EV普及に向けて、充電設備拡充の加速開始か
株式情報 マーケットニュース 相場展望 国内情勢 2023.09.11
EVは長年自動車市場の大きなテーマですが、日本は未だにEVが普及しているとは言えない状況です。
その原因のひとつに充電設備の不足があります。
しかし、8月28日に経済産業省が充電設備の目標を30万口に引き上げる指針を示しました。
今回はこの充電設備30万口というのがEVが普及するのに十分な数であるのかどうかを考えてみます。
目次
ガソリンスタンドと同量の充電施設があれば足りる?
ガソリン車が日本中で普及していることを考えると、ガソリンスタンドと同数の充電設備があれば十分なように思えます。
2022年4月時点の全国のガソリンスタンドの数は30,000店弱、一見充電設備が30万口というのは過剰な多さに感じます。
しかし、ガソリン車とEVでは燃料補給をするときの基本的な考え方が違います。
ガソリン車では運転中にガソリンが少なくなってきたので、道端にあるガソリンスタンドで補給するというのが一般的だと思われます。
ガソリンは補給が終わるまでの時間が短いため、移動の途中で補給することが可能です。
ですが、EVは充電というガソリン車と比較してかなり時間のかかる作業を行う必要があります。
そのため、移動の途中で充電するのではなく、自宅や目的地の駐車場等の車に乗っていない時に長時間充電するのが一般的です。
遠出の際に高速道路等の充電設備を使うことはありますが、それでも休憩時間に急速充電で継ぎ足しをするのが主です。
よって、EVの普及にはガソリンスタンドの様に高速道路等にある充電設備以外に、集合住宅や商業施設等にも充電設備が必要だと考えられます。
30万口で充電設備は足りるのか?
高速道路等に設置される充電設備
高速道路等に設置される充電設備から考えてみます。
経済産業省は「IC付近の高速道路外のEV充電器の活用を含め概ね70km以上間隔が開かないようにしつつ、ユーザーを限定しない形で充電器を配備する」としています。
現在の高速道路のガソリンスタンドの頻度はおおよそ50km間隔とのことですので、ガソリンスタンドよりは間隔があいています。
しかし、上述した通りEVはガソリン車とは違い、移動経路上の補給はあくまで継ぎ足し充電であるため、十分な数であると思われます。
参考までに、米国の全米の州間道路では約80キロ間隔、欧州の欧州横断交通網では60km間隔を目標としています。
集合住宅等における充電設備
次に集合住宅等における充電設備についてです。
2030年までの設置数の目安は「施設の数や規模、充電事業者の設備目標、東京都の集合住宅における設置目標を踏まえ、集合住宅や月極駐車場等(いわゆる基礎充電)として10~20万口」としています。
集合自宅に住むEVユーザーのうち、住宅内で充電が可能な割合を10%以上を目指すとのこと。
移動の途中での充電より、自宅や目的地での充電がメインということを考えると多少こころもとない数字ではあります。
しかし、公共用目的地充電設備の設置目安を10~15万口としており、外出先での充電が可能なことを考えれば問題ない数値であると思います。
全体の数として十分なのか
最後に全体の数として十分なのかについて考えます。
自動車販売台数が2030年まで一定で同年の販売台数の30%をEVと仮定し、2020年から2030年まで等差的にEVの販売台数が増えた場合、2030年までに追啓で630万台のEVが販売されます。
この時に、現在EVが普及しているノルウェーと同じ充電設備が有れば十分であるとすると、必要な充電設備は18万基と試算されています。
30万口というのは充電口の数であるため、単純計算は出来ませんが、十分な数ではないかと思われます。
まとめ
上記の通り、目標通り充電設備を設置することができれば、EVの普及に十分な数になると思われます。
各種企業がギガキャストや一発成形等でEVの新技術でEVの生産に向けて本腰を入れたことに加えて、インフラの拡充が進むことで、これから本格的にEVの普及が進むと見ています。
EV市場のこれからの大きな動きに置いて行かれない様に常に注目していきましょう。
株式情報 マーケットニュース 相場展望 国内情勢 2023.09.11
この記事を書いた人
日本投資機構株式会社 データアナリスト
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本ディープラーニング協会認定ジェネラリスト(G検定)
日本投資機構株式会社 データアナリスト
テクニカルアナリスト(CMTA®)
ジェネラリスト(G検定)
総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計等をもとに銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活動の幅を拡げている。
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