が減る時代を経験したことがありません。

消費者の数も労働者の数も減り続けるなかでも、発展を続けられるのでしょうか。

 

2064年と言えば40年後ですから、今働き盛りの30代であれば70代となり、ちょうど資産を取り崩す時期です。

まだ、その時にも「オルカン」は世界の投資家の支持を得ているのでしょうか。

 

そんなに先のことを考えても仕方ないと思いますか?

 

私もそう思いますし、今の世界経済が成長を続けているのは事実です。

 

今は明るい未来を描いてオルカンに投資するのが合理的かと思います。

しかし、ただただ信じるのではなく、世界がどんな方向に動いているのか考え続けたいものです。

 

②資本主義に反対したい人

資本主義とは、労働者や資本家が自身の利益を追及し、国の規制や社会保障はあれど、一定程度自由に競争できる社会の仕組みです。

 

努力が収入の増加につながり、得た収入を貯めて事業などを行えば、さらに資産を増やすことができます。

人よりも豊かになりたいという欲求が、経済成長の原動力として働きやすい仕組みと言えます。

 

このような世の中になってからの経済成長は著しく、1900年からの150年弱で世界のGDPは31倍に膨らみました。

西暦1年から1900年近くかけてのGDPは11倍にしかならなかったのにも関わらずです。

 

世界経済の高い成長率は、そのまま世界の株価を押し上げる要因となってきました。

 

では、これから先はどうなるでしょうか?

現在は、高い成長率を実現するために資源を使いすぎた代償として、世界は急激な気候変化に苦しめられ始めています。

 

対策も取られていますが、再生可能エネルギーへのシフトはコストがかかるため、結局従来の安価なエネルギーが使われるなど、上手く進まない部分も出てきています。

資本主義という枠組みのなかでは、持続可能性よりも目先の利益の方が優先されてしまうようです。

 

今後こうした問題を乗り越えられるかが、資本主義の焦点になってくるとみられます。

資本主義が成立してから、まだ250年しか経っていませんし、もっと良い仕組みがあるかもしれません。

 

私個人としても、社会主義でも資本主義でもない新たな仕組みがいつか成立するのではないかと、その瞬間を単純な興味から見てみたいと思っています。

ただし、そういった興味があっても、今は資本主義が人類にもっともフィットした仕組みとして普及していることは受け入れるしかありません。

 

となれば、世界経済の目覚ましい成長とオルカンの値上がりを味方にした方が良いのでしょう。

 

もしも、それでもあなたが、環境を破壊する資本主義など受け入れられないと思い、社会を変えたいのであれば、行動に矛盾が生まれないようオルカンへの投資は控えるのが賢明です。

 

③急いでお金を増やしたい人

 

ここまで、やや極端なお話しをしてきましたので、当てはまる方は少なかったかもしれません。

 

ただ、ゆっくりお金を増やすのは嫌な人は、一定数いらっしゃるのではないかと思います。

 

70歳、80歳になってから目標としていた資産額を手に入れたとしても、そこから大恋愛をしたり旅に出かけたり、新たな事業を始めたりするのには限界があるのではないでしょうか。

やはり人生にはタイムリミットがありますから、「やりたいことをやれるだけの体力があるうちに」必要なお金を準備したいものです。

 

しかし、オルカンの2000年からの平均的なリターンを見ると年率6.36%とそこまで高いわけではありません。

この利回りでは複利で運用を行っても、2倍にするのに10年かかってしまいます。

 

これでは間に合わないと考え、一度きりの人生なのだから他の人にはできないようなことを成し遂げたいと思う人には、オルカンはおすすめできません。

 

そのようなチャレンジ精神に富んでいる人には、オルカンではなく、大幅成長を狙った小型株への投資や、レバレッジを効かせた短期売買をおすすめしたいです。

リスクを取る必要はありますが、その分年間2倍、3倍の資産増加を狙うこともできます。

 

またこうした投資であれば、世界景気が低迷する場面でも利益を狙う余地があります。

オルカンが少しも値を上げなくとも、市場のどこかに値動きさえあれば、収益を得る機会があるのです。

 

急いでお金を増やしたい人、投資金が少なく元手を増やしたい人には、オルカンよりも小型株への投資や短期売買がおすすめです。

 

投資スタイルは自由!良いところ取りを狙うのも手

 

ここまで読んで「自分はリスクを取りたいから、オルカンへの投資は控えよう」と思う方は少ないかもしれません。

そもそも人間にはリスクを回避したがる傾向があるからです。

 

しかし、人生が一度限りで、大きな成功を手にするためにはリスクを許容する必要があることも、納得がいくのではないかと思います。

大きなリスクは取りたくないけれど、早くお金持ちになれる可能性も捨てたくない、というのが本音かもしれませんね。

 

そのような方には是非、オルカンを積み立てながら、リスクを取れる分のお金で成長株に投資したり、短期売買をしたりと「良いところ取り」をしていただきたいと思っています。

性格や考え方によって合う投資スタイルもさまざまですので、色々な投資手法を試して、自身にとってちょうど良いスタイルを見つけていくのが良いかと思います。

株式情報 投資戦略 2024.04.17

石塚 由奈 石塚 由奈

石塚 由奈

この記事を書いた人

石塚 由奈

日本投資機構株式会社 アナリスト
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本投資機構株式会社 投資戦略部 主任
証券アナリスト(CMA)
テクニカルアナリスト(CMTA®)

国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。

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