東京海上HD(8766)が米バークシャーと資本業務提携発表!次なる候補銘柄は?

東京海上HD(8766)が米バークシャーと資本業務提携発表!次なる候補銘柄は?

2026年3月23日、東京海上ホールディングス(8766)が米バークシャー・ハサウェイとの資本業務提携を発表。
バークシャー傘下のナショナル・インデムニティが約2,874億円を出資し、発行済み株式の約2.5%を取得する計画です。
これを受けて、東京海上株はストップ高水準まで買われ、「バフェット効果」の健在ぶりを改めて証明しました。

ここで気になるのは、「次に東京海上と同じような提携を結ぶ企業が出てくる可能性はあるのか」です。
そこで本記事では、今回の提携スキームを徹底分析した上で、バークシャーの投資哲学と定量フィルターから次のバフェット銘柄候補を独自にリストアップします。

目次

バークシャー×東京海上の提携概要

今回の提携は、単なる出資にとどまらない包括的なパートナーシップです。
柱は3つあり、「戦略的出資」「再保険分野での協働」「M&Aにおける共同投資」で構成されています。

出資は、東京海上が保有する自己株式4,820万株をナショナル・インデムニティに第三者割当で処分する仕組みを取ります。
割当価格は1株5,962円で、3月23日の終値5,857円を約1.8%上回るプレミアムがついています。
さらに東京海上は、出資受け入れと同額の2,874億円を上限とする自社株買いを同時発表しており、既存株主にとっての希薄化の影響を実質ゼロに抑えています。

バークシャーとの提携で東京海上はどうなるか

では、この提携によって東京海上の企業価値は具体的にどう変わるのでしょうか。
今回の提携内容に踏み込んで解説していきます。

再保険コストの構造が改善

まず、再保険コストの構造改善に期待できます。
損害保険会社にとって、自然災害による巨額の保険金支払いは最大のリスク要因です。

東京海上はこれまでも再保険を活用してリスクを移転してきましたが、再保険市場の価格は近年のハリケーンや地震の多発により高騰傾向にありました。
提携によって、世界有数の再保険引き受け能力を持つナショナル・インデムニティと直接取引できるようになれば、再保険の調達コストが安定し、かつ質の高いカバーを長期的に確保できる見込みです。
これにより、大規模災害が発生した年でも業績のブレ幅を従来以上に抑えられるようになるでしょう。

さらなる海外M&Aにより収益拡大

第2に、バークシャーとの提携を機に、海外M&Aをさらに積極化する可能性が高いです。

東京海上は海外事業の拡大を成長の柱に据えており、2015年に米HCCインシュアランスを約9,000億円で、2020年には米富裕層向け保険大手のピュアグループを約3,300億円でそれぞれ買収した実績があります。
2025年10月にはBloombergのインタビューで、海外事業担当の常務執行役員が100億ドル(約1.5兆円)超の買収を行う可能性にも言及しています。
しかし、いくら資金力があっても、良質な案件情報に早くアクセスできなければ買収競争で負けてしまうのが現実です。

バークシャーは保険・金融分野のM&A情報を世界で最も豊富に持つプレーヤーの1つであり、この提携によって東京海上は「バークシャーの目利き力」という、お金では買えない情報優位を手に入れられます。
しかも共同投資のスキームがあるため、大型案件でも資金負担を分散できるメリットがあります。

グローバル保険市場における信用力が向上

第3に、グローバル保険市場における信用力が向上すると考えられます。
東京海上は連結純利益の約5割を海外で稼ぎ、売上構成も2002年の海外3%から現在は約5割にまで拡大させてきました。
とはいえ、欧米のグローバル保険大手(アクサ、チューリッヒ、アリアンツなど)と比較すると、修正ROEではまだ差があります。

ここでバークシャーが約2.5%の株主として名を連ねる意味は、単なる出資比率以上に大きいです。
バークシャーが選んだパートナー企業として、海外での買収交渉や取引先との関係構築を有利に進められるでしょう。
商社の場合、バークシャーの出資後に海外投資家の日本株全体への関心が高まりましたが、東京海上の場合はそれに加えて保険業界内での信用力向上というメリットが上乗せされます。

提携には「排他条項」付き

注目すべきは提携の「排他条項」です。
提携期間は10年間で、最初の5年間はバークシャーが東京海上の競合先と同様の契約を結べない条件がついています。
つまり、MS&ADやSOMPOといった同業損保との提携は、少なくとも5年間は封じられます。

バークシャー側の保有比率は、東京海上の取締役会の事前承認なしには9.9%を超えないことでも合意しています。
これは五大商社への投資でも採用されたのと同じ、友好的な長期投資家のスタンスで、東京海上の経営独立性を尊重する姿勢の表れと言えるでしょう。

