すべりこみ買いを狙え!9月末権利確定の“出遅れ”高配当銘柄5選!
株式情報 投資戦略 日本株 2023.09.17
9月も半分が過ぎ、日本企業に多い3月期決算企業の中間配当の権利確定時期が迫っています。
しかし、今年は日本株に資金が入り、人気のある高配当銘柄の多くはすでに年初から大きく上昇しています。
そのため、今から買うのは高値掴みになりそうと躊躇している方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、相場の上昇に対してまだ出遅れ感があって、長期目線では値上がり益も狙えそうな高配当銘柄を紹介したいと思います。
目次
値上がりも狙える!?“出遅れ”高配当銘柄を探すには?
今回“出遅れ”の高配当銘柄を探すに当たっては、まず年初来安値からの値上がり率が30%以下の銘柄を抽出しました。
さらに、9月末に中間または期末配当の権利確定日を控えている配当利回り3.5%以上の銘柄を選別しています。(※2023年9月11日時点)
条件に該当する銘柄のうち、一定程度日々の出来高があって、業績や配当の推移が安定している銘柄が現実的な投資対象になってくると思います。
では、どんな銘柄が条件に合致したのか、いくつかピックアップしてご紹介していきます。
出遅れ感のある高配当銘柄をご紹介
①【1847】イチケン:割安感の強い中堅建設株
1つ目にご紹介する銘柄は、商業施設の建築を主軸とする中堅建設会社のイチケンです。
2019年まで売上高の拡大基調が続いていた企業で、コロナ禍で少し落ち込んだものの、足元では回復基調に転じています。
PBR0.5倍程度(※2023年9月14日時点)と株価指標面に値ごろ感が強い点も好感できます。
割安感は市場でも好感されているようで、近年はコロナショック時を除くと、2,000円を下回った場面での底堅さが目立っています。
【1847】イチケン 月足チャート (2010年12月~2023年9月12日)
※TradingView(https://jp.tradingview.com/)のチャートを使用しています。
一方で、足元の利益率が資材価格の高騰によって低下しており、これが出遅れの主要因になっているとみられます。
とはいえ、受注残は堅調に推移していますので、今後の収益性改善に伴う評価には期待が出来そうです。
配当については、配当性向を30%として、安定して行う方針を掲げています。
今月の中間配当は40円、3月の期末配当は60円を予定しており、配当利回りは4.70%程度となっていますので、3月に向けて、買い増しを視野に入れながら保有しても妙味がありそうです。
②【6523】PHCホールディングス:上場時は不人気も、アク抜けに期待。
PHCホールディングスは、もともとパナソニックグループのヘルスケア部門だった企業です。
パナソニックの事業再編に伴って切り離され、アメリカの大手投資ファンドが筆頭株主となっていました。
2021年に東証プライムに上場したのですが、負債が多い点などから、あまり人気が出ませんでした。
上場時には公開価格の3,250円を下回って寄り付き、その後も大きく売られ、半値以下になってしまっています。
【6523】PHCホールディングス 週足チャート (2021年10月11日~2023年9月12日)
しかし現在は、上場した頃と比べて利益が出やすくなっているようです。
これは、22年3月期、23年3月期とのれんの減損損失を計上し、構造改革を進めるなどした効果によるものだとみられます。
収益性が改善している点を考慮すれば、公開価格から半値以下の現在の価格帯には割安感があります。
高配当と、アク抜け感から株価が持ち直す可能性の両面で、妙味のある局面とも言えるでしょう。
勿論、負債の削減が今後も進むか、金利上昇で利払い負担が厳しくならないかは、注意して見ていく必要がありますが、目先の展開については面白そうな銘柄です。
PHCホールディングスは、9月の中間配当、3月の期末配当ともに36円を予定しており、配当利回りは4.7%程度となっています。
③【3834】朝日ネット:底堅い需要を背景に増収増益基調が続く。
朝日ネットは、独立系のネット接続サービス大手として光回線や格安SIMを手掛けるほか、大学向け教育支援サービスも提供する企業です。
成長率は高くないものの、12期連続での増収、6期連続での増益を見込むなど、業績面の安定性が評価できます。
動画を視聴したりテレワークをしたりといった生活習慣の変化によって、今後も通信インフラの需要は底堅く推移すると考えられます。
需要の底堅さを反映する形で、下値での買い意欲も強くなっています。
550円近辺に近づくとすかさず押し目買いが入っていて、長期で保有する上でも安心感のある推移です。
【3834】朝日ネット 週足チャート (2021年11月22日~2023年9月13日)
配当利回りは3.6%程度となっています
利回りの面ではやや物足りなさもありますが、2020年から5期連続で増配を行う見通しである点は評価できます。
配当性向は40〜50%程度が適切と開示していますので、将来的には業績拡大に伴う増配にも期待ができます。
④【7463】アドヴァングループ:インフレでも価格転嫁で増益維持!
