2026年2月12日に25年12月期の決算を発表したINPEX(1605)の株価が大幅に下落。
同社が発表した26年12月期の業績予想が市場予想を下回ったことが株価下落の主要因となりました。
本記事では、INPEX株が今後反発に向かう余地はあるのか、下値目処はどの程度になるのか、先行きを展望します。
26年12月期の予想利益はコンセンサスを下振れる結果に

2026年2月12日の25年12月期通期決算発表を受けて、INPEX株は前日比で13%を超える下落を見せました。
25年12月期の実績は、親会社の所有者に帰属する当期利益が3,938億円と非常に高い水準を記録しました。
しかし、同時に発表された26年12月期の当期利益見通しは、前期比16.2%減の3,300億円に。
市場では、25年12月期と同程度の水準である3,900億円程度の当期利益が予想されていましたので、ネガティブサプライズとなり、株価の急落につながりました。
なぜ26年12月期は減益となる見通しなのか
▼INPEXが減益予想を発表した主な要因は、2025年度よりも2026年度の方が、原油価格が低い水準で推移するとみているからです。

具体的には、2025年度の期中平均の原油価格(ブレント)が1バレル68.19ドルであったのに対して、2026年度の期中平均原油価格は1バレル63.0ドルを予想しています。
ちなみに、為替については2026年12月期の平均で1ドル=151円を予想しています。
▼また、INPEXは原油価格や為替レートが利益に与える影響についても開示しています。

具体的には、原油価格が1ドル上昇した場合には55億円当期利益が上振れ、為替が対ドルで1円円安方向に動いた場合には30億円当期利益が上振れるとしています。
今後上方修正を発表し、買い戻される可能性は?
足元の原油価格は1バレル67ドル台で、ドル円相場は1ドル=153円台で推移しています。
そのためINPEXの予想である1バレル63.0ドル、1ドル=151円は、実勢レートよりも保守的と言えるでしょう。
原油価格やドル円相場が、今の水準を期中平均として落ち着けば、280億円(会社の期初予想比で8.48%)程度の業績予想を上方修正する余地があります。
とはいえ、油断も禁物です。
国際エネルギー機関(IEA)は2月12日に、2026年の世界の石油需要を、前月の見通しから8万バレル下方修正しました。
▼今年については、供給過剰が続くとみられており、足元の原油価格のチャートを見ても1バレル70ドル近辺で頭を抑えられています。

▼また、ドル円相場についても、高市政権の衆議院総選挙での大勝を受けて、円安が進むとの予想に反してやや円高方向に動いています。

昨年は米FRBが利下げを進めているのにも関わらず円安が進行しました。
しかし、日本国内で政権が安定し、選挙対策などを目的とした野放図な積極財政政策は当面行われなくなるとの見方もあって、過度の円安は進みづらくなっているようです。
こうした外部環境も加味すれば、INPEXの保守的な予想には一定程度妥当性があるとの見方もできます。
過去最高水準を維持する基礎収益は評価材料
ここまで見てきたように、INPEXは為替や原油価格の変動によって利益が大きく振れやすい企業です。
そのため、株価も為替や原油価格の影響を受けやすい傾向がありました。
しかし、近年はこの連動性が薄れています。
▼開示資料にもある通り、2025年末までの1年間で原油価格(ブレント)は18%下落したのにも関わらず、INPEXの株価は約60%上昇しました。

為替や原油価格によって業績が振れるリスクを加味しても割安だと判断され、バリュエーションの修正が起きたと考えられます。
▼実際、原油価格や為替、さらには一過性の損益を除外した基礎収益は、2026年度に3,152億円と、好調だった2025年度(3,123億円)を上回る過去最高水準を維持する見通しとしています。

(1605)INPEX 2025年12月期 決算説明会資料より
イクシスLNGプロジェクトが収益拡大に寄与
この強固な収益力を支えているのが、主力の「イクシスLNGプロジェクト」です。
イクシスLNGプロジェクトとは、INPEXがオーストラリアで展開している、日本企業が主導する最大級の石油・天然ガス開発プロジェクトです。
2018年10月に日本に向けたLNGの初出荷を開始。
2025年に実施した大規模なメンテナンスが完了したことで、2026年は操業が正常化し、安定した生産と出荷が期待されています。
さらに、1バレルあたりの生産コストも、2024年の12.9ドルから2026年には12.2ドルまで低下する計画であり、経営の効率化が着実に進んでいることが分かります。
中長期ではアバディLNGプロジェクトの進展に期待

