さくらインターネット(3778)株価|暴落の理由・今後の見通し・将来性を分析

金融ライター K.Y

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さくらインターネット(3778)株価|暴落の理由・今後の見通し・将来性を分析

さくらインターネット(3778)の株価は、2026年4月初旬に米マイクロソフトの協業報道で数営業日に53.4%急騰し、4月22日には年初来高値4,025円を付けました。しかしその後は反落し、6月上旬は2,900円台まで売られています。

この記事では、なぜ急騰し、なぜ売られたのかを、26年3月期の本決算と27年3月期の黒字転換予想をもとに整理します。読み終えれば、さくらインターネットを今から買ってよいか、自分なりに判断できるようになります。

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目次

さくらインターネットは国産クラウドの老舗|データセンターが収益基盤

さくらインターネットは、1996年創業のデータセンター・クラウド会社です。東京・大阪・石狩(北海道)にデータセンターを構え、企業がインターネットサービスを動かすための土台を提供しています。サーバーの貸し出し、データの保管、システムの稼働環境など、インターネットインフラを支える事業を担っています。

日本のデータは日本で管理すべきだ」という信念のもと、国内基盤の整備を続けてきた点が特徴です。国産クラウドとして、外資系サービスへの依存を減らしたい企業や官公庁から支持を集めてきました。この国産という立場が、のちのガバメントクラウド選定につながります。

株価を10,980円まで押し上げた3つの材料|国策・AI・NVIDIA

さくらインターネットの株価が大きく動いた背景には、3つの材料が重なっています。2023年の年初に498円だった株価は、同年末には2,209円まで上昇し、2024年3月7日には高値10,980円を記録しました。わずか1年あまりで20倍を超える上昇です。その後は反落し、2024年末は4,450円、2025年末は2,780円まで水準を下げています。まずは、この急騰を生んだ3つの材料を順番に確認します。

さくらインターネット 3778 週足チャート
【3778】さくらインターネット 週足チャート 2023年5月15日~2026年4月16日
※TradingViewより引用

①ガバメントクラウドに国産初で選定され国策銘柄になった

最初の材料は、政府が進めるガバメントクラウドへの選定です。2023年11月、デジタル庁が主導するガバメントクラウドに、国産の事業者では初めて条件付きで選定されました。その後、2026年3月27日には正式採択が発表されています。

23年3月期と24年3月期は業績が伸び悩み、あまり注目されていない銘柄でした。しかしこの選定をきっかけに、外資系クラウドに対抗する「国策」銘柄としての期待が一気に高まりました。行政システムの基盤を国産で担うという立場が、長期の成長期待につながっています。

②NVIDIAとの連携でAI基盤の注目株になった

2つ目の材料は、半導体大手エヌビディアとの連携です。2023年12月、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが来日し、さくらインターネットと連携する意向を示しました。

生成AIブームのなかで、AIの計算に欠かせないGPU(画像処理半導体)の基盤を持つ国産クラウドとして、さらに注目を集めるきっかけになりました。AIサービスを動かすには大量のGPUが必要で、その調達力と運用力が競争力に直結します。エヌビディアという最有力メーカーとの距離の近さが、さくらインターネットの強みと評価されました。

③GPU1万基へ1,000億円投資でAI期待が膨らんだ

3つ目の材料は、AI基盤への大規模投資です。さくらインターネットは、経済産業省から約565億円の補助金を受け、2028年までに合計1,000億円規模を投じてGPUを1万基整備する計画を発表しました。

石狩データセンターを拡張しながら、エヌビディアのGPUをH100・H200・B200と段階的に積み上げる構想です。これら3つの材料が重なり、2024年3月に株価は高値10,980円まで上昇しました。ただし投資が先行する分、利益が出るまでには時間がかかります。この時間差が、のちの株価の重荷にもなりました。

実績PER約610倍|市場はテーマ株とみて買っている

さくらインターネットの株価指標は、利益の裏付けで見ると割高です。2026年4月27日の終値3,295円時点で、実績PER(株価収益率)は約610倍、予想PERは約155倍、PBR(株価純資産倍率)は4.4倍でした。

PERは株価が1株当たり利益の何倍まで買われているかを示す指標で、一般的な銘柄は15倍前後です。610倍という水準は、市場がさくらインターネットを安定成長株ではなく、将来の事業拡大を先取りして買う「テーマ株」とみているためです。国策・AI・国産クラウドという期待が重なるとき、株価は目先の利益ではなく将来像で動きます。その分、期待が外れたときの下落も大きくなります。

マイクロソフト協業報道で2日間に53.4%急騰した

マイクロソフト協業報道で2日間に53.4%急騰した

2026年4月、株価を再び急騰させたのが、米マイクロソフトの協業報道です。4月3日、マイクロソフトが日本へ100億ドル(約1兆6,000億円)を投資すると発表しました。投資期間は2026年から2029年で、さくらインターネットとの協業も盛り込まれていました。

