さくらインターネット(3778)はまだ買い?マイクロソフト協業を受けた成長性を分析

さくらインターネット(3778)はまだ買い?マイクロソフト協業を受けた成長性を分析

さくらインターネット(3778)の株価が、2026年4月初旬にわずか数営業日で53.4%急騰しました。
きっかけは米マイクロソフトによる日本への約1兆6,000億円の投資発表と、さくらインターネットとの協業報道です。
しかし「現時点で具体的に決まっている事項はない」との開示もあり、買い一巡後は売りに押されています。

今回は、「なぜ急騰したのか」「会社の実態はどうなのか」「これから買っていいのか」を順番に解説します。
この記事を読み終えれば、さくらインターネットに対して自分なりの投資判断ができるようになると思います。

目次

データセンター・クラウドの老舗

さくらインターネットは、1996年創業のデータセンター・クラウド会社です。

東京・大阪・石狩(北海道)にデータセンターを構え、企業がインターネットサービスを動かすための「土台」を提供しています。
サーバーの貸し出し、データの保管、システムの稼働環境など、インターネットインフラを支える事業を行っています。

日本のデータは日本で管理すべきだ」という信念のもと、国内基盤の整備を続けてきた点が特徴です。
国産クラウドとして、外資系サービスへの依存を減らしたい企業や官公庁から支持を集めています。

さくらインターネットの株価が動いた3つの材料

続いて、これまでのさくらインターネットの株価推移を振り返っておきましょう。

2023年の年初に498円だったさくらインターネットの株価は、同年末には2,209円まで上昇しました。
その後、2024年3月7日には高値10,980円を記録しています。この上昇を引き起こした主な材料は3つです。

【3778】さくらインターネット 週足チャート 2023年5月15日~2026年4月16日
※TradingViewより引用

①政府クラウド(ガバメントクラウド)への選定

2023年11月、デジタル庁が主導するガバメントクラウドに、国産事業者として初めて条件付きで選定されました。
その後、2026年3月27日には正式採択が発表されています。
23年3月期と24年3月期は業績が伸び悩み、あまり注目されていない銘柄でしたが、これを機に「国策」銘柄としての期待が一気に高まりました。

②NVIDIAとの連携発表

2023年12月、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが来日し、さくらインターネットと連携する意向を示しました。
生成AIブームの中で、GPU基盤を持つ国産クラウドとしてさらに注目を集めるきっかけとなりました。

③生成AI向けGPU基盤への大規模投資

さくらインターネットは、経済産業省から約565億円の補助金を受け、2028年までに合計1,000億円規模を投じてGPUを1万基整備する計画を発表しました。
石狩データセンターを拡張しながら、エヌビディアのGPUをH100・H200・B200と段階的に積み上げる構想です。

これら3つの材料が重なり、2024年3月に株価は高値10,980円まで上昇しました。
しかし2024年末は4,450円、2025年末は2,780円まで下落しています。

PER1,000倍超え|テーマ株としての評価

2026年4月16日時点のさくらインターネットの株価指標は、PER1,110倍、PBR4.92倍です。
現在の利益水準で見れば割高ですが、これは市場がさくらインターネットを「安定成長株」ではなく「テーマ株」として評価しているためです。

国策・AI・国産クラウドという3つの期待が重なるとき、株価は目先のEPS(1株当たり利益)ではなく、将来の事業拡大を先取りして動きます。
その分、期待が外れたときの下落も大きくなります。

直近決算|売上は伸びているが営業赤字に転落

26年3月期第3四半期累計の売上高は240億2,456万円(前年同期比+12.3%)と増収を維持しています。
内訳はクラウドサービス113億7,241万円(+9.8%)、GPUインフラストラクチャーサービス46億3,893万円(+13.9%)、その他サービス56億8,085万円(+26.4%)です。

営業利益は赤字転落|先行投資が要因

一方で営業利益は、前年同期の25億8,541万円の黒字から11億1,748万円の赤字へ転落しました。
赤字の主な要因は先行投資の増加です。

人材投資が17億円増、減価償却費とリース料が16億9,800万円増、販売用サービス原価が9億6,300万円増となっています。

さらに2026年2月25日には通期予想も下方修正しました。
売上高は365億円から352億円へ、営業利益は3.5億円の黒字予想から5億円の営業損失予想へ変更されています。

