【過去のデータから探る】 解散総選挙が日経平均株価に与える影響とは?

株式情報 投資戦略 日本株 2024.10.11

遠藤 悠市 遠藤 悠市

石破首相は10月9日に衆議院を解散し、15日公示、27日投開票の日程で衆議院選挙を実施すると表明しています。首相就任から8日後の解散、26日後の投開票はいずれも戦後最短で、解散から投開票までの18日間は、戦後2番目の短期決戦となります。

 

解散総選挙が行われるなどの政治イベントは、投資家の心理に影響を与え、株価の変動を引き起こす要因となることがあります。具体的には、「選挙は買い」というアノマリーが知られており、歴史的に解散や総選挙の期間中には株価が上昇する傾向があると言われています。

 

過去には、衆議院解散・総選挙の度に日経平均株価が上昇するというアノマリーが観察されていますが、波乱の船出となった石破新政権下での、解散・総選挙はアノマリー通りとなるのか?

過去の推移から推察していきます。

 

過去の総選挙における株価の動向分析

 

解散総選挙が行われる度に株式市場では様々な動きが見られます。

過去には、衆議院解散・総選挙の度に日経平均株価が上昇するというアノマリーが観察されています。この現象は「選挙は買い」という言葉で知られており、過去のデータでもその傾向が確認されています。

ここでは、1969年以降に行われた解散・総選挙17回を基として、衆議院解散前営業日の日経平均の終値を基準とし、総選挙前営業日の終値までの騰落率から過去の推移を確認します。

 

すると、解散から総選挙までの日経平均株価は過去17回全てで上昇しているという結果になります。なお、騰落率では1990年の0.2%から2009年の12.1%となっており、平均値は3.9%の上昇となっています。

 

「選挙は買い」というのはアノマリーであり、理論的な株高の説明は困難となりますが、選挙公約などで示される経済政策への期待が株価を刺激している可能性が考えられます。

 

いづれにしても、1969年以降に行われた解散・総選挙17回のデータからは、解散から総選挙までの日経平均株価は上昇傾向にあると言えるでしょう。

 

株高はいつまで続くのか?

 

 

解散から総選挙までの期間、日経平均株価は上昇傾向にあることが過去のデータから判明しました。

では、総選挙後の株価推移はどうなっているのか?

 

こちらも、同様の期間である1969年以降に行われた解散・総選挙17回を基にして、選挙から半年経過後の日経平均株価の騰落率を確認してみます。

 

同期間内の騰落率は1990年の-26.5%から2012年の30.3%となっており、過去17回のうち8回は総選挙から半年後の日経平均株価がマイナスとなることが確認されます。

 

このように、総選挙後の株価推移は上昇、下落まちまちの動きとなっており、与党が大きく勝利し、安定政権となった場合でも、日経平均株価の下落が散見されます。

これは、総選挙が終わると、株価の方向性は、それ以外の材料に左右されると考えられるためです。

 

このことから、総選挙後の半年間では必ずしも「選挙は買い」のアノマリーが継続することはないということがわかります。

 

今回の解散総選挙で日経平均株価はどうなる?

 

過去のデータによれば、解散から総選挙までは基本的に日経平均株価は上昇傾向になると考えられます。今回は10月9日に衆議院を解散し、15日公示、27日投開票の日程で衆議院選挙を実施すると表明しているため、10月9~27日の間で平均3.9%の上昇が期待できるのではないかと見ています。

 

ただし、総選挙後の株価推移は上昇、下落まちまちの動きとなります。

11月には米国の大統領選という大きなイベントを控えているため、日本の解散総選挙後はすぐにそちらに市場の注目が向くことでしょう。

 

「選挙は買い」のアノマリーは、解散から総選挙までの期間が有効的であるという点には注意が必要です。

 

株式情報 投資戦略 日本株 2024.10.11

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この記事を書いた人

遠藤 悠市

日本投資機構株式会社 アナリスト日本投資機構株式会社 アナリスト
大学時代に投資家である祖母の影響で日本株のトレーディングを始める。大学時代、アベノミクスの恩恵も受けて、株式投資を投資金30万円で始め4年間で990万円まで資金を増やすことに成功する。卒業後、証券会社、投資顧問会社を経て2019年2月より日本投資機構株式会社の分析者に就任。モメンタム分析を最も得意としており、IPO(新規上場株)やセクター分析にも長けたアナリスト

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