東証スタンダード市場でテンバガーを狙う!割安銘柄群から10倍株を探す方法と注目銘柄リスト

東証スタンダード市場でテンバガーを狙う!割安銘柄群から10倍株を探す方法と注目銘柄リスト

投資家の夢である「テンバガー(株価10倍)」達成。
テンバガーを掴むためには、どの市場に注目し、どのような銘柄を選べば良いのでしょうか。

本記事では、テンバガー銘柄が多数輩出されている東証スタンダード市場に焦点を当て、その魅力と具体的な銘柄発掘方法を解説します。
過去の事例を検証しつつ、割安で成長の兆しがある銘柄を見つけるための効果的なスクリーニング条件、注目の候補銘柄をご紹介します。

目次

テンバガーになる銘柄には条件がある!

テンバガー(株価10倍)になる銘柄には「売上高やEPSが伸びている」「時価総額が1,000億円未満」といったいくつかの条件・共通点があります。
具体的な条件については、以下の記事でも紹介していますので、是非この記事と合わせてご覧ください。

東証スタンダード市場はテンバガー候補となる割安株の宝庫

2022年4月の東京証券取引所の市場再編により誕生した東証スタンダード市場は、テンバガー候補を探す上で非常に魅力的な市場です。

東証プライム市場と比較して、時価総額が小さく、人気に火がつけば短期間で大きく値を伸ばしやすい銘柄が豊富に存在します。
また、プライム市場ほど注目されていないため、割安な株価で放置されている銘柄を見つけやすい側面もあります。
市場の認知度や流動性の問題で株価が適正に評価されていない隠れた優良企業を効率的に発掘できるのが、東証スタンダード市場の最大の魅力と言えるでしょう。

東証スタンダード市場から誕生したテンバガー銘柄は?

東証スタンダード市場からは毎年のようにテンバガー銘柄が誕生しています。
たとえば、Abalance(3856)、メタプラネット(3350)、住石ホールディングス(1514)などが大相場を形成し、個人投資家に広く人気となりました。
それぞれの銘柄について、値動きや上昇理由を詳しく確認しておきましょう。

Abalance(3856)米政策を追い風にテンバガー達成

Abalance株価急騰時のチャート。テンバガーへ

※TradingViewより引用

Abalanceの株価が大きく上昇した最大の理由は、アメリカの政策変更をきっかけに、同社の主力子会社であるベトナムのVSUN社の業績が急拡大したからです。
株価は2022年2月の安値520円から2023年5月の高値1万3,620円まで、1年3ヵ月で26倍を超える上昇を見せています。

米国の特例措置が利益を押し上げ

2022年6月、アメリカ政府は国内の太陽光発電向け部材の供給不足を補うため、ベトナムやタイなど4か国から輸入される太陽光モジュールに対して24か月間の関税を免除する特例措置を発表しました。
特例措置により、ベトナムで太陽光モジュールを製造していたVSUN社は、アメリカ向けの出荷を急速に拡大できました。
▼Abalanceの北米売上は、2022年6月期の約681億円から、翌2023年6月期には約1,867億円と1年で約2.7倍に増加しています。

Abalance地域ごとの売上高の推移。北米売上が急増。


▼また、2023年6月期の売上高は前期比で2.4倍、経常利益は同9.8倍と過去最高の業績を記録しています。

Abalance売上高・経常利益の推移。米政策追い風に収益急増もその後の反動減が厳しい。


業績面でも裏付けが取れたため、買い安心感が強まり、Abalanceの株価は、2023年8月にかけて一時1万3,620円の高値をつけました。

急速に追い風が止み、株価は急落へ

▼しかしその後、わずか数か月で半値以下に下がるほどの大幅な下落に見舞われました。

Abalance株価急落時のチャート

※TradingViewより引用

主な原因は、決算への失望と海外リスクの高まり、そして太陽光業界全体の環境悪化が重なったためです。

Abalanceは、2023年8月に、2024年6月期の経常利益が前期比でわずか6.8%増にとどまる見通しを発表しました。
前期までの成長スピードから見てかなり物足りず、急成長は終わったとの警戒感が広がりました。

