日経平均株価は、2026年2月3日に過去最高値を更新。
株式市場の強さを歓迎しながらも、日本株市場に古くから伝わる「節分天井・彼岸底」のアノマリ―が脳裏をよぎった方も少なくないのではないでしょうか。
2月の節分頃に株価が高値をつけ、3月のお彼岸に向かって下落するというこの経験則は、投資判断の目安として活用できるのでしょうか、それとも単なる迷信でしょうか?
本記事では、日経平均株価の1950年以降の超長期データをもとに、「節分天井・彼岸底」アノマリーの実態を検証し、2月3月の株式市場の波に乗る戦略を提案します。
なぜ節分天井・彼岸底が発生すると言われるのか?

節分天井・彼岸底とは、日本株市場で昔から言われているアノマリーで、2月の節分の頃に株価がピークを迎え、3月のお彼岸の時期に底を打つとされるものです。
では、なぜこの傾向が生じるのでしょうか?
その背景には、投資家の売買動向や市場の季節的な要因が関係していると考えられています。
ここでは、代表的な2つの理由を解説します。
理由①:機関投資家の決算対策による売り圧力
日本企業の決算期は3月末に集中しています。
そのため、機関投資家やファンドは、年度末に向けてポートフォリオのリバランスを行い、利益確定の売りを出しやすいとされています。
▼実際、2014年以降の投資信託や信託銀行(年金運用など)の売買データを分析すると、3月の売り越し額が大きいことが確認できます。

(2014年~2025年)
▼同じく2014年以降のデータについて月別に買い越しとなった年の数を見ても、3月は11年中3年と、かなり少ないです。

(2014年~2025年)
このように、国内の機関投資家が3月に売り圧力を強めることが、彼岸底の要因となっている可能性が高いです。
理由②:海外投資家の売買動向と税制の影響
海外投資家も、3月に日本株を売り越す傾向があります。
1月から2月にかけては、新年度の投資戦略を決めるタイミングで、海外投資家が積極的に買いを入れやすいと言われています。
しかし、3月に入ると、納税資金を確保するために株を売却する動きが強まることがあります。
アメリカでは、個人の所得税の申告・納付期限が4月15日に設定されていますので、特に、前年に大きな利益を得た投資家が、税金支払いのために保有株を売却するケースが見られます。
▼実際に2014年以降の海外投資家の売買データを分析すると、3月の売り越し額は9月に次いで大きくなっています。

(2014年~2025年)
▼また、3月に海外投資家が日本株を買い越した年も2014年以降で2年だけと、かなり少なくなっています。

(2014年~2025年)
ただし、その後の4月については、2014年以降、コロナショックのあった2020年を除くすべての年で、海外投資家が日本株を買い越しています。
そのため4月相場は持ち直しやすく、結果として、3月後半のお彼岸の頃が日本株の底値になりやすいと考えられます。
節分天井・彼岸底は成立しているか?過去の日経平均を検証
では、本当に節分天井・彼岸底の動きになっているのか、ここからは日経平均の過去データをもとに検証していきます。
「節分天井」は1950年代に頻繁に見られた!
▼1950年以降の日経平均のデータをもとに、2月、3月のうち、どの日に最高値をつけたのかを調べて、日ごとの高値をつけた回数を集計したのが以下のグラフです。

グラフから、3月末に高値をつける傾向が読み取れます。
これは、高度経済成長期やバブル期、アベノミクス相場などの多くの期間で日本株が上昇トレンドにあったことと整合的です。
▼こうした株価上昇による影響を除いて考えるため、今後は、3月末に高値を付けたケースを除外して、3月20日までに高値を記録した年のパターンを詳しく見てみてましょう。

※3月21日以降に高値をつけたケースは除く
すると、2月上旬から中旬にかけて高値をつけることが多かったと分かります。
つまり、2月上旬に高値を記録した後、2月から3月にかけては高値を更新できずにやや弱い相場が続く、節分天井のパターンが多く見られていたわけです。
アノマリーは、データにも裏付けられていると言えそうです。
▼しかし、2000年以降のデータだけに限定すると、この傾向は見られなくなります。

