なぜ年末年始は「損切り」と「利益確定」のタイミングが個人投資家にとって難しいのか?

株式情報 投資戦略 相場展望 日本株 2022.12.29

高橋 佑輔 高橋 佑輔

多くの個人投資家が株式投資の中で、難しいと感じているのが「損切り」と「利益確定」のタイミングでしょう。

 

実際、私たちの独自の調査で約2,700名の個人投資家に「投資で最も難しいと感じること」を調査したところ、このようなものがTOP3に出てきました。

 

個人投資家が「投資で最も難しい」と感じることTOP3

第1位:損切り・利益確定のタイミング
第2位:買いのタイミング
第3位:株価動向の予測

 

大まかに言うと、これは「株価がどのように動くか分からない」ということが根底にあるのでしょう。

 

中でも、1位の「損切り・利益確定のタイミング」は、利益の大きさを左右するので緊張感があり、最も難しく感じるのかもしれません。

 

特に、この年末年始は休場中のリスクを懸念して手仕舞いすべきか、それとも、ご祝儀相場という言葉があるように、年始の値上がりを期待して保有すべきか迷い、判断が難しいところでしょう。

 

そこで、今回は市場区分は以前のものになりますが、東証一部、二部、新興市場の区分で、各市場の年末年始の株価動向を見ながら、「なぜ難しく感じるのか?」を解説します。

 

東証一部銘柄が上昇する確率は?

まず、東証一部の全銘柄を対象に、年末年始の株価動向をデータ分析しました。結果は以下の通りです。

 

 

シナジスタ:東証一部銘柄が上昇する確率
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

 

上のグラフは「勝率」を表したものです。勝率が50%を超えると利益になる確率が高いと考えられます。

つまり、買い注文をした年末よりも、売却時の年始に株価が上昇していることを示します。

 

2000年から2020年のデータを見る限り、株価の下落傾向を示す勝率50%以下は、6回のみでした。反対に上昇傾向と考えられる勝率50%を超えるのは15回でした。

 

全体平均も勝率「62.96%」と、50%を超えています。よって、東証一部銘柄は、年末から年始にかけて株価が上昇傾向にあると考えられるでしょう。

 

では、東証二部も同じようにデータ分析してみましょう。

 

東証二部銘柄が上昇する確率は?

同様に、東証二部の全銘柄を対象に、年末年始の株価動向をデータ分析しました。結果は以下の通りです。

シナジスタ:東証二部銘柄が上昇する確率
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

 

2000年から2020年のデータを見る限り、株価の下落傾向を示す勝率50%以下は、2回のみでした。反対に上昇傾向と考えられる勝率50%を超えるのは19回でした。

 

全体平均も勝率「69.97%」と、基準となる50%を大きく超えています。よって、東証二部銘柄は、年末から年始にかけて株価が上昇傾向にあると考えられるでしょう。

 

なお、ここで特筆すべきは2014年、2015年、2019年、2020年の動向です。東証一部は勝率が50%以下でしたが、東証二部は50%を超えています。

 

ここから、必ずしも東証一部と東証二部の銘柄が同じ動きをするとは限らないことが読み取れるでしょう。

 

では、最後に新興市場も同じようにデータ分析してみましょう。

 

新興市場銘柄が上昇する確率は?

同様に、新興市場の全銘柄を対象に、年末年始の株価動向をデータ分析しました。結果は以下の通りです。

シナジスタ:新興市場銘柄が上昇する確率
※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

 

2000年から2020年のデータを見る限り、株価の下落傾向を示す勝率50%以下は、3回のみでした。反対に上昇傾向と考えられる勝率50%を超えるのは18回でした。

 

全体平均も勝率「66.61%」と、基準となる50%を超えています。よって、新興市場銘柄は、年末から年始にかけて株価が上昇傾向にあると考えられるでしょう。

 

なお、ここで特筆すべきは、東証二部とは違って動向が見られますが、東証一部とは比較的似た動向があります。

 

新興市場というと、大型株と別の動向がありそうですが、この年末年始は似た動向があることが読み取れます。

 

このように、それぞれ特長はあるものの、3つの市場の動向を見る限り、年末年始には全体的に株価が上昇傾向にあることが分かりました。

 

なぜ「損切り」と「利益確定」のタイミングは難しいのか?

 

難しいのは、このような株価動向を把握しているか、していないかの違いとも考えられます。また、これは「買いのタイミング」や「株価の予測」が難しいと感じる要因の一つでもあります。

 

もし、このような株価動向を把握していれば、カンの良いあなたは「今は売らないほうが良い」「今は買わないほうが良い」など戦略的な判断ができるでしょう。

 

だから、私は株価の予測はしていません。しているのは、このような株価の動向分析のみです。

 

このような分析をすることで、個人投資家が難しいと感じる「売り(損切り・利益確定)のタイミング」や「買いのタイミング」を具体的に知ることができます。

 

ぜひ、あなたも、このような分析を取り入れて、株価の動向を把握してみてはいかがでしょうか。

株式情報 投資戦略 相場展望 日本株 2022.12.29

高橋 佑輔 高橋 佑輔

高橋 佑輔

この記事を書いた人

高橋 佑輔

トレード歴12年以上の現役トレーダー。トレーダーとして2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。単年で負ける年もあったものの12年間以上、安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。

 

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