また、アメリカの商務省が、「中国製部材を使って東南アジアで組み立てたパネルは、中国製とみなして関税を課す」と最終決定。
Abalanceのアメリカ向け販売が打撃を受ける可能性が浮上しました。

加えて同時期には、太陽光パネル業界では世界的な供給過剰が起きていました。
特に中国メーカーが次々と増産に踏み切ったことで、パネル価格が急落。
業績の失速に拍車をかけるとの警戒感から、株価が大きく調整する要因となりました。

メタプラネット(3350)ビットコインを保有する戦略でテンバガーへ

メタプラネット2023年12月の安値14円から2025年6月の高値1,930円まで、1年半で137倍以上上昇。テンバガーへ

※TradingViewより引用

メタプラネットの株価が大きく上昇した背景には、ビットコインを中心とした財務戦略への大胆な転換があります。
株価は2023年12月の安値14円から2025年6月の高値1,930円まで、1年半で137倍以上の上昇率に達しています。

ビットコイン企業に変貌

メタプラネットはホテル運営などを手がけていましたが、2024年4月に「ビットコイン・ファースト戦略」を発表し、保有資産の中心を日本円ではなくビットコインに移す方針を打ち出しました
当時は米国株式市場でビットコインを保有するマイクロストラテジーという企業が人気化していました。
そのため発表をきっかけに、投資家の間で「日本版マイクロストラテジー」との見方が広がり、注目が集まりました。

メタプラネットはこの方針を口だけで終わらせず、実際にビットコインの購入を続けている点が評価されています。
たとえば2025年3月には162BTCを追加購入したと発表し、これで保有量は1,700BTCを超えるまでに拡大。
会社の説明によると、2025年末までに1万BTC、2026年末までに2.1万BTCを目指すとのことです。
さらに、長期的には10万BTC以上の保有を目指す計画も掲げています。

人気がなくなると需給面に懸念

▼しかし、2025年後半にかけてメタプラネットの株価は急降下し、下降トレンドに転じています。

メタプラネット2025年6月をピークに大幅調整。

※TradingViewより引用

メタプラネットは、ビットコインを買い増すための資金を調達する目的で、MSワラント(新株予約権)と呼ばれる仕組みを使って株を増やしています。
この方法は、機関投資家などに対して「将来的に一定の価格で株を買える権利」を発行し、それを行使してもらうことで会社が資金を得る仕組みです。

しかし、この仕組みを大規模に行うと、市場に出回る株の数がどんどん増えてしまうため、1株あたりの価値が下がる希薄化が起きます。
また、MSワラントは、新株を取得した投資家がすぐ市場で売却して利益を得るケースが多く、これが株価の上値を重くする原因になります。

上昇幅が大きかっただけに厳しい反落に

勢い良く株価が上昇している間は良かったのですが、勢いが止まったタイミングで、投資家は徐々に新株発行による需給悪化を警戒し始めました。
会社側もこれを受け、「株価の安定を図るために一部の新株発行を一時停止する」と発表しましたが、すでに市場では「売りが止まらない」という不安が広がっており、下落の勢いを抑えられていません。

保有するビットコインの価値以上に株価が上昇していたため、一度人気がなくなると割高感が意識されやすく、下落に拍車がかかっていると考えられます。

住石ホールディングス(1514)配当金収入の急増や大株主による買い増しで急騰

住石ホールディングス株価急騰時のチャート。テンバガーを達成。

※TradingViewより引用

住石ホールディングスは、想定以上の配当収入と株主への還元が評価された上に、発行株の流通量が少なく値が飛びやすかったため、大幅高となりテンバガーを達成しています。
株価は2023年4月の安値303円から2024年3月の高値5,570円まで1年1ヵ月で18倍超の上昇を見せました。

