日経平均4万円到達も3日続落し横ばいに推移中…ここが天井?

株式情報 投資戦略 相場展望 日本株 2024.03.11

高橋 佑輔 高橋 佑輔

3/4終値ベースで日経平均株価が4万円を突破し、好調に見える日本株ですが、そこから3日続落し、再び4万円を割りました。

 

4万円目前までの上昇時も同じでしたが、上昇しているとはいえ方向感乏しく1%未満の変動がほとんどで、この4万円到達後の変動幅も方向感が乏しい1%未満の変動がほとんどでした。

 

直近の動きを見ると、1週間に1度1%以上の変動が見られ、それ以外はすべて1%未満のとても小さな変動が続いています。

 

そのようなこともあり、節目となる4万円を上抜けしても、上昇の勢いを感じられない難しい状況かもしれません。

 

また、メディアを見ると、この4万円の数字をきっかけに「バブルだ!」というものと、「上がりすぎだから、ここが天井だ」というものに分かれているように見受けられます。はたして、どちらの見解が可能性の高い表現なのでしょうか。

 

そこで、私たちが日本株市場のトレンドを捉えることを目的に独自開発した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。

 

今週の株式市場動向

こちらをご覧ください。こちらは2024/2/22~2024/3/7の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

 

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

 

・天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
・底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
・押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
・空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

 

これらの指数をふまえると今週の株式市場は、先週よりも状況が明確になり、日経平均株価と株式市場全体が、”ほとんど連動していない週”でした。

 

それにより、日経平均株価だけを基準に相場分析している人と、私たちのように株トレンド指数を使って相場分析している人では差異が生じたでしょう。

 

では、どこに差異が生じたかですが、それは「天井の見極め」です。おそらく、これは日経平均株価の動きだけを見ても、全く捉えることができないでしょう。

 

日経平均株価は、先週末からの上昇のあと、まるでUターンするような形状で、下落しています。しかし、下落と言っても大きな下落ではありませんので、引き続き高値圏を維持しています。

 

とはいえ、いくら日経平均株価が高値圏を維持しているからと言っても、このような方向感乏しい状況では、様々なメディアに掲載されている「天井」の2文字を意識してしまうかもしれません。

 

上のグラフは株トレンド指数も入っていますが、株トレンド指数の情報がなく日経平均株価だけのグラフだった場合を想像してみてください。

 

天井を意識してしまうか、先が全く読めないという状況に陥ると考えられます。まさに、それが日経平均株価だけを使って相場分析している人の感覚だったでしょう。

 

対して、株トレンド指数を使って相場分析している私たちは、もちろんダマシでここから失速する可能性があるもの天井指数の状況から「まだ天井ではなく、上昇の勢いが続いている」と判断することができます。

 

もちろん、この上昇の勢いが長期化すれば、結果的にここが天井になることは考えられます。ですが、そのようなことがない限り、さらに株価が上昇する余地があるでしょう。

 

なお、その根拠になるのが先ほどの「天井指数」と「押し目買い指数」の状況です。天井指数は上のグラフの見る限り、発生が続いているものの直近2週間の中で最大が「90」にとどまっています。

 

もし、ここが天井であるならば「170」付近まで上昇する必要があります。ですが、まだその半分程度の水準までしか達していません。それを考慮すると、明確な上昇トレンドが発生しているわけではないものの、まだ上昇の余地があると考えられるでしょう。

 

また「押し目買い指数」は3/7に年間でも珍しい水準である「18」に到達しています。押し目買い指数は、その名の通り、上昇過程の中の一時的な下落が発生し、ここから再上昇することを示しています。

 

その点を考慮すると、小幅ではありますが、直近の3日続落は押し目買いの動きをする前兆だとも考えられます。

 

このように天井指数には、まだ上昇余地があり、押し目買い指数では、ここから再上昇の動きが想定されると読み取れますので、ここが天井ではないと判断できるでしょう。

 

ただし、あくまでもここでいう天井は、ここが天井でそのまま適正水準まで下落するという意味合いです。そのような意味ではなく、この高値圏を維持することができず、少しずつ水準が下がり、結果として天井だったという意味合いでの天井の可能性あります。その点は念頭においておきましょう。

 

そして、全く反対に天井ではなく「バブルなのか」という点ですが、ここは明確に「バブルではない」と判断できるでしょう。もしくは「まだバブルではない」という判断です。

 

曖昧な表現ですが、これからバブルとも言える大相場がくるか、それとも大相場はなく単なる上昇もしくは現状維持が続く、少しずつ失速するかのシナリオが想定されます。

 

いずれにしても、直近の天井指数の水準を見ても、現状はバブルと判断できません。もし、バブルになるのであれば、やはり天井指数がその名の通り天井を示すような170付近の水準にならないと難しいでしょう。

 

