株式投資の期待値とは?勝ち組投資家が知っている投資の期待値と投資行動

株式情報 投資戦略 日本株 2022.07.18

日本投資機構 編集部 日本投資機構 編集部

今回は投資の期待値について書いていきたいと思います。

 

「期待値」とは、確率論の考え方をベースにした概念のことで、「投下した資金に対して戻ってくるお金の見込み」のことを表しています。

 

例えば、宝くじや競馬等のギャンブルでは、くじや掛け金の金額に対してどの位のお金が戻ってくる(配当がある)のか?を考えるのに使われますし、ビジネスの現場では設備投資や投下資本に対する期待収益という考え方で応用されています。

 

この「期待値」という概念を「投資」に活用することで、これから自分が行おうとしている取引で「得られるであろう利益の見込み額」が計算可能になります。

つまり、投資の期待値を計算することで、自分の投資行動(取引)のリスクやリターンを数字で可視化できるようになりますので、結果的に資産運用の不確実性を低減させる効果が期待できるのです。

 

ということで今回の記事では、この「投資の期待値」をテーマに、勝ち組投資家の投資行動を考えていきましょう。

・「期待値」とはどんな数字なのか?

まずは、投資の期待値について考える前に、一般的な「期待値」の使い方や事例について紹介します。

 

 

コイントスやサイコロゲームの期待値

 

例えば、コイントス(サイコロ)で表が出るか裏が出るか(奇数が出るか偶数が出るか)を予測して、当たれば賞金が貰え、外れれば掛け金を失うゲームを考えてみましょう。

このゲームの参加費(掛け金)は100円で、予測が当たれば200円を獲得し、予測が外れれば100円を失うと想定します。

 

このゲームの期待値は、表が出る確率=50%で200円が得られ、残りの50%=裏が出る確率で100円を失うゲームの見込み額で計算できますので、

 

(50%×200円)+(50%×-100円)=100+(-50)=100-50=+50円

 

となります。

つまり、このゲーム1回辺りの期待値は【+50円】と考えられますので、このゲームをやり続ける限り1回ごとに50円のリターンが見込めると判断できるのです。

故にこのゲームは、参加し続ける程儲けが見込める=参加者にとって有利なゲームだと評価できます。

 

 

ギャンブル(宝くじ)の期待値

 

1枚1000円の宝くじが合計10枚販売されるとします。この宝くじの当選金は、

・1等5000円
・2等1000円
・3等500円(3500円分は運営者報酬)

で、当選確率は均等であると想定します。

 

この時、この宝くじの期待値は、

10%の確率で5000円が得られ、
10%の確率で1000円が得られ、
10%の確率で500円が得られ、

残りの70%の確率で1000円を失うゲームの見込み額で計算できます。

 

(10%×5000円)+(10%×1000円)+(10%×500円)-(70%×1000円)=500円+100円+50円-700円=-50円

 

この宝くじの期待値は、【-50円】となります。

そのため、このくじを1枚買うごとに50円を失うと想定できますので、これは買っても利益は見込めない宝くじだと評価できます。このように、確率変数によって結果が異なる事象の「期待値」を計算することで、その良し悪しが評価できるようになるのです。

 

株式投資の期待値を計算してみよう

 

では、いよいよ「株式投資の期待値」について、考えていきましょう。株式投資は、買った株が値動きすることで利益や損失が発生します。そのため、その期待値を考える場合は、「利益額」・「損失額」・「勝率」を想定する必要があります。

すなわち、どの程度の資金量で、どの程度のリターンが、どの程度の割合で発生する投資なのか?ということを考えていきます。

 

例えば、ある株式投資家(トレーダー)の1か月間の成績が、「平均利益10万円・平均損失5万円・勝率65%」だったとしましょう。

この投資家の1取引当たりの期待値は、勝率65%の確率で10万円が得られ、残りの35%の確率で5万円を失う取引の期待値として計算できますので、

 

(65%×10万円)+(35%×-5万円)=6.5万円-1.75万円=+4.75万円

と表せます。

 

つまり、この投資家は、1回の取引ごとに+47,500円の利益を見込める技術を持っていると考えられますので、もしこの月に投資家が10回取引を行っていれば、4.75万円×10回=47.5万円の利益が得られたことになります。

 

また、上記の投資家とは別で、「平均利益5万円・平均損失10万円・勝率50%」の取引結果の投資家がいたとしましょう。

この投資家の1取引当たりの期待値は、勝率50%の確率で5万円が得られ、

残りの50%の確率で10万円を失う取引の期待値として計算できますので【2.5万円-5万円=-2.5万円】となります。

そのため、この投資家は取引毎に-2.5万円を失ってしまうと想定されます。

 

これらのことから、株式投資の期待値は、数字がプラスであればその取引で利益が見込めると言え、反対に数字がマイナスであればその取引で損失が発生しやすいと評価できます。

 

そのため、賢明な投資家は、この期待値(期待リターン)がマイナスになるような投資行動を排除し、プラスになるような投資行動を選択、実行することで、利益の積み上げを実現しているのです。

 

投資の期待値をどのように活用すべきか?

 

このように、株式投資を「期待値」で考えることで、投資のリスクやリターンを数字で確認できるようになります。

投資のリスク・リターンが数字で確認できれば、取引結果の不確実性が低下し、成績が安定しやすくなります。

 

・これまで行ってきた取引結果の期待値を計算してみる(結果分析)
・これから行おうとしている取引の期待値を計算してみる(期待値予測)
・今まで使ってきた手法の有効性を期待値で確認してみる(手法検証)

 

まずは、上記の事例を参考に、自分の投資結果や投資計画の期待値を計算してみましょう。そうすることで、自分の投資行動の期待リターンやリスクの現状が評価できるようになります。

そして、その数字を大きくしていくことが、より高いパフォーマンスの実現に繋がっていくのです。

 

なので、勝ち組投資家になるためには、定期的に「自分の期待値」を把握しておくことがおすすめですね。

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INVEST LEADERSを運営する顧問投資会社「日本投資機構株式会社」の代表取締役を含めたスタッフ及びサポートアナリストの記事を掲載しています。株式投資や金融に纏わる話題は勿論のこと、読者の暮らしや生活を豊かにするトピックスや情報を共有していきます。

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