日経平均高値更新で37,000円到達し、やや上向きに展開中…週明けさらに上昇の可能性は?

株式情報 投資戦略 相場展望 日本株 2024.02.10

高橋 佑輔 高橋 佑輔

日経平均株37,000円に到達です。まだ、2/9の前場時点のデータなので、終値ベースで更新できるは分かりませんが、これまで届きそうで届かなかった水準に到達しました。

 

前日には、終値ベースで高値を更新するなど、それまで横ばいだった状態から、やや上向きに展開しつつあるようにも見受けられます。

 

ただし、それ以前は1%未満の変動が1月下旬から続き、2/8の上昇も約2%にとどまっていることから、まだ本格的に上昇しているとは判断できない状況です。

 

あくまでも、日経平均株価の高値更新があっただけで、まだ株式市場全体が上昇するような、待ち望んでいる展開には、まだ至っていません。

 

そのようなこともあり、ここから個別銘柄ベースでも上昇するような本格的な上昇トレンドが発生するか気になる人も多いのではないでしょうか。

 

そこで、私たちが日本株市場のトレンドを捉えることを目的に独自開発した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。

 

今週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは2024/1/26~2024/2/8の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

 

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

 

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

 

これらの指数をふまえると今週の株式市場は、日経平均株価と株式市場全体が、”あまり連動していない週”でした。

 

また、この連動性がないことにより、日経平均株価だけを基準に相場分析している人と、私たちのように株トレンド指数も基準に相場分析している人では差異が生じたでしょう。

 

しばらく、この両者に明確な差異が生じることがありませんでした。今回、久しぶりに差異が生じたことで、ここからの展開の予測には、両者で差異が生じる可能性が高いでしょう。

 

それに伴い、まず詳細から見て行くと、週初めの日経平均株価は小幅上昇しました。それに対し、上昇傾向を示す天井指数は約60まで上昇し、小さいものの直近の中では明確な上昇が発生しました。

 

そして、2/6、2/7の日経平均株価は小幅下落が続きました。しかし、株トレンド指数を見る限り、上昇傾向を示す天井指数の水準が他に比べて高かったので、株式市場全体は上昇を維持していたと考えられます。

 

日経平均株価も一時的な停滞と捉えれば次の上昇への維持に見えますが、株トレンド指数のようなものを見ない限り、なかなかそのように判断するのは難しいかもしれません。

 

そして、2/8は終値ベースで日経平均株価が高値更新しました。円単位で見ると743円、割合で見ると約2%上昇しました。

 

高値更新の言葉の響きもあり、日経平均株価だけを基準に円単位で見ると、この日は急上昇したように感じた人もいるかもしれません。

 

ですが、割合で見ると2%程度なので、それほど大きな上昇ではありませんでした。ただ、高値更新などの言葉をたくさん見ると、大きく上昇したと錯覚した人もいたでしょう。

 

対して、同日の株トレンド指数は、上昇傾向を示す天井指数が、むしろ前日よりも下がりました。また、上昇にブレーキを掛ける空売り指数も水準が上がりました。

 

空売り指数は、まだ完全にブレーキを掛けるまではいきませんが、多少水準が上がったことや、天井指数が前日よりも減少していることをふまえると、株式市場全体は上昇していないことが分かります。

 

以上をふまえると、日経平均株価だけを基準に相場分析すると、今週は週末に急上昇した週だと読み取ってもおかしくはありません。

 

これに対して、株トレンド指数を基準に相場分析すると、今週はあくまでも日経平均株価のみの変動で、株式市場全体は、まだ上昇前の水準に留まっていると読み取れます。

 

このように、日経平均株価を基準にしていても、割合で変動幅を捉えていれば、株トレンド指数での相場分析と差異は小さいかもしれませんが、円単位で捉えていると、その差異は大きいのが今週でしょう。

 

このように、今週は日経平均株価だけを基準にすると「急上昇中」と錯覚する可能性があり、株トレンド指数を基準すると「まだ上昇していない」という反対の分析をすることになったでしょう。