また、天井で170付近になるまでの過程で天井指数が100を超えるときや、それ以上の150程度の水準まで上昇するタイミングがない限り、アベノミクス相場のようなバブルになるのは難しいでしょう。

 

反対に言えば、そのような動きが見られれば、最近メディアで目にする「バブル」も期待できるでしょう。今週も上昇の勢いが途切れることなく、天井指数が90まで上昇しています。

 

それに対して、上昇にブレーキを掛ける空売り指数も目安の50には到達していないので、今後の展開に大相場を示す「バブル」が発生する可能性もあるでしょう。

 

しかしながら、繰り返しにはなりますが、現状は「天井でもなければ、バブルでもない」というのが、株トレンド指数から読み取れることです。では、直近2ヶ月間の状況もふまえて、より現状を詳しく見てみましょう。

 

日経平均株価を基準に見ると、日経平均株価の理想的な上昇が続いています。今週の3日続落で下落はしているものの、全体的にはなだらかに右肩上がりを維持しています。

 

ただし、前回もお伝えした通り、トレンドらしいトレンドが発生しないまま上昇しています。グラフは理想的ですが、小幅に上昇を続けているだけなので、長期保有をメインにする投資家以外にはやさしくない相場状況でしょう。

 

また、天井かどうかについてですが、今週の下落は急落や暴落でもないことが分かります。あくまでもよくある下落の範囲です。よって、ここが天井という判断は雰囲気から出るもので、根拠があるものではないと考えられます。

 

株トレンド指数を基準に見ると、今週の株式市場も、引き続き1月下旬ごろから横ばいであることが分かります。上昇傾向を示す天井指数は、今週やや上昇しているものの、まだ1月下旬からあまり変動していないことが分かります。

 

この2つの指数の動向をふまえると、日経平均株価が下落することなく高値圏を維持できるように、上昇の勢いを示す天井指数が支えているように見受けられます。これも先週から続く動きです。

 

それに伴い、こちらも先週から続いて、今の株式市場はあくまでも長期保有をメインにした投資家が含み益を増やしやすいだけで、中期や短期売買で利益を狙う投資家にとってはフィットしない株式市場であることが分かります。

 

だからといって、ここから長期に切り替えるのも現実的には難しいでしょう。もし、ここから米国のように上がりっぱなしの株式市場になるならば、長期に切り替えるのも方法かもしれません。

 

しかし、現状では日本株市場がそのような方向に動くかは全くわかりません。短期的に「上昇・下落・横ばい」の3種類のトレンドが発生しているのが日本株市場です。

 

もし数年後を見て、米国のように上がりっぱなしであれば長期に切り替えるのも方法ですが、現時点ではよほど狙い目のものがない限り、切り替えるのはリスクでしょう。

 

補足として株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。タイムラグはありますが最新の 「投資主体別売買動向」を見ると、需給バランスは、以下の通りでした。

 

 

・外国人投資家:中立 → 買い
・個人投資家:中立 → 変化なし
・日本の機関投資家:小さく売り → 売りが強まる

 

タイムラグのあるデータなので、このデータが今週に当てはまるわけではありませんが、これを見る限り株式市場の需給バランスは「均衡に近い」と考えられます。

 

ただし、前週と違って三者三様に動きが出てきました。前週は三者が中立に集まりましたが、今回はバラバラになりました。それにより、均衡に近い状態になっていることが分かります。

 

なお、もし今後も続くのあれば、明るい材料になるのが「外国人投資家の動き」です。再び買いのポジョンに動きましたので、ここから更に買い増しが起きると、日本株市場のさらなる上昇が期待できるでしょう。

 

また、日本の機関投資家も明確に売りになり、利益確定に動いていると考えられます。彼らが大きく買い越すことは少ないですが、利益確定が一巡すれば、次の買いに動くことが想定されます。

 

個人投資家は、前述の通り「天井」「バブル」という言葉が出ている時点で、どちらに進んでよいか分からない状況だと考えられます。

 

これらを考慮すると、次の外国人投資家と日本の機関投資家の動き次第で、今後の日本株市場が変わると考えられるでしょう。

 

そのような需給バランスの動向が日経平均株価や株トレンド指数に反映されます。大元が需給バランスで、それを細分化した指標が株トレンド指数のようなイメージです。

 

そのような背景になっていますので、ぜひこの需給バランスも株トレンド指数と一緒に動向を見ていきましょう。

 

※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。


※2.本記事は本記事は2024/3/7(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。

株式情報 投資戦略 相場展望 日本株 2024.03.11

高橋 佑輔 高橋 佑輔

高橋 佑輔

この記事を書いた人

高橋 佑輔

トレード歴12年以上の現役トレーダー。トレーダーとして2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。単年で負ける年もあったものの12年間以上、安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。

 

【無料】高橋佑輔執筆【eBook(電子書籍)『日本株再入門』】の無料配布はこちらをクリック

アクセスランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間