夏枯れは買い!?個人投資家が今強い!?

株式情報 投資戦略 マーケットニュース 国内情勢 日本株 2023.08.21

江口 裕臣 江口 裕臣

決算も一巡し、材料不足になることで、夏枯れ相場の到来が懸念視されていますが、個人投資家の台頭が日本株式市場に与えている影響について詳しくご紹介します。

市場の波乱が続く中、個人投資家の存在がどのような役割を果たしているのか、探ってみましょう!

 

【個人投資家の力強さが日本株を支える?】

 

2022年度の個人の株式保有比率は前年度から1.0%増加し、17.6%に達しました。

これは2013年度以来、9年ぶりの水準となります。

 

更に2023年に入り、個人投資家の売買代金が急増しており、4月から6月にかけての売買代金はアベノミクス初期相場に匹敵する水準を示しています。

一般的に海外投資家は上昇トレンドを追い求める傾向が強く、「順張り」が主流ですが、個人投資家は逆に「逆張り」を好む傾向があります。

 

実際、4月から6月の期間では、海外投資家が7.39兆円の買い越しをしている一方で、個人投資家は2.82兆円の売り越しとなっており、投資家のスタンスの違いが明確に現れています。

このような違いから、8月の下落相場は個人投資家にとっては絶好の買い場となる可能性があります。

 

【新NISAとデフレ脱却の影響】

 

2024年1月から導入される「新NISA」は、投資枠が拡充されることで、個人投資家の投資活動を後押しするものと期待されています。

新NISAでは、成長投資枠で従来の2倍となる240万円、積み立て投資枠では3倍の120万円が設定され、保有期間制度も撤廃されます。

 

また、一生涯にわたる非課税限度額の総額も1,800万円に引き上げられます。

一方で、日本は長らくデフレに苦しんできましたが、2023年度の消費者物価指数は前年と比較して2.5%の上昇率を見込んでおり、インフレ進行が数値でも表れています。

 

これにより、投資家はインフレに対する資産シフトが進みやすく、株式市場への関心が高まる可能性が高まります。

特に、日本銀行の資金循環表によれば、家計の金融資産残高が過去最高を更新し、現金・預金の比率が依然として高いことが分かります。

 

しかし、インフレ期に突入することで脱デフレの機運が高まり、株式市場に資金が流れやすく、新NISAの導入に伴う口座開設数の増加が株式市場の活性化を促していくと見ています。

 

【大きな下落は絶好のチャンス!?

 

①下げ局面では個人投資家が相場を下支え

②新NISAによる株式市場の活性化

③デフレからインフレへ

 

決算が一巡したことで、株式市場は材料不足になるというのが、世間一般的に言う、「夏枯れ」です。

日経平均株価は乱高下を繰り返しており、方向感のない展開が続いていますが、押し下げるとしたら、夏枯れのタイミングと見ています。

 

しかし、①~③のように、個人投資家が下げ局面を逆張りで拾うことで、市場が思った程の影響を受けていないとすれば、潜在的に大きな買いニーズが日本株市場にはあるということを暗示しています。

新NISAの頭角に加え、日本経済は高確率でインフレに転換すると見ていることから、株式市場は空前の上昇局面が訪れると見ています。

 

仮に来年以降に一大相場を築くとしたら、相場が下げる局面で買う個人投資家は夏枯れによる下げを拾えるかどうかが運命の分かれ道になります。

つまり、大きく下げたタイミングは上昇相場が訪れる前の最安値となる可能性があるということです。

 

市場の動向には不確実性がつきものですが、これらの要因を踏まえて投資判断を行うことが重要です。

今後の展望を見据えながら、皆さんも投資の機会を見逃さずに活用してみてください。

株式情報 投資戦略 マーケットニュース 国内情勢 日本株 2023.08.21

江口 裕臣 江口 裕臣

江口 裕臣

この記事を書いた人

江口 裕臣

日本投資機構株式会社 アナリスト
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本投資機構株式会社 アナリスト
テクニカルアナリスト(CMTA®)

著名な元機関投資家や経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーより培った知識と経験を基に、数多くの市場動向の予測や個別銘柄の動向をピンポイントで分析。銘柄の推奨実績において社内の月間最高勝率記録を持つテクニカルアナリスト。

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