※3月21日以降に高値をつけたケースは除く
詳しい理由は不明ですが、節分天井のパターンは1950年代に頻繁に見られたものの、情報伝達のスピードが向上し、株式の売買が迅速になった現代では当てはまりにくくなっているようです。
また、2000年以降のデータを見ると、3月上旬に高値をつけるケースが比較的多くなっており、これは近年の新たな傾向と言えそうです。
近年は相場が荒れると「3月のFOMCが底」になりやすい!
次に、彼岸底になる傾向が本当にあるのかを検証します。
▼1950年以降の日経平均のデータをもとに、2月と3月のどの日に最安値を付けたのかを調べ、日ごとの安値をつけた回数を集計しました。

この結果を見ると、2月前半に安値をつけるケースがもっとも多いことが確認できます。
これは、先ほどと同様に、日本株市場が多くの期間で上昇トレンドにあったことと整合的です。
▼そこで、上昇トレンドの影響を除くために、2月10日以降に安値をつけたケースのみを抽出しました。

※2月10日以前に安値をつけたケースは除く
その結果、3月の中旬以降に安値をつける割合が高くなり、彼岸底の傾向が確認できました。
さらに2000年以降のデータに絞って見ると、特に3月15日から19日頃、つまりお彼岸の前から前半にかけて安値をつける年が多くなっていることが分かります。

※2月10日以前に安値をつけたケースは除く
これはアメリカのFOMCや日本のメジャーSQ、さらにはアメリカ版のメジャーSQであるクアドルプルウィッチングといったイベントの影響で、3月中旬に株式市場が激しく動きやすいためではないかと考えています。
実際、2000年以降のデータでは、3月中旬に最安値をつけた8年のうち4年でFOMCの前後の日に安値を記録しています。

ちなみに、2003年3月はITバブル崩壊後の調整が終盤を迎えた時期、2008年3月はベア・スターンズの経営危機が顕在化し、リーマン・ショックへとつながる局面でした。
2011年3月は東日本大震災、2020年3月はコロナショックの発生時期でもあります。
市場が悲観的なムードに傾いている際には、FOMCを通じた金融政策の示唆が株価の底打ちと回復の契機となるケースが多いことがわかります。
節分天井・彼岸底の傾向は過去に見られた!

今回の検証結果をもとに、日経平均の2月~3月の値動きから以下傾向が確認されました。
- 日経平均が長期的な上昇トレンドを形成してため、2月上旬に安値をつけ、3月下旬に高値をつけるケースが最も多い 。
- 上昇トレンドの影響を除くと、2月上旬から中旬に高値をつけ、3月の中旬に安値をつける「節分天井・彼岸底」のパターンが多かった。
- ただし、近年は2月上旬ではなく、3月上旬に高値をつけるケースが比較的多くなっている。
- 2月、3月の相場が荒れた年では、FOMCの前後の日に安値を記録するパターンが目立つ。
節分天井・彼岸底の検証結果を生かして戦略を立てるなら?

これらのデータを活用することで、以下のような取引戦略を考えることができます。
2月上旬から順調に株価が上昇した場合は、近年多くなっている3月上旬に高値をつけるパターンを意識して、利益確定を検討したいです。
特に、日経平均が明確な上昇トレンドではなく、レンジ相場を形成している場合には、3月中旬以降に利益を確定する売りが強まる可能性を想定しておくと良いでしょう。
もし2月から3月にかけての株式市場が波乱含みとなった場合には、FOMC前後にあたる3月中旬に安値をつける可能性を意識した投資戦略が有効になりそうです。
2026年は節分天井・彼岸底になるか?
2026年の日本株は、衆議院総選挙で与党自民党が勝利するとの期待感から明確な上昇トレンドを形成しています。
「選挙は買い」とのアノマリーを背景に、海外投資家からの買いも波及している状況でしょう。
選挙後には利益を確定する売りが波及する可能性もありますが、自民党が選挙を経て議席を増やし、安定政権の下で経済対策・成長投資が行われていくとのシナリオが崩れる可能性は低そうです。
よって、目先の株式市場が大きく崩れる可能性は低いとみられます。
そこで今年については、株高基調が続くと考えながらも、近年は3月上旬に2月、3月の高値をつける年が多いことも意識しておくと良いと思います。
上値が重くなった銘柄や、配当・優待狙いで買ったわけではない3月期権利付きの銘柄については、3月上旬頃の利益確定も視野に入れると良いでしょう。
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執筆者情報
日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)
国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。

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