GPU『B200』約1,100基の大口案件で一部売上が翌期にずれ込んだことが理由です。
案件を取れなかったわけではありませんが、収益化には時間がかかっています。

マイクロソフト協業報道で2日間で53.4%急騰

2026年4月3日、米マイクロソフトが日本へ100億ドル(約1兆6,000億円)を投資すると発表しました。
期間は2026年から2029年で、さくらインターネットとの協業も盛り込まれていました。
この報道を受けて株価は急騰します。

4月2日の終値2,467円から4月3日の終値2,967円へ20%超上昇し、4月6日には終値3,470円でストップ高となりました。
4月3日安値2,448円から4月7日高値3,755円まで、わずか数営業日で53.4%の急騰です。

ただし現時点では「共同開発に向けた検討開始」の段階であり、具体的に決まっている事項はありません。
買い一巡後は売りに押されています。

今後のチェックポイント

さくらインターネットは今から買いに入ってもさらなる値上がりに期待できるのでしょうか。
今後の株価を考える上で、確認すべきポイントは4つあります。

①B200の稼働率と粗利の回復

まず注目したいのが、エヌビディアの最新GPU「B200」の稼働率と利益率改善への寄与です。

さくらインターネットは、約1,100基のGPU「B200」を国内大手企業向けに提供予定です。
ここで、重要なのは台数ではなく、稼働率になるか、そして粗利率が改善するかです。
稼働率と利益率のトレンドを決算ごとに確認する必要があります。

②ガバメントクラウドの売上寄与

2026年3月27日にガバメントクラウドへの正式採択が発表された直後の株価の反応は小幅高にとどまりました。
市場には、すでに織り込み済みであった可能性があります。
今後は案件化の進捗、継続利用につながるか、単価が上昇するかを見ていく必要があります。

③マイクロソフト協業の具体化

マイクロソフトとさくらインターネットとの協業は、現時点では検討開始の段階です。
実証フェーズに進むのか、商用化まで至るのか、具体的な受注金額が見えてくるのかを順番に確認していく必要があります。
期待が先行して株価が動いている分、具体化が遅れると下落リスクになります。

④営業利益率の底打ち

AI関連は需要が強くても、設備投資負担が先行すると利益は残りません。
売上成長だけに注目せず、営業利益率がどこで底打ちするかを追うことが重要です。
利益率の改善が見えてきたときに、初めて業績の裏付けある上昇が期待できます。

さくらインターネットに投資する際の注意点

さくらインターネットはボラティリティが非常に高い状態にあります。
4月初旬に急騰が起きましたが、こうした動きには需給の空白やショートカバーが介在していることが多く、材料が出た瞬間に飛びつくのは危険です。

また、リスクシナリオも明確です。
マイクロソフト協業で具体策が出ない、B200案件の収益化が遅れる、次の決算でも利益改善が見えない——こうした材料が重なると、期待剥落で大きく売られやすくなります。
短期の熱狂と中長期の実績を分けて考えることが、この銘柄を扱う上で重要になります。

まとめ|冷静さを忘れずに先行きを見守りたい

さくらインターネット(3778)は、マイクロソフトとのAIインフラ協業検討と日本への100億ドル投資発表を受けて、数営業日で53.4%急騰しました。
国策・AI・国産クラウドという強力な材料を持つ銘柄です。

一方で、足元は営業赤字が続いており、B200の収益化、マイクロソフト協業の具体化、営業利益率の底打ちを確認する必要があります。
PER1,110倍という水準は、将来への期待を多分に織り込んだ数字です。
業績の裏付けを1つひとつ確認しながら判断する姿勢が求められます。

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執筆者情報

nari

金融ライター K.Y

金融ライター

2016年大手証券会社に入社、2018年に最大手オンライン証券会社に入社し、機関投資家部門(ホールセール)を立ち上げ、翌年2019年には同社シンガポール拠点設立。2022年より日系証券会社の運用部にてポートフォリオマネジャーの経験を得て以降、一貫して運用業務に従事。

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