この報道を受けて株価は急騰します。4月2日の終値2,467円から4月3日は2,967円へ20%超上昇し、4月6日には終値3,470円でストップ高となりました。4月3日の安値2,448円から4月7日の高値3,755円まで、数営業日で53.4%上昇しています。ただし会社開示は「共同開発に向けた検討を開始した段階」で、具体的に決まった事項はありませんでした。

株価暴落の理由は3つ|協業の検討段階・営業赤字・割高なPER

株価暴落の理由は3つ|協業の検討段階・営業赤字・割高なPER

急騰後の株価は、4月22日に年初来高値4,025円を付けたあと反落しました。6月上旬は2,900円台まで水準を下げ、年初来安値は4月3日の2,448円です。「暴落」と感じた投資家も少なくありません。急騰から一転して売られた背景には、大きく3つの理由があります。期待だけで買われた株が、現実を確認して水準を切り下げた流れです。順番に見ていきます。

①マイクロソフト協業が検討開始の段階にとどまった

売りに転じた最大の理由は、協業が具体策のない検討段階だったためです。会社開示では「共同開発に向けた検討を開始した」という表現にとどまり、受注金額も時期も示されていません。

報道直後は、1兆6,000億円という投資額のインパクトに反応して買いが集まりました。しかし中身が伴わないと分かると、材料出尽くしの売りが出ます。期待が先に株価へ織り込まれていたため、具体化の遅れがそのまま失望売りにつながりました。事実より先に株価が動いた反動が出た形です。

②26年3月期の本決算で営業赤字が確認された

2つ目の理由は、2026年4月27日に発表された本決算です。26年3月期は、売上高353億165万円(前期比+12.4%)と増収を確保しました。しかし営業損益は4億365万円の赤字へ転落しています。前期は41億4,559万円の営業利益でしたから、利益が一気に消えた形です。

期待だけで買っていた投資家にとって、赤字という現実は明確な売り材料になりました。テーマ株は将来像で買われる分、足元の数字が悪いと反応も大きくなります。決算発表をきっかけに、上値の重さが意識されました。

③実績PER約610倍の割高感で戻り売りが出た

3つ目の理由は、株価指標の高さです。4月27日終値3,295円時点で、実績PERは約610倍に達していました。利益の裏付けが乏しい水準のため、少しの悪材料でも売られやすい状態です。

急騰場面で買えなかった投資家の押し目買いよりも、高値で買った投資家の戻り売りや利益確定売りが優勢になりました。株価が4,000円台に乗せたあとは、達成感から利益確定が出やすくなります。割高感と需給の重さが重なり、3,000円を割り込む場面が増えました。

直近決算は26年3月期が営業赤字、27年3月期は黒字転換を予想

さくらインターネットの直近の業績は、足元の赤字と来期の回復予想がはっきり分かれています。26年3月期通期決算は2026年4月27日に発表されました。売上高は353億165万円(前期比+12.4%)と増収を確保した一方、営業損益は4億365万円の赤字に転落しています。

経常利益は補助金収入などで1億548万円を確保しましたが、前期比では97.4%の大幅減益です。当期純利益は2億1,600万円(前期比-92.6%)でした。サービス別では、GPUインフラストラクチャーサービスが+20.3%、クラウドサービスが+9.4%と伸びた一方、物理基盤サービスは-7.2%と減少しています。

出典:https://www.sakura.ad.jp/corporate/wp-content/uploads/2026/04/260427-ir_2.pdf
出典:https://www.sakura.ad.jp/corporate/wp-content/uploads/2026/04/260427-ir_2.pdf

営業赤字の理由は先行投資の増加にある

営業赤字の主因は、増収を上回るペースで先行投資が膨らんだためです。AIインフラの拡大には、人材と設備の前倒し投資が欠かせません。

決算短信では、クラウドサービスの機能開発と販売促進に向けた人材投資、GPU関連投資による減価償却費、サーバー保守費用、データセンター賃料の増加が赤字要因として挙げられています。売上は伸びても、それを上回るコストが先に出る事業構造です。投資の成果が売上として返ってくるまでの間は、利益が圧迫されやすい状態が続きます。

27年3月期は営業利益15億円へ黒字転換を予想している

会社は27年3月期(2027年3月期)に、営業黒字へ戻ると見込んでいます。GPUインフラとクラウドの売上拡大が、利益を押し上げる想定です。

会社予想は、売上高450億円(前期比+27.5%)、営業利益15億円、経常利益12億円、当期純利益8億5,000万円です。前期の営業赤字4億円から、一気に15億円の黒字を見込む強気の計画です。配当も1株5円から5.5円への増配を予想しています。この黒字転換が実現するかどうかが、将来性を判断する最大のポイントになります。計画どおりに利益が伴えば、株価の評価も変わってきます。