配当収入や需給思惑が上昇要因に

まず土台になったのは豪州ワンボ炭鉱からの大型配当です。
2023年9月に約53.9億円、続いて2024年3月に約27.9億円、2024年9月にも約23.9億円の配当受領を公表しました。
配当受領によって利益が押し上がったほか、次もあるかもとの期待も広がりました。
2024年4月に明言した「配当性向40%を目安」とする方針も評価されています。

住石ホールディングス、売上高・経常利益の推移

追い風はテーマ性にもありました。
グループ会社のダイヤマテリアルは工業用の人工ダイヤ(研磨材)を手がけており、2023年ごろから市場で話題になった「ダイヤモンド半導体」や半導体製造プロセスの関連素材として取り上げられることが増えたのです。

加えて、株式会社麻生が住石ホールディングス株の買い増しを続けていたことも株高につながりました。
麻生による買いによって、市場に流通する株の数が減り、短期間で値が飛びやすくなりました。

石炭価格が弱含み、株価は急失速

2022年に高騰した石炭価格は、2024年~2025年にかけて世界の石炭需給が緩んだため、下押し基調に転じました。
国際機関や主要紙のレポートでも、過剰在庫・需要鈍化で熱炭価格が下落・安定圏に移行したと分析されています。

市況の悪化で、豪州・ワンボ炭鉱からの受取配当金が想定を下回り、業績や株価には下押し圧力がかかりました。
実際、2024年10月4日には、2025年3月期の通期見通しを下方修正し、期末配当の予想も42円から25円に引き下げています。

住石ホールディングス、配当金の推移

▼業績拡大や増配への期待は急激にしぼみ、株価も下降トレンドに転じてしまいました。

住石ホールディングス株価急落時のチャート

※TradingViewより引用

東証スタンダード市場発のテンバガー銘柄の傾向

Abalanceやメタプラネット、住石ホールディングスはいずれも割安に放置されていました。
しかし、米政策の転換や業態転換、配当収入と大株主による買い増しなどをきっかけに評価が変わり、大相場を形成しています。

ただし、いずれの銘柄も短期間で大きく上昇している一方、継続的なトレンド形成には至っていません
継続的な成長というよりは、一過性の変化によって大化けする銘柄が、東証スタンダード市場には多いと言えます。
高値掴みを避けるために、なるべく早く変化の兆候を掴んで買いに入り、加熱感が強まったタイミングでは利益確定を考えるのが良いでしょう。

変化の兆候を早く掴むには、開示資料を日々確認する必要がありますが、全ての企業の開示を見るのはなかなか大変です。
そのため、割安感が強く、変化の可能性があるいくつかの銘柄を候補として絞り込んだ上で、日々動向を追うのがテンバガー銘柄を見つける現実的な方法となるでしょう。

東証スタンダード市場から探す!10倍株スクリーニング条件

では、テンバガー候補となる銘柄を探す上では、どのようなスクリーニング・条件設定が有効でしょうか。
私としては、割安感が強く、業績が上向きつつあり、しばらく人気のない時期が続いていた銘柄をスクリーニングで選ぶのが有効だと思います。
それぞれ条件設定の例を紹介します。

条件①:割安感が強い(PBR0.8倍以下)

割安感が強い銘柄を選ぶ上では、企業が持っている資産に対して株価が割安かどうかをはかる指標であるPBR(株価純資産倍率)を使うのが良いでしょう。
PBRは1倍以下であれば、株価が企業の有する純資産価値(資産から負債を差し引いた金額)を下回っており、割安と言えます。

ただし、そもそも東証スタンダード市場には、PBR1倍割れの割安な企業が非常に多いです。
そのためもう少し基準を厳しくして、PBR0.8倍以下でスクリーニングするのが良いと思います。

条件②:業績が上向き(前年度比売上高成長率10%以上)

何らかの良い変化が起きているとき、企業の業績は上向いていると考えられます。
ただし、スタンダード市場でテンバガーになった銘柄は、継続的に成長しているというよりは、一時的に収益が急拡大している場合が多いです。
また、まだ利益は赤字であるものの、売上高の増加に伴う近い将来の黒字転換が期待されて、株価が上昇する場合もあります。