次なる成長の柱として期待されるインドネシアの「アバディLNGプロジェクト」も、着実な歩みを進めています。
2025年8月には詳細設計(FEED)フェーズへと移行しており、2027年中の最終投資決定(FID)に向けて、各種作業が本格化しています。
世界的にエネルギー安全保障への意識が高まる中、アジアに位置する貴重な大規模LNG供給源であるアバディに対する需要家からの関心は極めて高く、すでに生産量を上回る購入意向を受領しています。
この巨大プロジェクトが2030年代初頭に生産を開始すれば、同社のキャッシュフロー創出力は一段上のステージへと押し上げられることになります。
INPEXの下落は買いか?下値目処を分析

短期的には、原油価格や為替に左右されながらも、中長期的には新たなプロジェクトの進展で収益が拡大する期待の高いINPEX。
そうであれば下げは買いなのか、下値目処はどの程度なのかを、ここからは考えていきたいと思います。
現価格帯では配当株としての魅力は限定的
INPEXは中期経営計画において、減配を行わない累進配当を導入しています。
2026年度の年間配当についても、減益予想に関わらず、前期からさらに8円増配の年間108円を見込んでいます。
ただし、2月13日の終値(3,473円)での予想配当利回りは3.11%となっており、さほど高配当ではありません。
株価が大きく上昇してきたため、現価格帯での配当株としての魅力は薄れてしまっています。
しかし、株価が3,000円となれば配当利回りが3.6%となり、配当を狙った押し目買いも入りやすくなるとみられます。
さらに株価が下落した場合には、配当利回り4%の水準となる2,700円近辺も下値目処として意識されやすいでしょう。
株価が乱高下しながら2,700円近辺まで下落した場合、52週移動平均線との接近も意識されやすいとみられます。
円高の進行や原油価格の下落が想定以上に進み、売りが続いた場合には同価格帯が長期的な下値目処になるとみられます。
PBR1倍割れ是正は先送りに
また、INPEXはPBR(株価純資産倍率)1倍割れの是正を経営の最重要課題の1つに据えています。
▼これを受けて近年ではじわりと株価の安値、高値におけるPBRの水準が上昇してきています。

今回、PBR1倍の達成が叶わずに株価が大きく下落してしまったため、PBR1倍割れの是正は少し先送りになりそうです。
しかし、長期的には株主還元を続けるとともに、アバディLNGプロジェクト等での収益寄与への期待が徐々に膨らむことで、同水準を達成する期待ができるでしょう。
テクニカル分析から見るINPEXの下値目処
短期的には25日移動平均線の位置する3,376円近辺で株価が下げ止まるかどうかが焦点となります。
同価格帯で切り返す兆しが見えれば、短期目線でのリバウンドを狙う戦略が有効になりそうです。
下げ止まらなかった場合には、2025年末から2026年1月中旬までに揉み合った3,200円前後の価格帯が次なる下値目処として強く意識されるでしょう。
やや中期的な目線では、この価格帯まで引き付けての買いを狙いたいところです。
すでに保有している場合にはこうした価格帯への調整に耐えられるかどうかを念頭に置いて、売買判断を行うのが良いでしょう。
まとめ|外部環境は逆風も中長期的な成長期待は健在

INPEXは現在、外部環境による短期的な逆風に晒されています。
保守的な業績予想や需給の悪化から、短期的には3,200円前後まで下落する可能性もあります。
しかし、累進配当や増配を背景に、下値では配当を狙った買いもあるでしょう。
また、イクシス、アバディといった巨大プロジェクトによる中長期的な成長期待は根強いです。
こうした状況を整理した上で、自身の投資スタイルやリスク許容度に応じて、売買判断を行っていきましょう。
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執筆者情報
日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)
国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。

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