出典:https://www.sakura.ad.jp/corporate/wp-content/uploads/2026/04/260427-ir_2.pdf

今後の株価は黒字転換の実現性が左右する|将来性を見極める4つのポイント

さくらインターネットを今から買って、さらなる値上がりを狙えるのでしょうか。株価の今後と将来性を考えるうえで、確認したいチェック項目は4つあります。いずれも、27年3月期の黒字転換予想が計画どおり実現するかを見極めるための項目です。期待が先行している銘柄だけに、業績の裏付けが伴うかどうかが、株価の持続性を左右します。決算ごとに、次の4点を追っていきます。

①B200は稼働率と粗利率の回復が鍵になる

まず注目したいのが、エヌビディアの最新GPU「B200」の稼働率と利益率への寄与です。さくらインターネットは、約1,100基のB200を国内大手企業向けに提供する予定です。

ここで重要なのは台数ではなく、高い稼働率を保てるか、そして粗利率が改善するかです。せっかく投資したGPUも、稼働が低ければ減価償却費だけが先に出て利益を圧迫します。稼働率と粗利率の動きを決算ごとに確認する必要があります。この数字が上向けば、黒字転換予想の信頼度も高まります。

②ガバメントクラウドは売上寄与の本格化が焦点になる

2つ目は、ガバメントクラウドの売上への貢献度です。2026年3月27日に正式採択が発表された直後の株価の反応は、小幅高にとどまりました。市場には、すでに織り込み済みであった可能性があります。

正式採択は入り口にすぎず、ここからどれだけ案件が積み上がるかが本番です。今後は、案件化の進捗、官公庁による継続利用につながるか、単価が上昇するかを見ていく必要があります。安定した公共需要は収益の土台になりやすいため、売上として数字に表れてくるかが焦点です。

③マイクロソフト協業は具体化の有無が分岐点になる

3つ目は、マイクロソフトとの協業の進み方です。現時点では検討開始の段階にとどまり、具体的な中身は示されていません。今後は、実証の段階に進むのか、商用化まで至るのか、具体的な受注金額が見えてくるのかを順番に確認していく必要があります。

期待が先行して株価が動いている分、具体化が遅れると下落の要因になります。逆に、受注金額や時期が公表されれば、株価を再び押し上げる材料になり得ます。協業の続報が出るたびに、中身を冷静に見極める姿勢が大切です。

④営業利益率の底打ちが黒字転換の前提になる

4つ目は、利益率がどこで底を打つかです。AI関連は需要が強くても、設備投資の負担が先行すると利益は残りません。売上の成長だけに注目せず、営業利益率がいつ底打ちして上向くかを追うことが重要です。

27年3月期の営業利益15億円という予想は、この利益率改善が前提になっています。四半期ごとの利益率が改善に向かえば、黒字転換の確度は高まります。逆に赤字が続くようなら、予想の下方修正リスクが意識されます。利益率の改善が見えてはじめて、業績の裏付けある上昇が期待できます。

投資の注意点はボラティリティの高さ|短期の熱狂に飛びつかない

投資の注意点はボラティリティの高さ|短期の熱狂に飛びつかない

さくらインターネットは、値動きが非常に大きい状態にあります。4月初旬には数営業日で53.4%の急騰が起きましたが、こうした動きには需給の空白やショートカバー(売り方の買い戻し)が介在していることが多く、材料が出た瞬間に飛びつくのは危険です。

リスクシナリオも明確です。マイクロソフト協業で具体策が出ない、B200案件の収益化が遅れる、次の決算でも利益改善が見えない、こうした材料が重なると、期待の剥落で大きく売られやすくなります。短期の熱狂と中長期の実績を分けて考える姿勢が、この銘柄を扱ううえで欠かせません。

まとめ|短期の熱狂と中長期の実績を分けて見極めたい

さくらインターネット(3778)は、マイクロソフトとのAIインフラ協業の検討と、日本への100億ドル投資の発表を受けて、数営業日で53.4%急騰しました。国策・AI・国産クラウドという強力な材料を持つ銘柄です。

一方で、26年3月期は営業赤字に転落し、実績PERは約610倍と割高です。今後は、B200の収益化、ガバメントクラウドの売上寄与、マイクロソフト協業の具体化、そして27年3月期に予想する営業利益15億円への黒字転換が実現するかを、順番に確認する必要があります。短期の値動きに振り回されず、業績の裏付けを1つずつ確かめながら判断する姿勢が求められます。

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執筆者情報

nari

金融ライター K.Y

金融ライター

2016年大手証券会社に入社、2018年に最大手オンライン証券会社に入社し、機関投資家部門(ホールセール)を立ち上げ、翌年2019年には同社シンガポール拠点設立。2022年より日系証券会社の運用部にてポートフォリオマネジャーの経験を得て以降、一貫して運用業務に従事。

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