リストラが株価に与える影響とは?悪材料でも株価は上がる!
株式情報 投資戦略 日本株 2024.07.11
不景気の代名詞とも言われる「リストラ」。
会社で働いている身からしたら嫌な印象しかない単語ですが、実は株式にとっては良い面があるのをご存じでしょうか?
今回は「リストラ」が株価に与える影響について書いていきたいと思います。
目次
リストラをする企業は業績がボロボロ…とは限らない!
まず最初にリストラの意味を改めて調べてみると「restructuring(再構築)」の略語で、不採算部門の整理、成長分野への進出などを行い、再構築をはかることとなっています。
ですが、現在は「企業の経営悪化等の影響を受けて行う解雇」という意味合いで使われていることが多いです。
それでは何故、経営悪化の影響を受けて解雇を行うかと言うと、解雇を行うことで人件費などを削減出来るからです。
人件費の削減=固定費が減少することで、財務の健全化が期待できます。
また、資産を減らすことで、BPS(一株当たり純資産)や資産回転率などの指標も良くなります。
日本は終身雇用が根付いていることもあり、整理解雇を行うにも様々な条件があり簡単にはできません。
そのため、米国などと比較すると、日本企業が行うリストラは経営が追い詰められた際の最終手段のようなイメージがあります。
ですが、最近では「黒字リストラ」というものも行われています。
黒字リストラとは、経営不振による解雇では無く、人員の入れ替えを目的としたリストラです。
2019年経団連の会長が「終身雇用制度の見直し」に言及したことにより、同年では多くの黒字リストラが行われました。
リストラが「株価上昇の合図」に!?その深い理由とは
上述した通り、リストラを行うと固定費が削減されます。
これは企業が今後の収益性向上のために動いているシグナルになるため、株価が上昇することがあります。
日本はリストラを簡単に行うことができないため、改善の最終手段であり、業績の底打ちの合図とも捉えることが出来ます。
勿論、必ず株価が上がるという訳ではなく、人件費の削減しても業績の改善が見込めない場合や、目先の業績改善のためだけのリストラで将来的な期待が出来ない場合などの場合は上がる可能性は低いです。
リストラが発表された場合は、必ずその企業の財務状況及び事業形態を確認して、今後の業績改善が期待出来るかを確認する必要があります。
例えば一時の特需に対応するために人員を増やして対応していた場合は、リストラで利益改善が見込めますが、人件費ではなく他の費用が多い場合などはリストラでの利益改善の影響が出にくいと見ています。
また、最近はDX化などが進んでいるため、以前より人数を削る余地が生まれている可能性も高いため、人員が少なくなっても対応が出来る可能性があります。
企業規模をそのままに人件費だけを減らすことが出来れば、大幅な利益率の改善が見込めます。
しかし、頻繁にリストラを行ってしまうと、従業員の士気低下や投資家から不信感を持たれることがあるため、リストラを行えばいいというものではありません。
あくまで、将来を見据えての計画的なリストラであれば、株価が上昇する期待があるということです。
リストラ後の「業績改善」が見極めのポイントに
リストラは企業の財務状況改善の手段であり、利益率や株式指標面の改善から投資家の期待が集まり株価が上昇する可能性があります。
しかし、業績の改善に繋がらなければ、株価の上昇期待もできません。
リストラを行った結果、財務状況が改善され将来的な成長に繋がる期待ができることを確認出来れば、株価の上昇の期待も大きくなります。
リストラ発表=株価上昇の合図というわけではございませんが、リストラ発表は企業のターニングポイントである可能性が高いです。
そこで企業の今後の方針などを把握し、成長期待をきちんと把握できれば、大きな利益にも繋がりやすいでしょう。
常に多くの企業の経営状況を把握するのは難しいため、このようなわかりやすいターニングポイントの企業に注目してみるのも良いのではないでしょうか。
株式情報 投資戦略 日本株 2024.07.11
この記事を書いた人
日本投資機構株式会社 データアナリスト
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本ディープラーニング協会認定ジェネラリスト(G検定)
日本投資機構株式会社 データアナリスト
テクニカルアナリスト(CMTA®)
ジェネラリスト(G検定)
総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計等をもとに銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活動の幅を拡げている。
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