【物価上昇時の切り札!】インフレに強い銘柄選び

株式情報 投資戦略 日本株 2024.06.21

江口 裕臣 江口 裕臣

インフレとは?

 

インフレとは、物価が継続して上昇する現象のことであり、モノやサービスの価格が上昇することで、お金の価値が下がる状況を指します。

具体的には、消費者物価指数が上昇することがインフレの一つの指標となります。

 

2023年の日本は、前年比で消費者物価指数が3.1%以上上昇し、物価が上昇しています。

インフレの影響としては、現金の実質的価値が目減りすることで、現金の価値を維持するためにインフレに強い株式や資産への投資が重要になってきます。

 

インフレの原因は多岐にわたりますが、主な要因としては需給バランスの崩れが挙げられます。

特に需要が供給を上回る場合、モノやサービスの価格が上昇する「良いインフレ」が発生します。

 

一方で、供給側のコスト増加や貨幣供給量の増加などによる「悪いインフレ」も存在しており、ウクライナ情勢などの不安定な要因やエネルギー価格の上昇も、インフレの引き金となることがあります。

 

インフレ進行時には、金利上昇を伴うことも多く、これは借入コストの増加を引き起こすため、経済が上手く回らなくなっていきます。

2023年から日本でもインフレが進行しており、株式市場においても影響が出ていることから、インフレに強い株式や資産への投資が重要視されているのです。

 

インフレに強い企業の特徴

 

インフレに強い株式の特徴は大きく分けて、3つに分類されます。

 

1.価格転嫁が可能な企業

 

インフレが発生した場合、企業は原材料費や人件費などのコストが上昇します。

商品やサービスの価格を適時に引き上げることで、収益を維持できるため、物価上昇の影響を相対的に少なく抑えることができます。

 

たとえば、ブランド価値が高い企業や市場で独占的な地位を持つ企業は、容易に価格転嫁ができるため、インフレに強い特徴があります。

 

2.競争力が強い企業

 

競争力が強い企業は、他社と比較して固有の強みや技術力を持っており、価格上昇にも一定の耐性があります。

競争力のある企業は、コスト増加を価格の引き上げだけでなく、効率化やスケールメリットの活用などで吸収することができるため、インフレ時にも高い収益性を維持しやすい特徴があります。

 

3.資源系企業や不動産

 

資源価格はインフレの進行とともに上昇する傾向があるため、資源系企業は原材料費の上昇を価格に転嫁しやすく、企業の収益も上昇しやすくなります。

また、不動産は一般的にインフレ時に資産価値が上がるため、不動産関連の株式もインフレ対策として有効です。

 

特に、安定した収益を生む不動産投資信託(REIT)は、物価上昇局面での資産保全策として人気です。

 

インフレに強いセクター

 

・食品・飲料セクター

代表例:【2587】サントリー食品インターナショナル

 

日常的に消費される食品や飲料は、生活必需品であり、価格転嫁が容易であるため、全体的な物価上昇の影響を受けにくいとされています。

特に、大手食品メーカーや飲料メーカーはブランド力が強く、消費者からの需要も安定しているため、株価も比較的安定しています。

 

・エネルギーセクター

代表例:【1605】INPEX

 

原油価格の上昇などが代表的な例ですが、エネルギー関連企業は価格上昇を顧客に転嫁することができるため、収益性を維持することができます。

特に、石油・ガス企業は世界的な需給バランスに影響されるため、インフレ時には相対的に有利な立場になることが多く投資妙味が生まれます。

 

・テクノロジーセクター

代表例:【9984】ソフトバンクグループ

 

テクノロジー企業は、高い利益率を有しており、インフレの影響を軽減することができます。

また、製品のアップデートや新サービスの提供などによって、価格上昇を顧客に受け入れさせやすい特徴があります。

 

加えて、デジタル化や自動化の進展により、運営コストを相対的に抑えることができる利点もあります。

 

インフレ時の投資戦略

 

インフレが進行している時期には、特定のセクターや商品の価格が急騰したり、逆に下落することが考えられます。

このため、投資のリスクを軽減する対応策として「分散投資」が非常に重要になります。

 

分散投資とは、株式、不動産、債券、コモディティなど、異なる資産クラスに投資資金を分けて配置する方法です。

インフレ下では、物価上昇や金利上昇の影響を受けやすい特定のセクターのみならず、広範な銘柄に投資することでリスクを分散させることができます。

 

具体的には「インフレに強い株式」やリアルアセット、金などの資産が挙げられます。

インフレ時には短期的な市場の変動が激しくなることが多いため、長期投資の視点を持つことが重要です。

 

長期的に安定した収益を上げる企業や銘柄に投資することで、市場の短期的な変動に左右されず、資産を着実に増やすことが可能です。

インフレが経済全体に与える影響を考慮しながら、持続的な企業価値の向上が期待できる銘柄を選ぶことが、一貫した投資成果を上げるためのポイントとなります。

 

インフレに強い株式投資を進める上で、長期視点の重要性を忘れずに取り組むことが重要です。

 

まとめ

 

物価上昇が続くとお金の価値が下がるため、資産の実質価値を維持するためには、インフレに強い株式を選ぶことが大事です。

インフレに強い株式とは、上述したように食品・飲料セクター、価格転嫁が可能な企業や競争力の強い企業、資源系企業や不動産などが挙げられます。

 

食品・飲料セクターやエネルギーセクター、テクノロジーセクターの銘柄は、インフレ耐性が高く、対応策としての分散投資、インフレヘッジのための資産選択、長期投資の重要性も強調されます。

分散投資によりリスクを分散し、インフレに強い資産を選び出すことで、資産を守りやすくなります。

 

インフレに強い株式銘柄を選び、金利上昇や物価上昇による影響を受けにくい資産を持つことが重要ということです。

 

簡単にまとめると、インフレ時には、インフレに強い株式を選び、分散投資や長期投資を心掛けることが、資産保全とリスク管理のキーポイント。

インフレによる影響を最小限に抑え、資産の実質的な価値を維持する投資を心掛けましょう。

株式情報 投資戦略 日本株 2024.06.21

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この記事を書いた人

江口 裕臣

日本投資機構株式会社 アナリスト
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本投資機構株式会社 アナリスト
テクニカルアナリスト(CMTA®)

著名な元機関投資家や経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーより培った知識と経験を基に、数多くの市場動向の予測や個別銘柄の動向をピンポイントで分析。銘柄の推奨実績において社内の月間最高勝率記録を持つテクニカルアナリスト。

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