大阪副首都構想関連銘柄を紹介!維新・自民の連立政権樹立で実現に向けて期待

大阪副首都構想関連銘柄を紹介!維新・自民の連立政権樹立で実現に向けて期待

大阪府・大阪市が共同で推進する「副首都ビジョン」が、にわかに注目を集めています。

関西万博が2025年10月に好評のうちに幕を閉じ、2030年秋頃のIR(統合型リゾート)開業が計画されるなど、大阪経済は現在活気づいています。

さらに、2025年10月には自民党と日本維新の会が連立政権を樹立。
大阪を地盤とする日本維新の会が公約としてきた「副首都構想」が実現する可能性が高まっています

そこで本記事では、大阪副首都構想の概要をわかりやすく解説し、恩恵を受ける銘柄をピックアップしたいと思います。

目次

大阪副首都構想とは?実現すると何が変わるのか

大阪副首都構想とは、大阪府を平常時には日本の経済成長をけん引し、大規模災害などの非常時には国の重要な機能を担う副首都とする計画です。
具体的にどのような機能を持たせる計画なのか、また実現にはどんなハードルがあるのかを見ていきましょう。

副首都構想で大阪はどう変わる?

副首都として経済成長をけん引するために、実証都市の確立や国際金融都市の実現、ビジネス共通基盤の整備など、都市機能を充実させる方針が示されています。
また、首都圏に本社を置く企業に対して、災害時のためのバックアップ本社やデータセンターなどを大阪に常設してもらうための取り組みを進めています

非常時に国の中央省庁を移す観点では、業務を運用できる施設や安定した通信ネットワーク、業務を切り替えるためのルールの整備がまず進められています
どの省庁のどの機能を移すか、あるいは代行させるかについては、今後、国との間で協議が行われるとみられます。

これらに伴って、鉄道、道路、港湾といった都市インフラのアップデートも進む見通しです。

副首都構想の実現に向けたハードル

もっとも大きなハードルは、国との政治的な合意が必須であることです。
中央省庁の具体的な機能移転リストはまだ確定しておらず、制度設計、法改正、予算措置といった国側の意思決定を待つ部分が多く残っています。

また、2拠点維持のコストも無視できません
代替拠点、人員、通信網の多重化といったバックアップ体制の維持には、恒常的な費用が発生します。

さらに、IRや観光といった民間の投資は、景気の変動や規制の影響を受けやすく、当初見込んだ投資回収の計画がブレる可能性があります。

そして、調整の複雑さも課題です。
非常時に国から大阪へ権限を移譲する手順や、近隣府県との役割分担など、実際に機能させるための運用ルールを非常に細かく作り込む必要があります。

維新と自民の連立協議で高まる実現期待

2025年10月20日、自民党と日本維新の会は、連立政権の樹立に際して合意書を公表しました。
この合意書の中でも、特に注目されたのが、維新側が示した「12本の矢」という政策目標です。

この「12本の矢」の中核をなす統治機構改革の柱に、「首都機能分散・多極分散型経済圏(すなわち副首都機能の整備)に係る法案」の制定が明確に盛り込まれました
さらに重要なのは、「令和8年(2026年)の通常国会で成立を目指す」と具体的な期日が初めて書き込まれた点です。

これにより、これまで大阪府・市が独自に進めてきた構想が、国の制度的なバックアップを得る可能性が高まりました。

想定される「法案・制度化」の中身

今後制定が目指される法案や制度には、次の3つの要素が盛り込まれると予想されます。

1つめは、バックアップ首都機能の法的明確化です。
大阪・関西を、災害などの非常時に東京の機能を代替する拠点として正式に法律で位置づけ、制度的な根拠を整備する可能性があります。

2つめは、非常時の業務切り替え手順の整備です
首都機能が麻痺した場合の国会や行政機能の継続運用に関する具体的な手順が、法令として定められる
ことが期待されます。

3つめは、代替拠点整備の計画と予算枠の設定です。
非常時に備えて、庁舎やデータセンターなどのインフラを整備するための行政機構や予算枠、責任主体を法律で明確に定める可能性があります。

具体的な法案が国会で成立すれば、投資家の関心もいっそう高まると考えられます。

大阪副首都構想の経済波及効果

ここからは大阪副首都構想が実現した場合、大阪経済全体にどれほどの効果が期待されるのかを見ていきます。

万博跡地再開発や大阪IR(統合型リゾート)に期待感

2025年10月には「夢洲第2期マスタープラン Ver.2.0」が策定されました。
これは大阪万博の跡地を観光客向けに整備して、隣接する第1期区域に開業予定のIR(統合型リゾート)とともに運用する計画です。

