日経平均5営業日で約1,300円下落するも反発から辛くも31,000円を継続中…週明け下落の可能性は?

株式情報 投資戦略 相場展望 日本株 2023.10.10

高橋 佑輔 高橋 佑輔

9月からの流れが続き、今月も日経平均株価の下落が止まりません。先週末から数えると、10/5時点で日経平均株価は5営業日で約1,300円下落しました。

 

何とか10/5の小幅反発で辛くも31,000円を維持しましたが、9/7の下落からほぼ毎日のように下落が続いています。9/7以降上昇したのはたった6営業日で、その他の13営業日は下落しています。

 

そして、まだ下げ止まったようには見えず、安心できない状況が続いています。このような株式市場の動きを見て「いったい、どこまで下がるのだろう…」と心配な方も多いかもしれません。

 

これまでボックス圏を推移してきてはいるものの、依然として高値圏を推移していたこともあり、9/7以降の急降下のような下落は心配なところでしょう。いったい、これから日本株は、どのような展開が予測されるのでしょうか。

 

そこで、私たちが日本株市場のトレンドを捉えることを目的に独自開発した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。

 

今週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは2023/9/21~2023/10/5の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

 

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

 

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

 

これらの指数をふまえると、今週の株式市場は先週と同様、日経平均株価と株式市場全体が、”あまり連動していない週”でした。

 

ただし、こちらも先週と同様、ほぼ株トレンド指数が発生していない状況でしたので「無風状態」の中で、あまり連動していない週だったと考えられます。

 

具体的に見ると、週の前半10/2と10/3は、株式市場全体にほぼトレンドがない無風状態の中で、日経平均株価が小幅に下落しました。

 

そして、10/4に下落傾向を示す底値指数の水準が上がったことと連動するように、日経平均株価は約2.28%下落しました。10/5は再び無風状態に戻り、その中で日経平均株価は上昇しました。

 

このように、10/4の日経平均株価の下落時は、株トレンド指数とやや連動したものの、その他は株トレンド指数が無風状態を示す状況でしたので、日経平均株価は連動することなく小幅な変動をしていました。

 

今週も無風状態でしたので、今回は先週も含めて、改めて状況を見てみましょう。日経平均株価は、9/21以降上下はあるものの右肩下がりを描き、下落が止まらない状況です。

 

それに対して、株トレンド指数は、10/4の底値指数を除き、ほぼゼロに近い状態でした。ここから無風状態が続いていることがより分かるでしょう。

 

つまり、先週から今週にかけては、「トレンドが発生していない状態(無風状態)の中で日経平均株価だけが変動している」と読み取ることができます。

 

円単位で見ると、10/4に日経平均株価は約711円下落しました。また、範囲を広げ直近5営業日で見ると、日経平均株価は約1300円下落しました。

 

このように円単位で見ると、株トレンド指数を基準にせず、日経平均株価だけで相場分析している人にとっては、とてもストレスの溜まる週だったでしょう。

 

しかし、繰り返しお伝えしている通り、今の株式市場にトレンドは発生していません。日経平均株価は多少上下していますが、株トレンド指数の発生状況を見ると、ほとんど上下もない状況です。

 

つまり、今の状況は上下もないので、「方向感がない」「方向感が乏しい」などの表現ではなく、「全くと言ってよいほど、何も起きていない」のが正しい分析になると考えられます。

 

こうなると、次の展開は全く読めない状況にきています。仮に10/4に発生した底値指数が10/5も上昇するようなことがあれば、下落方向に株式市場が動き出している可能性があると読み取れました。

 

しかしながら、10/5の底値指数は再び小さくなってしまいました。若干発生しているようにも見えますが、同時に上昇傾向を示す天井指数も上昇しています。

 

結果的に、小さいながらも上昇傾向と下落傾向が均衡してしまっているので、10/4の流れを組み、そのまま下落方向に進む可能性は少なくなりました。

 

もちろん、10/6の株式市場の展開で変わることもあります。ですが、現状を見る限り、日経平均株価の動きほど、株式市場全体は動いていないと考えられます。

 

