企業が株式分割を行うメリットとは?分割による株価への影響も解説!

株式情報 投資戦略 日本株 2024.05.14

江口 裕臣 江口 裕臣

株式分割とは、企業が既存の株を複数に分割し、発行済み株式数を増やすことで、株価の1株当たりの価格を低くする方法です。

これによって、株式の流動性が高まり、株主の増加に直結します。

 

一般的に株式分割を行えば、株価が上昇すると言われる所以です。

 

①株式分割が増加している理由

 

株式分割を行うと、株主の増加、株価の安定化、新たな投資家層の獲得に効果があります。

例えば、一株当たりの単価が高い銘柄だと最低単元を買うだけでも数百万の資金が必要になるため、買える人と買えない人が生まれてしまいます。

 

ただ、株式分割を行えば株価が低下するので、より多くの投資家が手を出しやすい銘柄になります。

これは特に小口投資家にとっては魅力的な内容です。

 

株主数が増加すれば株式の流動性が向上し、取引が活発化しやすくなるため、企業の知名度やブランド価値の工場にも繋がります。

また株式分割を行うメリットには、株価の安定化も含まれており、株価が高額すぎると市場の小さな値動きでも大きな価格変動が発生しやすくなります。

 

しかし、株価が適度に低ければ変動幅は縮小するため、より安定した価格での売買が可能となります。

投資家にとっても予測しやすい環境が形成されるため、企業や投資家にとってもポジティブに捉えられるケースが大半です。

 

加えて、日本のNISA制度を活用して、非課税で株式投資を行う土壌が整っていることから、投資初心者や若年層の投資家も市場に参入しやすくなっています。

株式分割によって、市場全体の活性化に寄与することと同時に、新たな資本の流入を促していることから、株式分割が増加する今はチャンスと考えることが出来ます。

 

②分割後の株価の変動

 

単純な話ではありますが株式分割を行えば、価値は変わらないが株価は下落するということです。

例えば、1,000円で1,000株(100万円)でとある株を保有していたとします。

 

とある企業が株式を2分割にしたとすれば、500円で2,000株(100万円)保有していることになります。

これが価値は変わらないが株価が下落するメカニズムです。

 

企業の総資産や業績の実質的な価値は変わりませんが、分割比率に応じて下落します。

これによって、一株当たりの投資額が低くなり、多くの投資家が投資しやすい環境が生まれ、個人投資家を含む新規投資家の参入を助長しているわけです。

 

また株式の総数が増加することで、株式の流動性が高まり株価の変動が緩和され、市場での株価の安定性が向上しやすくなります。

株式分割の発表があると、しばしば投資家の間で様々な思惑が交錯しやすく、株式分割は企業の業績向上のサインと考えられています。

 

短期的に株価上昇につながるパターンも多く、株式分割=株価上昇と考える投資家が大多数です。

株式市場にも大きな影響を与える材料になるため、株式分割が増加することでキャピタルゲインをより狙いやすくなっていると言えます。

 

③具体的な企業の株式分割のケーススタディ

 

日本の代表的な企業である【7974】任天堂が株式分割を行った際、株価はどのように変化したのか。

 

2022年10月に株式分割を行い、1→10分割すると発表。

つまり、2年前までは現在の株価に対して、10倍の価格であったということです。

 

2022年の最高値水準が6,708円ですので、10倍すると1株67,080円。

日本株は最小単元が100株であるため、最低でも6,708,000円ないと任天堂の株が買えないということです。

 

株式分割を行った背景には新たな規模の小さな投資家を市場に引き込むことで、結果として株主数が増加し、企業の知名度と投資家基盤が広がりました。

 

企業としては株式を発行する理由は資金調達であるため、新規の投資家が増えるということはその資金で更なる成長がしやすくなります。

また個人投資家としても通常よりも安い単価で知名度の高い、安全性の高い銘柄をより多く買い付けることが可能となります。

 

株式分割自体は投資家に直接的な利益をもたらさないように思われがちですが、実際には株主還元の一形態として機能しています。

株式分割によって株価が手ごろな水準に調整され、流動性が高まり、企業への投資が加速。

 

また株式分割後も廃刀を維持する企業の場合、株数が増えたことによって受け取れる配当の総額が増加するケースも。

このように、企業による株式分割は株主数の増加や株主還元戦略と密接に関連しており、企業と投資家双方にとってメリットがあります。

 

③まとめ

 

株式分割は企業が行う戦略の一つで、発行済み株指数を増加させることで、株価を下げてより多くの投資家に投資しやすい環境を作ることを目的としています。

株式分割を行うメリットは3つ。

 

①株主数の増加

②株式の流動性向上

③株価の安定化

 

株価が下落することで敷居を低くし、新たな投資層を獲得。

また株式の流動性が高まることで株式市場全体の活性化にもつながり、株式の売買が活発化するため、株価上昇の恩恵を受けやすいと考えることが出来ます。

 

株主にとっても株価が安定化し、リスクが低減されることで長期的な投資戦略を立てやすくなるという利点もあります。

市場区分が変更されたことで、ガバナンス改革を行う日本株市場は株式分割が市場区分の昇格条件を満たす一助になる場合もあることが、株式分割を行う企業が増えたことの背景にあると見ています。

 

注意点としては、株式分割=株価上昇とポジティブに捉えられるケースが多いため、短期的にボラティリティが高まるリスクがあります。

そのため、管理コストの増加や投資家の混乱も招きやすく、マネーゲームに飛び込んでしまう可能性もあることから、株式分割の銘柄を手あたり次第手を出すというのは愚策です。

 

しっかりと投資対象の精査を行い、リスクを考慮した上でエントリーを考えるべきでしょう。

2024年以降も株式分割を行う企業が増えていくと見ており、チャンスの初動であることには変わりは無いので、是非参考にして頂ければと思います。

 

ここまでご覧いただき有難う御座います。

それでは次回もお楽しみに!

株式情報 投資戦略 日本株 2024.05.14

江口 裕臣 江口 裕臣

江口 裕臣

この記事を書いた人

江口 裕臣

日本投資機構株式会社 アナリスト
日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
日本投資機構株式会社 アナリスト
テクニカルアナリスト(CMTA®)

著名な元機関投資家や経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーより培った知識と経験を基に、数多くの市場動向の予測や個別銘柄の動向をピンポイントで分析。銘柄の推奨実績において社内の月間最高勝率記録を持つテクニカルアナリスト。

江口アナリストの投資助言を受けたい方は≪こちらをクリック≫

アクセスランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間