日経平均上下しながら再び32,000円割れ…今週どこまで下がる?

株式情報 投資戦略 相場展望 日本株 2023.10.02

高橋 佑輔 高橋 佑輔

上下はしているものの、日経平均株価の下落が止まりません。先週の4日続落で33,000円を割りましたが下げ止まることなく下降し、再び32,000円を割り軟調に推移しています。

 

一時は、年初来高値更新を狙える水準まで上昇したものの、ここに来てまた失速です。また方向感も乏しく、下降中ではあるものの、完全に下落方向に向かっているような動きもありません。

 

そのようなこともあり、この方向感のなさや、直近の下落が続く状況を見て、ここからの展開が不安な方もいるかもしれません。

 

まだ悲観的な段階ではありませんが、心配な動きをしているのが、今の日本株でしょう。まさにボックス圏の中を右往左往する展開が続いている日本株ですが、ここからどうなるのでしょうか。

 

そこで、私たちが日本株市場のトレンドを捉えることを目的に独自開発した「株トレンド指数」をもとに、先週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。

 

先週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは2023/9/14~2023/9/28の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

 

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

 

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

 

これらの指数をふまえると、先週の株式市場は先週と違い、日経平均株価と株式市場全体が、”あまり連動していない週”でした。

 

株トレンド指数の発生状況を見ても分かる通り、株式市場全体にトレンドがほとんど発生していないのが今週でした。そのような中、日経平均株価は多少上下していましたので、あまり連動性がなかったと考えられます。

 

端的に言えば、先週の株式市場は「無風状態」だったと判断できるでしょう。そのような中、日経平均株価が多少上下する関係性でした。

 

そのようなこともあり、日経平均株価を基準に相場分析する人と、私たちのように株トレンド指数を基準に相場分析する人では、あまり差異がなかったと考えられます。

 

ここで詳細を見ておきましょう。週明け9/25は、前週の続落から日経平均株価が少々反発しました。それに連動するように、無風状態の中ではありますが、株トレンド指数の中で、天井指数が目立ちました。

 

9/26、9/27は日経平均株価がほぼ横ばいです。このときの株トレンド指数は、やはり無風状態ですので、ここでは両者が連動していました。

 

そして、9/28は日経平均株価と株トレンド指数の連動性がやや崩れました。ただし、無風状態の中ですので、誤差の範囲といえば、その範囲でしょう。

 

無風状態ではありますが、株トレンド指数の中で上昇傾向を示す天井指数がやや目立ちました。それに対して、日経平均株価は小幅下落しました。

 

このように今週は、無風状態の中で、日経平均株価だけが多少上下したので、連動性に乏しい週になったと考えられます。

 

また、日経平均株価の推移だけ見ると下降中ではありますが、株トレンド指数を見ると、特段トレンドが発生していないことが分かります。

 

そのようなこともあり、強いて言うなら、日経平均株価を基準に相場分析する人の中には、この下降中の状況を見て「日本株が下落傾向に入った」と考えてしまったかもしれません。

 

しかし、株トレンド指数やこれまでの解説の通り、あくまでも「無風状態」ですので、この日経平均株価の下降は一時期なものであり、方向感が出るまでは至っていないことが分かります。

 

株トレンド指数を見ると、きっぱり「無風状態」と判断することができますが、日経平均株価だけを見ていると、「33,000円割れ」「32,000円割れ」という節目を下抜けすることに目がいき、不安になってしまったかもしれません。

 

とくにこの無風状態の判断は、円単位ではなく割合単位で変動を見てもつかみにくい分析結果です。株トレンド指数を見ると、一目瞭然ですが、他の分析では得ることが難しい結果でもあります。

 

そういった意味では、先週の株式市場は、株トレンド指数を使っているかどうかで、損益上では変わりがなくても、相場の把握の部分で差異があったかもしれません。

 

では、ここで直近2ヶ月間の状況も見てみましょう。日経平均株価を基準に見ると、先週から下落が続いていることが分かります。ただし、まだボックス圏を下抜けすることなく、中心よりはやや下でとどまっていることが分かります。

 

先週の推移だけ見ると心配になってしまう部分もあるかもしれません。しかし、このような時間軸で見ると、まだ悲観的になるような水準ではないと判断できるでしょう。

 

株トレンド指数を基準に見ると、先週に続きトレンドの発生が乏しくなり、無風状態が続いていることが分かります。

 

日経平均株価が年初来高値更新を射程圏にしたときの株トレンド指数の発生状況と、先々週先週の状況を比較すると、今週の株式市場は、ほぼ何も起きていないに等しい状況であることが分かります。

 

この状況を見る限り、今週いきなり下落方向に動くことや、反対に上昇方向に動くことは、なかなか考えにくいでしょう。

 

直近の日経平均株価の下落はボックス圏特有の右往左往する動きの一つであり、まだ下落方向に方向感が出るような場面にはきていないでしょう。

 

なお、ここからポイントになるのは、この無風状態の中で、日経平均株価が株式市場全体と連動性なく一人だけ下落するかでしょう。

 

もし、このままダラダラと下落を続け、8/25に付けた31,624円を下抜けすることになると、9月以降に一段高くなったボックス圏の水準が、再び下がることになります。

このように、ここからはボックス圏の水準がどうなるかが展開をみるうえで必要なキーになってくるでしょう。

 

補足として株式市場の需給バランスを見ておきましょう。最新の 「投資主体別売買動向」を見る限り、需給バランスは、以下の通りでした。

 

・外国人投資家:小さく売り → 大きく売りに転換
・個人投資家:小さく売り → 大きく買いに転換
・日本の機関投資家:やや売り → 小さく売りに転換

 

最新週のデータでは、前週のデータから変動がありました。大きく、個人投資家と機関投資家で分かれています。日本の個人投資家は、大きく買いに転じました。対して、外国人投資家と日本の機関投資家は売りです。

 

このように、直近の株式市場は、需給バランスが均衡している状態です。ここからも、今週の無風状態の理由が見えてきます。

 

ここから次にどのような動きになるかは分かりませんが、この均衡している状態が崩れない限り、上方向にも下方向にも方向感が出るのは難しいでしょう。

 

このように、需給バランスからも株式市場が動きにくい状態であることが分かりました。今はボックス圏の中をウロウロしている状況が続いています。

 

引き続き、ボックス圏を推移していることを意識し、株価に上下があっても、まだどちらの方向に動くか分からない状態と中立の立場を崩さないようにして行くのが良いでしょう。

※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。


※2.本記事は2023/9/28(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ9/29前場時点のデータも含まれています)。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。

株式情報 投資戦略 相場展望 日本株 2023.10.02

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高橋 佑輔

この記事を書いた人

高橋 佑輔

株式会社SAC Technologies ストラテジストでありトレード歴12年以上の現役ベテラントレーダー。2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。単年で負ける年もあったものの12年間以上、安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。

 

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