【規制強化の衝撃!】 M&A業界はどう変わる?

マーケットニュース 国内情勢 2024.06.11

遠藤 悠市 遠藤 悠市

M&A業界の現状

 

M&A業界は現在、多くの企業が競争力を高めるための戦略として積極的に利用しています。特に薬局業界では、年間約1000件のM&Aが行われていると言われており、富士薬品のような大手企業が主導する業界再編が進行中です。しかし、薬局業界の上位10社のシェアはまだ14%ほどに過ぎず、中小企業が多いというのも現状です。このため、M&Aは中小企業の競争力を高める重要な手段となっています。

 

近年、M&A市場は活況を呈しており、その背景には規制緩和の影響が大きく影響しています。これにより競争が激化し、業界再編が進む一方で、M&A仲介業界でも過当競争や不正なプラクティスが見られます。そのため、中小企業庁はM&A仲介業界の規制強化を検討しており、ガイドラインの見直しや新たな規制導入に向けた動きが見られています。

一部報道では、監督官庁が利益相反や高額手数料にメスを入れるため、規制強化に動くと報じられ、事業環境が今後厳しくなることも想定されています。

 

 

規制強化がもたらす影響

 

M&A仲介業者に対する規制強化は、業界全体に大きな影響を与えることが予想されています。現在、M&A業界は活況を呈しており、大手の仲介会社が急成長を遂げている一方で、中小規模の仲介業者も多数存在しています。しかし、近年では過当競争や不正なプラクティスが問題視されており、中小企業の事業承継においてトラブルも多発しています。

 

これらの問題に対し、中小企業庁はM&A仲介業界の規制強化を検討しており、ガイドラインの見直しや新たな規制の導入を進めています。また、政府は7日、岸田文雄政権が2022年に看板政策として掲げた「新しい資本主義」の実行計画を再改丁し、中小・小規模企業の事業承継やM&A・グループ化を進めるため、仲介事業者の手数料の開示やM&Aの際の経営者保証を見直す枠組みを導入すると表明しました。これに伴い、M&A仲介業者は自身の業務運営を見直さなければならず、特に透明性や公正性の向上が求められるでしょう。倫理規程や自主規制ルールの策定に力を入れることが重要となり、依頼者に対する適切な提案や説明がこれまで以上に求められることとなりそうです。

 

株式市場ではすでに影響が

 

政府がⅯ&A仲介事業者に手数料の開示を求めると伝わると、事業環境が今後厳しくなることを警戒した売りが関連銘柄に波及しました。

 

10日の日本株市場ではM&A総研ホールディングス(9552)は、一時700円安の3205円と制限値幅いっぱいのストップ安、ストライク(6196)も一時13%安の3985円と昨年1月31日以来の日中下落率を更新しました。また、M&Aキャピタルパートナーズ(6080)は一時10%安の1995円と昨年11月1日以来の日中下落率を記録し、日本M&Aセンターホールディングス(2127)は一時9%安の697.7円と昨年12月以来の安値を付けました。

 

規制強化後のM&A市場の未来

 

規制強化後のM&A市場の未来について見通すと、いくつかの重要な変化が予測されます。まず、規制強化によりM&A仲介業者や譲受企業に対する透明性やコンプライアンスの要件が厳格化されることで、市場全体の健全化が進むでしょう。しかし、それに伴い市場規模に影響が出る可能性もあり、一部の中小企業にとっては事業承継のハードルが高まることも懸念されています。

 

将来的には、規制強化がもたらす新たな環境に適応するために、業界全体でのリスク管理やコンプライアンス体制の強化が鍵となるでしょう。結果として、M&A市場はさらに公正で透明性の高い環境へと進化し、より多くの企業が安心してM&Aを活用できる市場が形成されることが期待される一方で、規制強化により収益悪化となる企業も出てくることが想定されるため、関連銘柄の決算内容や事業環境の変化に対するコメント等には注目しておくべきだと見ています。

 

マーケットニュース 国内情勢 2024.06.11

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この記事を書いた人

遠藤 悠市

日本投資機構株式会社 アナリスト日本投資機構株式会社 アナリスト
大学時代に投資家である祖母の影響で日本株のトレーディングを始める。大学時代、アベノミクスの恩恵も受けて、株式投資を投資金30万円で始め4年間で990万円まで資金を増やすことに成功する。卒業後、証券会社、投資顧問会社を経て2019年2月より日本投資機構株式会社の分析者に就任。モメンタム分析を最も得意としており、IPO(新規上場株)やセクター分析にも長けたアナリスト

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