【FOMCで0.5%の大幅利下げ!】 これからの株価はどう動く⁉

株式情報 投資戦略 相場展望 2024.09.24

遠藤 悠市 遠藤 悠市

2024年9月18日、米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)において、0.5%の大幅な利下げを決定しました。

 

この決定は政策金利の誘導目標を5.25〜5.50%から4.75〜5.00%に引き下げるもので、通常の0.25%の利下げの2倍に相当します。

 

このような大幅な利下げは実に4年半ぶりのことです。

 

一般的には、金利と株価はシーソーのような関係にあるといわれ、金利が下がると株価は上がり、金利が上がると株価は下がる傾向があります。

 

では、一般的な関係性通り今回の大幅な利下げは株高に繋がるのでしょうか?

 

今回は、過去の利下げの影響や今回の利下げの背景を詳しく探り、今後の株式相場の展望について解説していきます。

 

過去の利下げとその影響

 

 

これまでにもFRBは複数回にわたる利下げを行ってきました。では、過去の利下げが相場にどのような影響をもたらしてきたのか?

 

今回は過去の利下げ時期を直近6回の対象として、1989年6月、1995年7月、1998年9月、2001年1月、2007年9月、2019年7月での利下げが開始された時点を基準に、その後半年間でダウ平均と日経平均株価がどのように推移したかを確認していきます。

 

まず、ダウ平均の動きから確認します。

利下げ開始から半年間で、1989年6月は9.1%上昇、1995年7月は11.4%上昇、1998年9月は22.7%上昇、2001年1月は3.4%下落、2007年9月は9.8%下落、2019年7月は7.0%上昇、という結果になっています。

 

次に、日経平均の動向を確認します。過去6回の利下げ開始から半年間で、1989年6月は11.0%上昇、1995年7月は34.8%上昇、1998年9月は17.9%上昇、2001年1月は8.5%下落、2007年9月は19.6%下落、2019年7月は10.9%上昇しています。

 

ここで注目なのは、ダウ平均・日経平均ともに、6回のうち上昇したのは4回で、下落したのは2回となり、ダウ平均と日経平均は利下げ開始から半年間、同じ方向に動く傾向があると推測される点です。

 

また、利下げ開始から半年間の場合では、利下げが必ずしも株高につながらないことが分かります。

 

利下げ=株高はあくまで一般的な関係性

 

 

過去の事例からもわかるように、一般的な関係性である利下げ=株高は必ずしも成立するわけではありません。

 

なぜ、このような株価動向になるのか?

それは、利下げに踏み切った理由と、最初の利下げから半年以内に米国が景気後退(リセッション)入りしたかが関係しているからです。

 

直近6回の利下げ事例の内、下落の結果となった2001年と2007年は米国において、景気後退局面入りが確認されています。

 

つまり、利下げが開始されて半年以内に景気後退局面入りなら株安に、リセッション回避なら株高になるという傾向があると見られます。

 

今回の利下げは株安?株高?

 

 

過去の事例を踏まえると、株式市場の方向性を決める重要な要素は、利下げそのものではなく、利下げ後の景気動向と考えられます。

 

今回のFOMCによる0.5%の利下げは、FRBのパウエル議長が「雇用悪化への対応に後れを取らないようにする」との決意を示すものでした。

 

これは、米国の労働市場悪化のリスクが高まる状況にあって、経済の力強さを維持することが狙いであり、今までインフレの抑制だけに専念してきた政策運営姿勢の終わりを意味するものだと考えられます。

 

今回の大幅な利下げは、パウエル議長が以前から思い描いていた景気の軟着陸(ソフトランディング)を確実に達成するための取り組みと言えます。

 

ソフトランディングが達成可能であれば、利下げ後の株式市場は上昇傾向となります。

 

では、何をもって達成が可能かどうかを判断するのかというと、米国の経済指標になります。

特に、労働市場に重きを置いている現在では、雇用統計や失業率などの指標から景気動向が測られると考えられます。

 

昨今米国の経済指標への注目度は高まる一方であり、その結果は為替レートや日本株にも影響します。

 

9月18日の利下げ決定を受けて、ドル円は同日の3時30分につけた140.43円から10時40分には143.94円と急速に円安進行となりました。

 

これを受けて、株式市場では円安メリットである電機や自動車関連などの輸出企業を中心に買いが先行し、日経平均株価は前日比で775円上昇しました。

 

このような市場の反応から今回の利下げは株高の可能性も考えられます。

直近の日本株式市場は為替の影響を大きく受けているため、円安進行なら自動車関連を筆頭とした輸出企業、例えば自動車関連の代表格であるトヨタ自動車(7203)や総合電機企業で海外売上比率の高い日立製作所(6501)の株価上昇が顕著に現れると見ています。

 

今後発表される米国の経済指標で景気の軟着陸(ソフトランディング)が意識されれば、

過去の事例通り、利下げ=株高は成立するでしょう。

株式情報 投資戦略 相場展望 2024.09.24

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遠藤 悠市

この記事を書いた人

遠藤 悠市

日本投資機構株式会社 アナリスト日本投資機構株式会社 アナリスト
大学時代に投資家である祖母の影響で日本株のトレーディングを始める。大学時代、アベノミクスの恩恵も受けて、株式投資を投資金30万円で始め4年間で990万円まで資金を増やすことに成功する。卒業後、証券会社、投資顧問会社を経て2019年2月より日本投資機構株式会社の分析者に就任。モメンタム分析を最も得意としており、IPO(新規上場株)やセクター分析にも長けたアナリスト

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