バークシャーの日本株投資|商社から金融へと拡大

バークシャーの日本株への投資は、2019年の五大商社株(三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅)の取得開始に遡ります。
2020年8月に各社の5%超の保有が判明すると、世界中の投資家の注目が日本市場に集まりました

その後もバークシャーは着実に買い増しを続けてきました。
2025年末時点では三菱商事10.8%、三井物産10.4%、伊藤忠商事10.1%と、3社で保有比率が10%を超えています。
住友商事と丸紅も9%台に達しており、五大商社全体で数兆円規模のポジションとなっています。

バークシャーは毎年円建て社債を発行

資金調達面では、バークシャーは2019年以降、毎年円建て社債を発行しています。
2022年からは年2回のペースとなり、累計で1.5兆円以上を円建てで調達したとみられています。
円資産(日本株)への投資金を円で調達し、為替リスクを実質的にヘッジする仕組みです。

そして今回の東京海上への出資は、バークシャーが日本の金融機関と提携する初めてのケースとなりました。
これにより、次は金融セクター全体のどこに投資が広がるのか、注目が集まっています。

バフェット氏の銘柄選定基準|7つの定量フィルター

「次の東京海上」を探すには、バフェット氏(および後任CEOのグレッグ・アベル氏)が何を重視しているかを理解する必要があります。
野村證券のリサーチでは、バフェット銘柄の特性として以下の7つの定量条件が示されています。

条件基準値意味
時価総額9兆円以上大型株に限定
実績PBR(株価純資産倍率)1.9倍以下純資産に対して割高すぎない
予想PER(株価収益率)16.6倍以下収益に対して割安
予想配当利回り3.0%以上株主還元に積極的
予想ROE(自己資本利益率)14.5%以上資本効率が高い
自社株買い過去1年で実施株主還元の実績あり
ボラティリティ23.7%以下株価の変動が比較的小さい

加えて定性面では、自分が理解できるビジネスモデル」「持続的な競争優位性」「誠実で有能な経営陣といった古典的なバフェット基準が依然として有効です。
特に今回の東京海上のプレスリリースでは、両社の「分権型の経営モデルや誠実性、財務の強靭性、資本規律」が共通していると明記されていました。
バークシャーは単に数字だけでなく、企業文化の親和性も重視しているのです。

「次の東京海上」候補|5銘柄を独自分析

以上のフレームワークを踏まえ、バークシャーの事業シナジーと定量フィルターの両面から候補銘柄を絞り込みました。
重要なのは、今回の提携で損保同業は5年間の排他条項により対象外となっている点です。
したがって、損保以外の金融セクターを中心に探すのが合理的でしょう。

①三井住友フィナンシャルグループ(8316)

最有力候補は三井住友フィナンシャルグループです。
バークシャーはバンク・オブ・アメリカの大株主であり、銀行業には深い理解と親和性を持っています。

三井住友フィナンシャルグループの時価総額は約19兆円、PBRは約1.2倍、予想PERは約12.9倍、予想配当利回りは約3.1%、予想ROEは約10.0%(2026年3月24日時点)です。
ROEは現時点ではバフェット基準の14.5%に届いていませんが、同社の中島達社長は欧米主要銀行並みのROE15%を目標に掲げています。
また、次期中期経営計画(27年3月期~)では純利益2兆円の大台乗せを前倒しで達成する可能性にも言及しています。

銀行には「預金」というフロート(先に資金を集め、後からコストが発生する構造)があり、これはバークシャーが最も重視する保険のフロートと本質的に同じ仕組みです。
また、バークシャーの円建て社債の主幹事がみずほ証券であるため、みずほフィナンシャルグループ自体は利益相反で提携対象になりにくく、消去法的にも三井住友フィナンシャルグループが浮上します。

②第一生命ホールディングス(8750)

生命保険のフロートモデルは、バークシャーの事業哲学とまさに合致します。

第一生命ホールディングスは、2015年に米プロテクティブ生命を約5,800億円で買収するなど、海外展開の実績も豊富です。
東京海上と同様に「海外M&Aの共同投資パートナー」として提携が成立しうる企業です。
損保ではなく生保であるため、今回の排他条項にも抵触しません

③オリックス(8591)

オリックスは、リース・保険・不動産・PE投資と多角的に事業を展開しています。
バークシャー自体が「ミニ・コングロマリット」であり、事業構造の親和性が非常に高い企業と言えます。

実際に、以前から「次のバフェット銘柄」として市場関係者や投資家サーベイで頻繁に名前が挙がる銘柄です。
今年に入ってから株価が大きく上昇する場面もみられましたが、足元のPBRは1.11倍(2026年3月24日時点)と割高感は限定的。

