アクティブETFとは?日本での上場解禁で高配当株などに厳選投資が可能に!

株式情報 投資戦略 日本株 2023.09.14

石塚 由奈 石塚 由奈

9月7日にアクティブ運用を行う上場投資信託(ETF)が、東京証券取引所に初めて上場しました。

 

アクティブ運用を行うETFは、欧米では一般的となっていますが、東証はこれまで上場を認めてきませんでした。

 

しかし、来年から新たなNISA制度が始まることもあって、より投資をしやすい環境を整えるための取り組みの一環で上場解禁に至ったようです。

 

そこでこの記事では、新NISAで買い付ける資産を探している方に向けて、アクティブ型ETFへの投資はオススメできるかを分析し、お伝えしたいと思います。

 

また、ご自身で銘柄を選定している方に向けては、アクティブ型ETFが保有している銘柄をチェックして売買の参考にする方法もご紹介します。

 

アクティブ型ETFの特徴は?

 

まず、アクティブ型ETFというのはどんなものなのか、全体像をご説明しておきます。

 

ETF(上場投資信託)とは、その名の通り、取引所に上場していて、リアルタイムでの売買が可能な投資信託のことを指します。

 

個別株と同じように、オンライン証券で買ったり売ったりできる「手軽さ」に特徴があります。

 

アクティブ運用とは、銘柄の選別などを行い、日経平均やTOPIXなどの指数を上回るリターンを目指す運用スタイルのことを指します。

 

つまり、銘柄の選別などを行う投資信託で、取引所に上場しているものをアクティブ型ETFと言うのです。

 

アクティブ型とインデックス型どちらが良いの?

 

アクティブ運用のような銘柄の選別を行わずに、株価指数へ連動させることを目標とする運用をインデックス運用と言います。

 

アクティブ運用とインデックス運用には、それぞれ以下の図のようなメリット・デメリットがあります。

 

 

人によって好みが異なるのですが、特に「アクティブ運用を行う投資信託は手数料が高いから避けたい」という意見をよく目にします。

 

銘柄選定を行うための調査が必要で、インデックス運用に比べて、コストがかかってしまうわけですね。

 

たしかに、年間10%の利益を狙うために、2%、3%と手数料が取られていたら投資妙味は薄れてしまいますので、手数料は重要なポイントです。

 

ETFは投資信託に比べて手数料の面で有利

 

アクティブ型ETFの手数料について、もう少し詳しくご紹介しておきます。

 

一般的に投資信託の手数料には、運用・管理にかかる費用のほかに、販売を行うための広告宣伝費、人件費も含まれています。

 

そのため銀行や対面の証券会社が販売している投資信託は、購入時の手数料が割高となる場合が多いのです。

 

さらには、信託報酬(保有中の運用・管理にかかる手数料)が高い商品を好んで販売する会社も存在しているのが実情です。

 

その点、ETFは証券取引所での売買が中心ですので、販売を行うための費用がかからず、その分手数料がお得になる傾向があります。

 

 

アクティブ型ETFは、アクティブ運用を採用しているため運用・管理のコストは高くなりやすいですが、販売のためのコストは安くなりやすいと言えます。

 

結果として、インデックス型の投資信託よりは安くないけれど、アクティブ型の投資信託ほどは高くはない手数料に落ち着いています。

 

実際に2023年9月に東証に新規上場したアクティブ型ETF6本の信託報酬は0.41〜0.99%と、1%以下に抑えられています。

 

株式市場全体が上昇すると考えている場合には、インデックス型のETFに投資をした方がお得ですが、そうではない場面ではアクティブ型のETFにも投資妙味がありそうです。

 

「自分の代わりに銘柄を選んで貰う」感覚で投資しよう

 

では、どういった時に、アクティブ型のETFに投資を行うのが良いでしょうか?

 

ここでは、すでにアクティブ型のETFが一般的となっている米国の事例を取り上げてみます。

 

米国では「アーク・イノベーションETF」という破壊的なイノベーションを起こす可能性を秘めた企業を選定し、運用を行うアクティブETFが、コロナ禍の時期に急騰し、話題となりました。

 

【ARKK】アーク・イノベーションETF 週足チャート(2019年6月17日~2023年9月5日)

※TradingView(https://jp.tradingview.com/)のチャートを使用しています。

 

このような、アクティブETFを売買する際には、「代わりに銘柄を選んでもらう」という感覚を持つと良いと思います。

 

たとえば、個人投資家の方が「アメリカの中央銀行であるFRBが、利下げを行った」といったニュースを目にしたとします。

 

一般的には、金利が低下すると成長株が買われやすくなる傾向があるため、こうしたタイミングでは成長株を仕込んでいくのが良いと考えられます。

 

しかし、1つ1つ個別銘柄を見て、成長株のポートフォリオを組むまでには時間も労力もかかってしまいます。

 

そこで、成長株への投資を掲げているETFを買えば、相場の上昇に乗り遅れることもなく、適度に分散された成長株のポートフォリオを持つことができるというわけです。

 

「とりあえず」で買っておいて、自身の考えが変わったり、集中投資したいと思える銘柄を見つけたりした場合には、すぐ市場で売却できるのもETFの良いところかと思います。

 

東証にはどんなアクティブ型ETFが上場したの?