よって、ここから株式市場は、何らかの大きな材料が発生しない限り、次の展開を迎えるまでには時間を要することになるでしょう。

 

では、更に状況を詳しく見ることを目的に直近2ヶ月間の状況も見てみましょう。

 

日経平均株価を基準に見ると、先週からの下落が続いていることが分かります。そして、先週の時点でボックス圏を下抜けする基準の8/25に付けた31,624円を抜けたことが分かります。

 

こうなると、ボックス圏の下値を下抜けしたと考えられるので、ここから下落が加速するようにも見受けられます。ですが、10/5に反発していることもあり、まだ完全な下抜けになるか現時点では分からないでしょう。

 

株トレンド指数を基準に見ると、先週に続きトレンドの発生が乏しくなり、無風状態が続いていることが分かります。10/4と10/5はややトレンドが発生しているようにも見えますが、過去2ヶ月で見ると、やはり無風状態であると読み取れます。

 

このように、日経平均株価と株トレンド指数の状況をふまえると、まだ完全に下落方向に方向感が出ているようには見受けられません。

 

また、ボックス圏の下値を抜けたかに関しても、まだ下抜けしたとは言い切れない状況です。ただし、ここから日経平均株価31,500円付近を維持するような水準に届かない場合は、ボックス圏の水準が一段下がったと考えるのが妥当でしょう。

 

こうなると、次のポイントは日経平均株価が、どこまで反発するかになります。株式市場全体のトレンドは無風状態なので、引き続き横ばい状態が続くと考えられます。

 

ですが、その横ばい状態が日経平均株価の水準を上げて横ばいなのか、下げて横ばいなのかは、ここからの反発状況を見ないと分かりません。

 

ここからは、そのような点に着目しながら、ここからの展開を見ていくと良いでしょう。

 

補足として株式市場の需給バランスを見ておきましょう。最新の 「投資主体別売買動向」を見る限り、需給バランスは、以下の通りでした。

 

・外国人投資家:大きく売り → 中立に転換
・個人投資家:大きく買い → 大きく買いを維持
・日本の機関投資家:小さく売り → さらに売りに転換

 

最新週のデータでは、前週のデータから変動がありました。三者三様のポジションになっています。前週は個人投資家と機関投資家でポジションが異なり、需給バランスが均衡していました。

 

最新週は、同じく需給バランスが均衡しているもの、三者三様になったことから、内訳が変動したことが分かります。

 

この情報を見る限り、このまま個人投資家の買いが続き、そこに外国人投資家が追随してくるようなことがあれば、ここからの展開は上昇に変わる可能性が高いでしょう。

 

反対に、外国人投資家が中立から売りに転換すると、無風状態の展開が変わり、一気に下落方向に動く可能性が強まります。

 

現状の株式市場は、無風状態ですので次の展開を動かすきっかけになるのは、この需給バランスだとも考えられます。

 

こちらの情報は、インターネットで無料で閲覧できる情報です。ぜひ、このような情報も補足情報としてみながら、この無風状態がいつ転換するか見ていくのも良いのではないでしょうか。

 

ここからのポイントは、ボックス圏を完全に下抜けし、ボックス圏の水準が下がるのか、もしくは反発し、以前の水準に戻るのかになるでしょう。

 

そして、その展開の要因になるのが、ここからの各投資家の需給バランスです。今は三者三様の均衡ですが、このバランスが崩れたとき、株トレンド指数も動き出し、次の展開になると考えられます。

 

今は、無風状態がゆえに分からないことがとても多い状況です。しかしながら、このようにポイントはありますので、ぜひこのポイントに着目しながら、引き続き中立を前提としながら株式市場の動向を見て行きましょう。

※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。


※2.本記事は2023/10/5(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。

株式情報 投資戦略 相場展望 日本株 2023.10.10

高橋 佑輔 高橋 佑輔

高橋 佑輔

この記事を書いた人

高橋 佑輔

トレード歴12年以上の現役トレーダー。トレーダーとして2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。単年で負ける年もあったものの12年間以上、安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。

 

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