将来的には自動運転などの最先端技術を使った地区内の移動システムも導入する計画です。また、万博を象徴した大屋根リングや静けさの森などをそのまま残して活用し、公園や賑わいの空間として生まれ変わらせる予定です。

万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」跡地の先行開発や民間開発事業者の募集、エリア全体の魅力を高めるための管理団体の設置も進められます。
これらと並行して、コスモスクエアと夢洲を結ぶ鉄道などの必要なインフラ整備も検討されています。

IR開業に向けて、夢洲エリアが賑わい続けると期待されています。

経済波及効果は20年で13兆円に

大阪副首都構想によって大阪経済全体がどれだけ成長するかという目標が明確に示されています。

2022年度時点の大阪の経済規模(府内総生産、GRP)は約47兆円ですが、副首都ビジョンでは、2040年までの約60兆円への経済規模拡大を目指しています。
13兆円(約1.3倍)の経済成長を目指す形で、副首都構想に関連した施策が、このうち約6兆円から8兆円の押し上げ要因になると推定されています。

大阪副首都構想で恩恵を受けるセクター

ここからは、大阪副首都構想が実現に向かうことで恩恵を受けるセクターを紹介します。

建設・ゼネコン|万博跡地の再開発で注目

2025年4月に大阪IR(統合型リゾート)の建設が始まりました。
工事施工者には、【1811】錢高組、【1850】南海辰村建設、【1852】浅沼組、【1853】森組、【1802】大林組などが名を連ねています。

さらに今後は、大屋根リングの改修や緑地の再整備などを含む万博跡地の再開発が進められる見通しです。
大手ゼネコンのほか、都市土木や景観設計を手掛ける中堅の建設会社にも、恩恵が広く及ぶと期待されます。

不動産・開発|主要地域の地価上昇に期待

IRの開業に伴って、湾岸部や臨海部に遊休地などを有する企業の資産価値が高まると考えられます。

さらに、夢洲だけでなく、梅田、中之島、新大阪といった主要地域においても、駅前再開発や複合ビルの建て替えといった大規模な再編プロジェクトが進行中です。
これらが大阪圏全体の地価を押し上げ、大阪を地盤とする不動産会社に好影響を及ぼす可能性が高いです。

鉄道・交通インフラ|交通網の再構築で注目

大阪メトロ中央線の夢洲延伸が2025年1月に開業となりましたが、これを皮切りに、湾岸鉄道網や高速道路の整備が加速します。
副首都化を実現するには、人や物の流れを非常時にも止めないためのルートの確保が不可欠であり、交通網の再構築が急務です。

大阪メトロや【9021】JR西日本、【9042】阪急阪神ホールディングス、【9044】南海電気鉄道、【9045】京阪ホールディングスといった大手私鉄各社は、交通アクセスの強化に伴う沿線開発や駅ビル商業施設の投資で恩恵を受けるとみられます。

また、物流の効率化を目指した道路の新設や橋梁工事も増加するため、重建設企業、鉄骨メーカー、道路舗装関連企業にも恩恵が広がりそうです。

インフラ・設備|データセンターにも注目

都市機能の根幹を支えるインフラ基盤の再構築も必要です。
たとえば、エネルギー分野では、非常時に首都機能を維持できるよう、電力・熱供給の二重化や再生可能エネルギー網の導入が進むとみられます。

また、通信・データインフラの整備も副首都構想には欠かせません。
データセンターを手掛ける企業などにも好影響が及ぶ余地があるでしょう。

そして、防災・減災インフラにも注目です。
南海トラフ地震や高潮などの大規模災害に備え、港湾・臨海部では防潮堤や避難港湾の整備が進み、臨時指令拠点や緊急輸送ルートの確保が進められています

観光・ホテル・IR|収益底上げに期待感

MGMリゾーツとオリックスが主導するIRは、年間売上5,200億円、納付金1,000億円、そして雇用約9万人という巨大な経済効果を生み出すことが期待されています。

IRを核として、MICE施設(国際会議場・展示場)、商業施設、宿泊施設、劇場などが一体的に運営されるため、ホテルや観光、サービスなど恩恵は広範囲に及びます。

大阪副首都構想関連銘柄選定のポイント

大阪副首都構想で恩恵を受ける銘柄を選ぶ上では、次の3つの視点を重視したいです。

1:IRや万博跡地、夢洲第2期など、直接関連する事業提案、入札、受注の実績がある企業を選ぶ。
2:地盤として関西圏を拠点とする企業に注目する。
3:ベイエリアや湾岸に土地、倉庫、物流施設を保有し、再評価の余地が大きい企業を選ぶ。

