日経平均株価はバブル期の高値38,957円突破は可能か!?
投資戦略 マーケットニュース 相場展望 2023.08.02
今回は、日経平均株価がバブル期の高値38,957円を突破できるかどうかについてお話します。
目次
名目GDPと東証プライムの時価総額の関係性
日経平均株価はバブル後の高値水準を更新し、6月19日に高値33,772円89銭に到達しました。その後は高値警戒感が台頭し、利確売りが波及し、調整局面を迎えています。
日経平均株価がバブル期の高値を更新するには、名目GDPという重要な指標が関係しています。名目GDPは、物価の変動を反映した数値で計算されたGDPのことを指し、日本のバブル期の名目GDPは約430兆円でした。
一方、東証一部の時価総額は約600兆円となっています。この時の倍率でいうと約1.4倍です。したがって、日本株の高値水準を推し量る指標として、名目GDPの1.4倍が日本株の頭打ちと考えられることができます。
日経平均株価の上昇余地は?
現在の日本の名目GDPは約585兆円であり、日本株市場の東証プライムの時価総額は一時820兆円まで上昇しています。これらの数字から推測すると、日経平均株価はバブル後の高値33,772円89銭が頭打ちとなったと見ることもできます。
ただし、1989年と現在では、東証1部と東証プライムの上場銘柄数に違いがあり、増加した上場銘柄数を考慮すると、名目GDP対プライム時価総額の高値目途は約1,230兆円となると見られます。
株式投資は一般的にインフレに強い資産とされており、現在のインフレ経済の状況は日本株にとってプラス材料となります。2023年の名目GDPの成長率は政府が2.0%と予測していますが、それ以上の成長も予想されています。
これにより、日経平均株価の高値水準も切り上がる可能性があるため、日経平均株価は6月19日の高値33,772円89銭が天井ではなく、更なる上昇余地を有していると見ています。
米国株市場と日本株市場の現状
米国株市場の動きを見ると、個人消費支出コア指数の伸びが予想以上に鈍化し、インフレが鈍化傾向にあることを暗示しています。加えて、消費の堅調さも確認されており、ソフトランディング期待が高まっている状況。
米国では決算期を迎えており、プロクター&ギャンブルや半導体のインテルの好決算と金利の低下でハイテク株への買いが再燃し、株式市場は活況となっています。また投資家の恐怖心理を示すVIX指数も低下しており、米株市場は調整局面を終えたように見えます。
FRBの利上げも最終局面に近づいており、アメリカ経済が安定して成長していることを示す指標が出ていることから、アメリカ経済の成長と回復は日本株市場にとってプラス材料であり、適温相場の到来を予期していると見ています。
そして日本企業の想定為替レートも注目すべきポイントの一つです。日銀短観の大企業・製造業の2023年度の想定為替レートは1ドル=131円55銭、1ユーロ=130円02銭となっています。この想定為替レートから大きく上方に乖離した水準が現在であり、日本の製造業の業績は予想を超える可能性があります。
日銀のYCC修正による影響
注目すべきは7月28日の日銀の金融政策決定会合で行われた金融政策の修正です。この決定により、一時的に日経平均株価が850円下落しました。日本株にとってはマイナス材料ですが、終値ベースで33,000円台を回復しており、米国経済のインフレ鈍化が市場を下支えしています。
YCCの修正により、日本と他の先進国の金融政策には差が生まれていますが、日本のマイナス金利政策が継続している限り、日米の金利差は依然として大きいため、円高リスクは上値余地が限られていると見ています。
ただし、日銀の政策修正は市場に波乱をもたらす可能性がありますので、我々、個人投資家は短期的なリスクに注意が必要です。
まとめ
現在、日本株市場は一時的な買い疲れ感が見られ、調整局面に入っています。バブル後の高値33,772円89銭を上限に、天井形成サイクルからの転換が進んでいるかどうかには注意をすべきでしょう。日本株の中長期的な上昇余地はまだまだありますが、株式市場の未来を正確に予測することは容易ではありません。
バブル時の高値38,957円を突破する可能性は十分にあると見ていますが、短期的な下落リスクも台頭していることを忘れず、着実な投資戦略を築いていく必要があります。イレギュラーは常に頭に入れつつ、将来に向けた堅実な投資を心掛けましょう。
投資戦略 マーケットニュース 相場展望 2023.08.02
この記事を書いた人
日本投資機構株式会社 アナリスト
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)日本投資機構株式会社 アナリスト
テクニカルアナリスト(CMTA®)
著名な元機関投資家や経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーより培った知識と経験を基に、数多くの市場動向の予測や個別銘柄の動向をピンポイントで分析。銘柄の推奨実績において社内の月間最高勝率記録を持つテクニカルアナリスト。
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