【どうなる?】石破茂新総裁が株式市場に与える影響を解説
株式情報 投資戦略 相場展望 日本株 2024.09.30
2024年9月27日、自民党総裁選で第28代総裁に石破茂氏が選出されました。
金融市場は先んじて高市早苗氏の勝利を見込んでいたため、石破氏が高市氏を破り新総裁に決まると、市場は大きく反応しました。
金融市場では27日の市場の動きを「石破ショック」と呼ぶ向きもありますが、果たしてこの下落の反応は続くのか?
今回は、新総裁となった石破茂氏の経歴や政策、市場の評価などから、今後の日本株式市場がどう推移するのかを考えていきます。
目次
石破茂氏の経歴と政策
石破茂氏は、自民党のベテラン政治家であり、多くの要職を歴任してきました。1957年に鳥取県で生まれ、早稲田大学政治経済学部を卒業後、1986年に初当選しました。その後、防衛大臣、農林水産大臣、地方創生担当大臣などを歴任し、特に安全保障政策に強い関心を持つ政治家として知られています。
石破氏の政策は、①地方経済、②弱者配慮、③防災目的の公共事業、の3つに焦点を当てると予想されます。
石破氏が、安倍元首相と距離を置いていたことはよく知られており、アベノミクスにも懐疑的でした。このため、同氏の政策は、金融市場関係者にとっては不透明感があり、株式市場に対する慎重な姿勢が見られます。
また、新たな政策の中で、金融所得課税の強化は株式市場にネガティブな影響をもたらしました。金融所得課税の強化は、投資家が得る利益に対する税負担を増すものであり、その結果として市場の投資意欲が低下する可能性があります。
特に高額の金融所得を得ている投資家にとっては、税負担の増大が株式市場への投資金額の減少を引き起こすことが懸念され、これにより、日経平均株価のさらなる下落を引き起こす可能性があり、市場全体にとっても不確実性が増す原因の一つとなっています。
日本株式市場に回復の見通しはあるのか
石破茂氏が新総裁に就任し、9月30日の東京株式市場では、日経平均株価が一時2000円以上の下落をするなど「石破ショック」と呼ばれる急落が見られました。
しかし、これが市場に長期間影響を与えるかどうかは別の視点が必要です。通常、新総裁の政策が明らかになるまで、株式市場は不安定な動きを見せることがあります。
2021年9月29日に岸田氏が新総裁となった際の日経平均は5営業日続落しています。岸田氏の場合は不透明感が先行しての続落と見ていますが、今回総裁となった石破氏が当選前に言及していた政策は株式市場にネガティブなものであったことから、30日の急落に繋がったと見ています。また、金融市場が先んじて高市早苗氏の勝利を織り込んでいたことも影響しています。
今後、石破茂氏の金融政策が具体的に示されることで、株式市場が安定する見込みがあると見ています。石破氏が「金融央が判断するべき」と述べているように、金融政策の継続性が確認されると、投資家の心理も安定していくでしょう。
中長期的に株式市場の回復は十分考えられます。
その理由の1つとしては、石破氏が今回総裁選で勝利した要因である。石破氏は議員票をしっかりと獲得して今回勝利となったが、その議員票の中身を見ると、派閥は自陣営46+小泉派75+岸田派61という内容となっています。数で最大なのは小泉派であるものの、岸田派も1/3を占めているわけで、岸田派のこれまでの政策を完全無視したような政策をしようとすれば造反に遭う可能性が高いと思われます。
こういった石破氏支持で動いた派閥のことを考慮すると、石破氏自体も自分独自で考えた政策を全て貫き通すのは非常に難しいと考えられます。
独自の政策に大きな駄目出しは各派閥から出る可能性があり、過去の石破氏の主張からトーンダウンした政策になると思われます。
以上のことを考慮すると、中長期的に株価が切り下がっていくイメージは持ちづらく、特に大きく下落した場面では買いのチャンスになるのではないかと見ています。
株式情報 投資戦略 相場展望 日本株 2024.09.30
この記事を書いた人
日本投資機構株式会社 アナリスト日本投資機構株式会社 アナリスト
大学時代に投資家である祖母の影響で日本株のトレーディングを始める。大学時代、アベノミクスの恩恵も受けて、株式投資を投資金30万円で始め4年間で990万円まで資金を増やすことに成功する。卒業後、証券会社、投資顧問会社を経て2019年2月より日本投資機構株式会社の分析者に就任。モメンタム分析を最も得意としており、IPO(新規上場株)やセクター分析にも長けたアナリスト
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