注目の大阪副首都構想関連銘柄

コード銘柄名事業内容
1814大末建設大阪に本社を持ち、マンション建築が得意な建設会社。元著名投資家の井村氏の投資顧問会社の助言を受けているファンドが大量保有報告書を提出。
1944きんでん関西電力系で電気設備・計装設備・情報通信設備・空調衛生設備などの企業を営む総合設備工事会社。資産規模では業界最大級。
6458新晃工業業務用空調機の中堅企業。大阪万博やあべのハルカスなどに導入実績を有する。
8242エイチ・ツー・オー リテイリング阪急百貨店と阪神百貨店の経営統合により誕生。傘下にイズミヤ・阪急オアシス・関西フードマーケットを有する。
8818京阪神ビルディング物件の多くを大阪に持つオフィスビル賃貸。アクティビストとして知られるストラテジックキャピタルが大量保有報告書を提出。
8877エスリード大阪地盤のマンションデベロッパー。関西圏のマンション供給戸数でトップ級。商業施設、オフィス、ホテル・民泊などの開発も。

大阪副首都構想関連銘柄へ投資する際のポイントと注意点

副首都構想では、収益を拡大させ、株価も大きく上昇する銘柄が複数誕生する期待ができます。

しかし、実現しないリスクやすでに株価に期待が織り込まれているリスクも。
投資で失敗しないために押さえておきたいポイントを解説します。

構想実現に向けて今後ウォッチすべきポイント

実際に令和8年通常国会で、この法案の成立が目指されるかどうかが最大の試金石となります。
また、国家予算において首都機能分散、バックアップ拠点といった項目で予算が組まれるかどうかも、国の本気度を示す重要な指標となります。

法制度化が進むのと並行して、大阪府・大阪市側が、代替庁舎、データセンター、通信設備など、実運用に耐えうる物理的・人的な準備を進めるかどうかも重要です。

さらに、内閣府、防災担当、総務省、国土交通省などの関係省庁が、具体的に制度設計の作業を開始するかどうかも、政策が進んでいるかを測るチェックポイントとなります。

セクターごとに異なるリスク

投資を行う際には、期待される恩恵だけでなく、それぞれのセクターが抱える変動要因にも注意を払う必要があります。

建設業界では、建設資材の価格高騰や人手不足によりコストが増加するリスクがあります。
また、入札競争が激しくなることで、採算性の低い価格での受注が増え、受注残は多くても、利益率が圧迫されるというリスクが生じます。

不動産セクターでは、地価の高騰によって新しいプロジェクトのための用地を取得する際のコストが跳ね上がり、開発全体の採算性を悪化させる可能性があります。

IRを核とする観光セクターは、海外からの需要に大きく依存するため、外部環境の変化に敏感です。
円高の進行や海外景気の失速による外国人観光客の減少はリスクになると考えておきましょう。

このほか、大阪IRの開業後に、もし他の地域でもIRの計画が具体化した場合、顧客の奪い合いとなり、国内での競争が激化するリスクも考慮しておく必要があります。

チャート・株価面からの注意点

株価の面では、建設株やベイエリアに土地などの不動産を持つ主力銘柄は、すでに万博テーマで一度上昇している場合が多いです。
万博が終了したため、好材料出尽くし感からしばらく調整が続いてしまう可能性に注意しましょう。

一方で、観光や電鉄、不動産など万博の時にはあまり盛り上がらなかったものの、長期的に好影響を受けそうな銘柄は狙い目となります。
ただし、こうした銘柄は一気に期待が高まるというよりは、業績拡大とともにじわじわと上昇する動きになりやすいと考えられます。
この点を念頭において、やや長期的な視点で投資を行う必要があります。

まとめ|実現可能性に注意を払いつつ長い目線で投資を!

副首都構想が実現すれば、大阪の経済規模は2040年には約60兆円へと拡大する見込みです。
これを受けて、建設・インフラ・交通・不動産・観光といった分野に好影響が及ぶでしょう。

政策の実現にはまだ不透明感があるものの、国会で具体的な話が出てくれば、一気に注目が集まる余地があります。
進捗には注意を払いつつ、大阪の都市構造の変化を見据えて、関連銘柄には少し長い目線で投資を行いたいです。

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執筆者情報

nari

石塚 由奈

日本投資機構株式会社 投資戦略部 主任代理/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)/日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)

国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。

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