【セブン&アイHD】海外企業による買収で株価はどうなる?
株式情報 投資戦略 日本株 2024.09.20
カナダの小売大手「アリマンタシォン・クシュタール」が、セブンアンドアイホールディングスに買収提案を行ったことで、その行方が注目されています。
この記事では、買収提案の詳細や背景、今後の展開について解説していきます。
目次
セブンアンドアイの現状と買収提案
セブンアンドアイホールディングスは、国内外に強力なコンビニエンスストア網を持つ日本の流通業界トップ企業です。
しかし、近年は業績の伸び悩みが続いており、特に米国の物価高や消費の停滞によって、海外事業が苦戦しています。
そんな中、カナダのアリマンタシォン・クシュタールが、セブンアンドアイに対して買収提案を行いました。
セブンアンドアイの株価が低迷していることもあり、買収を進める絶好のタイミングとみているのでしょう。
買収提案はどのような内容だった?
8月19日の日本経済新聞の報道によれば、クシュタールは1株あたり14.86ドル、当時の為替レートで約5.7兆円規模の買収を提案しています。
しかし、セブンアンドアイ側は「価値を著しく過小評価している」として、この提案を拒否しました。
ただし、完全に交渉を拒否するわけではなく、条件次第では再考する余地を残しています。
一方、クシュタールは資金調達に問題はないとして、引き続き買収に前向きな姿勢を示しており、買収価格の上昇が期待される状況です。
クシュタールはなぜセブンアンドアイを買収したいのか?
なぜクシュタールはセブンアンドアイの買収に積極的なのでしょうか?
考えられる理由は2つあります。
米国市場でのシェア拡大
クシュタールは、米国市場でのシェア拡大を目指していると考えられます。
クシュタールのコンビニエンス事業の主力は、ガソリンスタンド併設型の店舗で、売上の約7割が燃料によるものです。
今回の買収提案の背景には、米国での燃料ビジネスの拡大を狙っている可能性があります。
セブンアンドアイも、海外ではガソリンスタンドを併設した店舗が多く、クシュタールにとって非常に魅力的な事業となっています。
つまり、セブンアンドアイ全体を買収するというより、米国事業を手に入れることが主な目的だと考えられます。
食品やコンビニ事業の強化
もう一つの理由は、セブンアンドアイの食品関連のノウハウが魅力的だからです。
クシュタールの売上はガソリンに依存していますが、世界的に脱炭素化が進む中、将来的にはガソリンの需要が減少すると予測されています。
そのため、ガソリン依存から脱却し、食品やコンビニ事業に注力するための戦略転換が必要となっているのです。
セブンイレブンの食品関連のノウハウを取得することで、クシュタールは売上の多様化を図りたいと考えているのではないでしょうか。
今後のセブンアンドアイの株価はどうなる?
セブンアンドアイの買収が実現すれば、クシュタールにとって大きな一手となりますし、セブンアンドアイの株価は買収価格にかけて上昇すると考えられます。
今後は、セブンアンドアイが「過小評価」と主張しているため、買収価格が引き上げられる可能性もあるでしょう。
一方で、経済安全保障の観点や規制当局の承認など、買収に対する障壁も存在し、交渉が難航する可能性もあります。
交渉が失敗に終われば、セブンアンドアイの株価は、買収の話が出る前の水準に戻ってしまう可能性が高いです。
そのため、セブンアンドアイの株式を買い付けたり、保有を継続する際には、リスクとリターンの両面を慎重に見極める必要があります。
買収劇の今後の展開に注目!
アリマンタシォン・クシュタールによるセブンアンドアイの買収提案は、今後の流通業界に大きな影響を与える可能性があります。
特に米国市場や食品事業を強化する狙いが見え隠れしており、今後の交渉の行方によっては、さらなる株価上昇も期待されます。
ただし、交渉が長引く可能性や、買収が失敗に終わるリスクも考慮する必要があります。
セブンアンドアイの買収劇がどのような結末を迎えるのか、引き続き注目です。
株式情報 投資戦略 日本株 2024.09.20
この記事を書いた人
日本投資機構株式会社 データアナリスト
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本ディープラーニング協会認定ジェネラリスト(G検定)
日本投資機構株式会社 データアナリスト
テクニカルアナリスト(CMTA®)
ジェネラリスト(G検定)
総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計等をもとに銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活動の幅を拡げている。
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