ただし、バフェット氏の自分が理解できるビジネスという基準に照らすと、事業の多角化がむしろマイナスに働く可能性もあります。
また、関西国際空港のコンセッションや大阪IRなど日本固有の事業が多く、バークシャーにとって直接的な事業シナジーが見えにくいです。

④三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)

時価総額で日本最大の金融株であり、バフェット基準の「大型」「割安」を満たします。

26年3月期は純利益2兆1,000億円と、邦銀初の2兆円台を予想しています。
メガバンク3行のなかでもっともグローバル展開が進んでおり、モルガン・スタンレーとの提携実績も含めて海外パートナーシップの経験値が高い点は評価できます。

ただし、すでに外国人投資家の保有比率が高く、自己株取得による第三者割当スキーム(東京海上が採用した方式)が実行しにくい可能性があります。
三井住友フィナンシャルグループとの比較では、その点でやや不利かもしれません。

⑤NTT(9432)

バークシャーはかつて米ベライゾン株に投資していた実績があり、通信セクターへの理解は深いと言えます。
NTTは安定キャッシュフロー、低ボラティリティ、巨額の自社株買いなど、バフェット氏が好む特性を多く備えています。

ただし、東京海上のケースのような事業シナジー(再保険やM&A共同投資)が描きにくい点は大きなハードルです。
バークシャーの日本投資が事業パートナーシップ型へ進化している現在、純粋なポートフォリオ投資としてNTTが選ばれる可能性は相対的に低いと考えられます。

とはいえ、データセンターやIOWN構想など通信インフラが保険リスク評価と結びつく展開があれば、面白い化学反応が起こるかもしれません。

バークシャーが重視する「フロート」とは?

バークシャーの投資戦略を理解する上では、フロートが重要なキーワードになります。
フロートとは、保険料として先に受け取った資金のうち、まだ保険金として支払っていない分を指します。
バークシャーはこのフロートを投資に回し、実質的にコストゼロの資金で莫大なリターンを生み出してきました

バークシャーのフロートは現在約1,750億ドル(約26兆円)に達しています。
バフェット氏が保険事業をバークシャーの中核と位置づけてきた理由はここにあります。

「フロート」を持つ企業に注目

この文脈で日本の金融セクターを見ると、フロートに相当する資金を持つ業種は主に3つあります。
損害保険(保険料)、生命保険(保険料)、銀行(預金)です。
今回、損保のトップである東京海上との提携が決まったため、生保か銀行、あるいはその両方が次の提携候補となり得るでしょう。

特に日本の銀行は、日銀の利上げ局面で資金利益が大幅に増加しており、収益環境が大きく改善しています。
三井住友フィナンシャルグループの場合、政策金利0.25%の利上げ1回あたり資金利益に約1,000億円のプラス影響があるとされており、金利正常化はメガバンクにとって強力な追い風です。

バークシャーとの提携を手がかりにした投資戦略

バークシャーの保有比率は2.5%からスタートですが、五大商社同様に将来的な買い増し余地が十分にあります。
そのため、すでに東京海上を安値で買い付けられているのであれば、まずは保有継続が合理的です。

一方で、「次の東京海上」を先回りしたい投資家にとっては、本記事で挙げた候補銘柄などを分散的に買い付ける戦略が考えられます。
特に三井住友フィナンシャルグループと第一生命ホールディングスは、事業シナジーとバリュエーションの両面で説得力があります。

中長期視点でのポジション構築が重要

ただし、いくつかの注意点があります。
バークシャーの投資判断は数年単位で行われるため、「次の提携」が明日発表されるわけではありません。
五大商社への投資も、最初の取得開始(2019年)から大量保有の公表(2020年8月)まで1年以上のタイムラグがありました。
短期的な思惑で売買するのではなく、中長期目線でのポジション構築が必要です。

また、バークシャーが円建て社債を新たに発行する動きがあれば、追加の日本株投資が近い可能性があります。
同社は2019年以降、毎年円建て社債を発行しており、2022年からは年2回のペースが定着しています。

まとめ|バークシャーの日本投資は新章に入った

今回の東京海上との提携によって、バークシャーの日本投資は「商社への株式投資」から金融セクターとの戦略的パートナーシップ」へと質的に進化しました。
単なる株の買い増しではなく、再保険やM&Aの共同投資まで踏み込んだ包括提携は、バークシャーが日本市場を本格的な事業基盤として位置づけ始めた証拠です。

「次の東京海上」として最も有力なのは、フロートモデルを持つ金融機関です。
本記事の分析では、三井住友FG(8316)や第一生命HD(8750)を取り上げました。
バークシャーの新CEOであるグレッグ・アベル氏が率いる新体制のもとで、日本投資の第2章がどう展開するか、引き続き注視したいです。

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執筆者情報

nari

石塚 由奈

日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)

国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。

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