 

東証に上場しているアクティブ型ETFを一覧で紹介

 

9月7日に東証に上場したアクティブ型ETFは、

 

2080 PBR1倍割れ解消推進ETF

2081 政策保有解消推進ETF

2082 投資家経営者一心同体ETF

2083 NEXT FUNDS 日本成長株アクティブ上場投信

2084 NEXT FUNDS 日本高配当株アクティブ上場投信

2085 MAXIS 高配当日本株アクティブ上場投信

 

の計6本です。

 

 

高配当株や成長株に投資を行うETFのほか、PBR1倍割れの銘柄や取引先との関係維持などを目的とした政策保有株の比率が高い銘柄に投資を行う特色あるETFも上場しています。

 

面白いネーミングの「投資家経営者一心同体ETF」は、「取締役会構成員、およびその親族、資産管理会社等の議決権保有割合の合計が相当程度ある企業」を投資対象として選別しているそうです。

 

今後も第2弾、第3弾と、さらに個性的なアクティブ型のETFが上場して、日本株市場を盛り上げてくれる展開にも期待したいです。

 

上場から5営業日でも値動きに大きな差が!

 

アクティブ型ETFが上場してから、記事執筆時点(9月13日)まで、まだ5営業日しか経過していません。

 

しかし、パフォーマンスには既に大きな差が出ています。

 

たとえば、【2083】NEXT FUNDS 日本成長株アクティブ上場投信は、上場日から連続して陰線をつけて、軟調な値動きとなっています。

 

【2083】NEXT FUNDS 日本成長株アクティブ上場投信

日足チャート(2023年9月7日~13日)

 

 

一方で、【2080】PBR1倍割れ解消推進ETFは、切り返し高値を更新しています。

【2080】PBR1倍割れ解消推進ETF

日足チャート(2023年9月7日~13日)

 

同じ期間のアクティブETFの価格変動率を日経平均、TOPIXといった指数と比べてみても値動きが出ていることが分かります。

 

 

騰落率を表にすると【2083】NEXT FUNDS 日本成長株アクティブ上場投信のパフォーマンスが悪いようにも見えますが、今後成長株が優位となる地合いになった場合には、反転する期待もあります。

 

むしろ、明らかに指数とは違った値動きの傾向が出ていることこそが、アクティブに運用を行う意義だとも言えます。

 

こうした特性を把握した上で、戦略を持って投資を行うのであれば、アクティブ型ETFはかなり面白い投資対象になると思います。

 

アクティブ型ETFは個別株の選定にも活用できる!?

 

アクティブ型ETFの保有銘柄はどうやって見るの?

 

東証に上場しているアクティブ型のETFは、保有銘柄の開示を毎日行っています。

 

こうした情報は、ETFを保有していたり、買い付けを検討している投資家だけではなく、個別株の売買を行っている投資家にとっても価値があるかと思います。

 

売却していないか動向には気を払う必要がありますが、相乗りするような形で気になった銘柄を買い付けてみても妙味がありそうですね。

 

各アクティブETFの保有銘柄は、以下のリンクから東京証券取引所のページに飛び、見たいETFの名前をクリックするとCSVファイルにてダウンロードすることが可能です。

 

■ETF現在値、インディカティブNAV、PCF情報(東京証券取引所)

http://tse.factsetdigitalsolutions.com/iopv/table?language=jp

 

アクティブ型ETF上場で、東証はもっと面白くなる!

 

東京証券取引所は現在、様々な投資家を巻き込んで、日本株市場を活況にしようと動いています。

 

これまで認めていなかったアクティブ型ETFの上場解禁も、そのための施策の一つです。

 

実際に投資してみたり、銘柄探しの参考にしたりと、是非ご自身にあったやり方でこの機会を活かしてみてくださいね。

 

株式情報 投資戦略 日本株 2023.09.14

石塚 由奈 石塚 由奈

石塚 由奈

この記事を書いた人

石塚 由奈

日本投資機構株式会社 アナリスト
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本投資機構株式会社 投資戦略部 主任
証券アナリスト(CMA)
テクニカルアナリスト(CMTA®)

国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。

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