日経平均2日間で1,300円以上下落…日本株天井を迎えて、このまま下落?

株式情報 投資戦略 相場展望 日本株 2023.08.06

高橋 佑輔 高橋 佑輔

8/2、8/3の日経平均株価の1,300円以上の下落を見て「ここが天井なのでは?」と考えている人はいますか?

 

先週の日経平均株価は、前半には続伸し700円以上上昇したものの、そこから上昇分を反落するかのように続落し1,300円以上下落しました。

 

約2%上昇したのち、約4%下落したので、結果的に先週よりも下落したうえ、この1,300円という円単位の数字は印象的かもしれません。

 

その一方で、%で見ると円単位ほどの変動はなく、調整局面を抜け、方向感のないボックス圏を推移しているとも考えられます。

 

このように、なかなか現状を分析するのが難しい状況ですが、果たして日本株市場はここからどのように推移する可能性が高いのでしょうか?

 

そこで、私たちが日本株市場のトレンドを捉えることを目的に独自開発した「株トレンド指数」をもとに、先週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。

 

先週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは2023/7/20~2023/8/2の日経平均株価と、株トレンド指数の状況です。

 

先週の株式市場動向|シナジスタ

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

 

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

 

これらの指数をふまえると、先週の株式市場は日経平均株価と株式市場全体が、”やや連動している週”でした。ただし、週の半分のデータですので、大まかに捉えるのが良いでしょう。

 

また、先々週までの無風状態に近い状態を脱し、今週は小さなトレンドが発生してきました。

 

詳細を見ると、7/31、8/1は日経平均株価も上昇し、株トレンド指数の中でも天井指数が直近では比較的高い水準まで上昇しました。

 

しかし、8/2は日経平均株価が下落したのに対し、株トレンド指数の中で最も目立ったのは天井指数でした。

 

8/2の日経平均株価は、円単位で見ると大きく下落したように見えましたが、割合で見ると約2.3%にとどまっていました。

 

そのようなこともあり、下落傾向を示す底値指数もそれほど上昇することなく、むしろ下がると思いがちな天井指数が、そこまで大きく下がっていないことが分かります。

 

また、下落リスクが安全圏であることを示す空売り指数が10以上の水準も維持されていることから、今回の下落は暴落を引き起こすような下落ではないことが読み取れます。

 

よって、先週の株式市場は、あくまでもボックス圏の中での上下であったと判断できます。

 

しかしながら、先週の株式市場は、私たちのように株トレンド指数ではなく、日経平均株価を基準に相場分析したり、その中でも円単位の変動を基準に分析したりしている人たちにとっては、ジェットコースターのような週だったかもしれません。

 

また、週の初めの続伸も、株トレンド指数を見ると、先週からボックス圏の範囲で上昇の可能性があることを読み取ることができましたが、日経平均株価だけを見ていると、なかなか掴むことができなかったでしょう。

 

そのようなこともあり、週初めの上昇を不思議に感じ、そこから一気に下落したので、理由が分からない中で、株価の変動に一喜一憂してしまったかもしれません。

 

そういった意味で先週の株式市場は、株トレンド指数で先週の状況をつかんでいた私たちと、日経平均株価だけをみて状況をつかんでいた人たちでは、差異が出たでしょう。

 

特に今の株式市場は、一時期の上昇トレンドが終わり、調整局面というよりもボックス圏という言葉が適した状況です。

 

ボックス圏では、全く予測しない方向に株価が動きやすいので、ボックス圏の中でも、完全な中立なのか、上昇しようとしているか、下落しようとしているか、などの細かい情報をつかめないと、目の前の株価に翻弄される可能性が高まるでしょう。

 

ゆえに、先週の株式市場は、先々週のほぼ無風状態から小さなトレンドが発生したので、難しいタイミングだったと言えるでしょう。

 

では、直近2ヶ月間の状況を見て、より状況を詳しくみてみましょう。

 

日経平均株価を基準に見ると、調整局面を抜けボックス圏に入ったと考えられます。また、株トレンド指数を見ると、無風状態に近かった状態を抜け、やや上昇傾向のトレンドが発生していることが分かります。