 

直近2ヶ月間の状況もふまえて、より現状を詳しく見てみましょう。

 

日経平均株価を基準に見ると、先週までの横ばい状態を、終値ベースで高値更新した2/8に上抜けしたようにも見えます。

 

ただし、あくまでもこれは一時的な動きなので、まだ1月中旬以降の横ばいを上抜けしいないと考えられるでしょう。

 

今週だけの短期間で見ると急上昇のように見えますが、2ヶ月間で見ると、まだそこには至っていないことが分かります。

 

株トレンド指数を基準に見ると、今週の株式市場は、まだ市場全体が上昇するには至らず、2/5をピークに小さな上昇が発生したと読み取れます。

 

まだ株式市場全体を牽引するような上昇にはなっていないので、日経平均株価が2/8に終値ベースで高値更新したのは、一部の銘柄が上昇したのが要因だと推測できるでしょう。

 

こうなると、難しいのが、次の展開の予測です。日経平均株価は、1月中旬以降のボックス圏を上抜けしたように見えるだけで、まだそこには至っていません。

 

天井指数も、発生は続いているものの、まだ低水準の状態なので、ここから上昇しそうだという状況ではないと見受けられます。

 

そのような点をふまえると、今言えるのは「現状は1月中旬以降のボックス圏を抜けきれていないが、上抜けを目指そうとしている」ということでしょう。

 

もし、上抜けするならば、最低でも1月上旬の天井指数の水準が必要です。現状は、まだその半分以下なので、株式市場全体がもう一段上の水準に行くには、もう少々時間を要しそうにも見えます。

 

ただし、現状を見る限り、天井指数の動きがセオリー通りの上昇前の発生状況ではないので、突発的な現象で上昇することもあるかもしれません。

 

しかし、それはあくまでも突発的なもので、継続的な上昇ではないかと考えられます。継続的な上昇、つまり上昇トレンドになるには、もう少し時間を要すると思います。

 

なお、これまで何度もお伝えしている「ダマシ」ですが、現状を見る限り、まだダマシがあるようなタイミングだとは思えない状況です。

 

あくまでも、今はボックス圏を上抜けしようとしつつも、横ばいにふらついている状態なので、これまで何度もお伝えしていたような確率で、週明けの上昇が見込めるわけではありません。

 

現状を見る限り、そうなるまでにも「まだ時間がかかる」と考えられるでしょう。

 

ここで補足として株式市場の需給バランスも見ておきましょう。最新の 「投資主体別売買動向」を見ると、需給バランスは、以下の通りでした。

 

・外国人投資家:買い → 小さな買いに減少
・個人投資家:買い → 小さな買いに減少
・日本の機関投資家:売り → 変わらず(売り)

 

全体としては、「売り≒買い」の状態だと読み取れます。タイムラグのあるデータなので、このデータが今週に当てはまるわけではありませんが、これを見る限り、まだ上昇する下地が揃っていないと見受けられます。

 

むしろ、ちょっとしたバランスの変化で株式市場全体が下落してもおかしくない需給バランスです。しかし、そこまでの下落に至らないのは、株トレンド指数が示している通り、株式市場全体が上昇しようとしているからだと考えられます。

 

それをふまえると、ここから外国人投資家や個人投資家の買いが大きくなることも予測されますが、いったんこの三大投資家の需給バランスが収れんしてから、次の展開を迎える流れになるかもしれません。

 

よって、週明けは引き続き、本格的な上昇を期待するよりも、引き続きボックス圏を上抜けしたいが、なかなかできない動きをする可能性が高いと厳しめに見ておくが良いでしょう。

 

※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。


※2.本記事は2024/2/8(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ2/9前場時点のデータを含みます)。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。

株式情報 投資戦略 相場展望 日本株 2024.02.10

高橋 佑輔 高橋 佑輔

高橋 佑輔

この記事を書いた人

高橋 佑輔

トレード歴12年以上の現役トレーダー。トレーダーとして2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。単年で負ける年もあったものの12年間以上、安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。

 

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