したがって、5年前や3年前ではなく前年と比較して、利益ではなく売上高が増えている企業を絞り込むのが良いと思います。
たとえば、売上高成長率が前年度比で10%以上といった条件を設定してみましょう。

条件③:株価が下降トレンドではない


スクリーニングである程度候補を絞りこんだら、それらの銘柄がどのような値動きをしているかも確認しておきましょう。

特に注意が必要なのは、すでに大きく評価された後に下降トレンドへ転じている銘柄です。
一度急騰した後で下落に転じると、好材料出尽くしと見なされ、株価が長期間低迷するおそれがあるためです。

投資家からまだ評価されていない銘柄を探す意味では、安値圏でのもみ合いを続けている銘柄が有望でしょう。
また、直近で株価が上向いていたとしても、その上昇率が限定的であれば、本格的な評価がこれから始まる余地があると考えられます。

値動きを確認するための具体的な手順としては、スクリーニングで抽出した銘柄を取引ツールに一括登録して、チャートをざっと確認していくのが良いと思います。
週足チャートを表示させて、26週、52週などの長期の移動平均線が横ばいもしくは上向きにある銘柄をテンバガー候補としてリストアップするのが良いでしょう。

【テンバガー期待】注目の東証スタンダード銘柄

上記のスクリーニング条件をもとに、今後のテンバガー(株価10倍)候補となるスタンダード銘柄をまとめました。
スタンダード市場の銘柄は出来高が少なく、流動性が薄い銘柄が多いため、買い付ける際には板を見ながら、買いに入れる株数をきちんと検討するのが良いでしょう。

証券コード銘柄名事業内容
3321ミタチ産業半導体・電子部品の専門商社。設計支援から部材調達、基板実装(EMS)、品質・物流まで一気通貫で提供し、車載・産機・民生向けにグローバルに展開。
7722国際計測器自動車・鉄道向けの試験・計測装置メーカー。ブレーキ・シャシー・エンジンなどの各種試験機を設計製造し、試験ライン構築や保守サービスまで手掛ける。
4100戸田工業フェライト(磁性材料)とリチウムイオン電池の正極材など機能性無機材料を開発・製造。自動車・家電・情報機器向けに材料技術で高付加価値を提供。
6466TVE原子力・火力・水処理などプラント向け大型バルブの専業メーカー。高温高圧・放射線環境下での制御技術に強みを持ち、設計・製造から据付・保守まで一貫対応。
4366ダイトーケミックス半導体・フラットパネル向けの機能性ポリマーや感光性材料(フォトレジスト関連)を展開。微細加工・高耐熱・低誘電など材料設計力で電子部材の高性能化に貢献。
6384昭和真空半導体・電子部品用の真空成膜装置(スパッタリング等)の開発・製造メーカー。薄膜形成プロセスの最適化や量産対応まで、装置+プロセスの提案力が強み。
1724シンクレイヤCATV・FTTHなど通信インフラの設計・施工・保守をワンストップで提供。光ファイバー敷設からネットワーク運用支援、地域のDX・防災無線などの導入も支援。

まとめ|割安株が変化するサインを見逃すな!

この記事では東証スタンダード市場に注目し、過去の事例からテンバガー銘柄の傾向と具体的なスクリーニング方法を解説しました。

Abalance、メタプラネット、住石ホールディングスの事例から、割安に放置されていた銘柄が、業態転換や政策変更、配当拡大などの変化をきっかけに急騰するパターンが確認されました。
ただし、これらの銘柄は短期間で急騰した後に反落しており、高値掴みには注意が必要と言えます。

有望な銘柄を早く掴むための方法としては、「PBR0.8倍以下」「売上高成長率10%以上」「下降トレンドではない」といった3つのスクリーニング条件を紹介しました。
これらの条件で抽出された注目の候補銘柄群を日々ウォッチし、変化のサインを見逃さないことが、テンバガー銘柄を掴む近道となるでしょう。

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執筆者情報

nari

石塚 由奈

日本投資機構株式会社 投資戦略部 主任代理/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)/日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)

国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。

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