 

ただし、そのトレンドは、日経平均株価の動きが象徴するように、株式市場全体を牽引するようなトレンドではなく、ボックス圏の中で一時的に発生した小さなトレンドだと考えられます。

 

日経平均株価を基準に見ると、ボックス圏の上値付近まで上昇を試みましたが、そこで跳ね返されたのが先週の株式市場なのでしょう。

 

そうなると、先週の段階で予測した通り、ここからは日経平均株価32,000~33,000円などの水準を上値と下値の目安として、上下に方向感なく推移する可能性が高いでしょう。

 

なお、先週の株式市場が良い例ですが、日経平均株価がこの水準までくると、同じ1%の変動でも、円単位で見ると大きくなります。

 

それに加え、メディアなどでは割合ではなく円単位の推移を大きく取り上げ、あたかも大きな上下あったかのように表現しがちです。

 

しかし、3万円を超えた段階から、割合で見ると数%の変動ですが、円単位で変動を見ると大きな変動に感じるなど、錯覚を起こしやすいのでご注意ください。

 

先ほどは便宜上、円単位で表現しましたが、この水準までくると2%程度の変動で500~600円変動します。直近が32,500円前後を推移していますので、そこから2%の変動があると、上記のような円単位の範囲での変動になります。

 

そして、実際に先週の日経平均株価は、そのような範囲での変動を見せました。このように、再上昇を期待したものの、上がっては下がって、下がっては上がってを繰り返すのがボックス圏特有の動きですので、しばらくこの動きが続くことを想定しておくと良いでしょう。

 

そういった意味では、今後は日経平均株価が再び高値を更新するのか、それともその手前で跳ね返されるのか、32,000円を割り、そのまま下抜けするのか、それとも反発するのかと、ボックス圏の上値と下値を抜けるかどうかがポイントになるでしょう。

 

なお、「ここが天井か?」という疑問があるかもしれませんが、現在のボックス圏を考慮すると、まだ天井とは言い切れない状況です。

 

特に、ボックス圏の中でも天井指数が目立つなど、上昇傾向を残した状態でのボックス圏が続いています。その点を考慮すると、まだ下落方向へ動くとは断定できませんので、まだ天井だとは判断できないでしょう。

 

「まだ上昇の余地を残したボックス圏」というのが、現在の株式市場を表すのに適していると考えられます。

 

また、補足情報として株式市場の需給バランスを見ておきましょう。最新の 「投資主体別売買動向」を見る限り、需給バランスは、以下の通りでした。

 

・外国人投資家:中立→わずかに買いに転換
・個人投資家:中立→やや売りに転換
・日本の機関投資家:中立→わずかに売りに転換

 

日本株市場を構成する三大投資家全員が中立であった状態からやや動き出しました。ただし、いずれも「やや」「わずか」という言葉が付く程度ですので、膠着状態に近いと読み取れるでしょう。

 

やはり、ここからもボックス圏に入ったと考えられます。また、微妙な需給バランスなので、誰かが違う動きをすると、そちらの方向に動きやすいとも考えられます。

 

この需給バランスがどうなるかは、誰も分からないところですので、ここからも方向感なくボックス圏を推移する可能性が高いと読み取れるでしょう。

 

そうなると、難しいのが利益を狙うことです。先週は円単位で見ると、多少動いたように見えますが、割合で見ると利益を狙えるような変動をしていません。

 

また、とても予測がつきにくい方向感のない動きをしているので、売買のタイミングを絶妙なタイミングで見極めるのは難しいでしょう。

 

そのようなこともありますので、先週に続き、方向感が出て変動幅が大きくなるまで、引き続き様子見するのが良いかもしれません。

 

※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。


※2.本記事は2023/8/2(水)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。

株式情報 投資戦略 相場展望 日本株 2023.08.06

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高橋 佑輔

この記事を書いた人

高橋 佑輔

トレード歴12年以上の現役トレーダー。トレーダーとして2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。単年で負ける年もあったものの12年間以上、安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。

 

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