アドヴァングループは、建築材料の輸入販売を行う企業です。
やや地味な事業内容から割安に放置されており、PBRは1倍を割り込んでいます。(※2023年9月14日時点)
ただ、業績面は底堅く推移しており、24年3月期第1四半期(4-6月)の売上高は前期比15.1%増の52億5,100万円、営業利益は同31.9%増の11億9,200万円に。
仕入れ価格の上昇分も値上げによって吸収し、高い利益率を維持しています。
足元の株価推移を見ると、1,000円台に差し掛かった場面では過去の売買が多く、伸び悩んでいます。
しかし、同時に安値水準も切り上げていますので、業績面を頼りに緩やかな右肩上がりの推移を継続する期待はできると考えられます。
【7463】アドヴァングループ 週足チャート(2021年1月4日~2023年9月13日)
前期の記念配当の影響を考慮すれば、増配基調にあることも評価できるポイントです。
【7463】アドヴァングループは、9月末の中間配当、3月の期末配当ともに20円を見込んでおり、配当利回りは3.9%程度となっています。
⑤【2987】タスキ:高成長を続ける新興不動産株
タスキは、東京23区内の駅近徒歩5分の空き家や土地に、IoTレジデンスの企画開発を行って富裕層に販売する企業です。
相続税対策に使いやすい規模の物件を一棟販売することで、強いニーズを取り込んでおり、7期連続で増収増益となる見通しです。
今期の業績は、前期比で34.4%増収、32.4%営業増益となる見込みと成長率の高さも評価できます。
ただし、不動産業の銘柄は金利の上昇が嫌気されて売られたり、資金調達が必要となって増資を行ったりしやすいという特殊なリスクを有しています。
新興市場の銘柄で、値動きも荒くなっていますので、金利の上昇などを要因として極端に売られた場面での買いを狙いたいです。
【2987】タスキ 週足チャート(2020年10月5日~2023年9月13日)
この銘柄は9月期決算企業で、今期は3月の中間配当が21円、9月の期末配当が22円。
配当利回りは約3.6%となっています。
中小型株でも意外と魅力的な高配当銘柄は存在する!
今回の記事では、市場の上昇に対して出遅れ感があり、投資対象としても面白そうな高配当銘柄を5つご紹介しました。
出遅れている中小型株であっても、意外と高配当の銘柄は多いものですので、是非他にも探してみてください。
その際には、過去の業績や配当の推移を見て、安定しているかをチェックした上で買いに入るようにすると失敗しにくいと思います。
※本記事での銘柄紹介は売買のご参考にしていただく事を目的としており、お買付けの推奨ではございません。投資に係る判断はご自身にてお願いいたします。
株式情報 投資戦略 日本株 2023.09.17
この記事を書いた人
日本投資機構株式会社 アナリスト
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)日本投資機構株式会社 投資戦略部 主任
証券アナリスト(CMA)
テクニカルアナリスト(CMTA®)
国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。
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