2502 アサヒグループホールディングスが9月下旬にサイバー攻撃を受けました 。
9/26の終値1839円だった株価は、9/29にシステム障害発生が発覚し1,782.5円まで下げました。
大きな下落はないものの徐々に値を下げ10/16には1696円まで下落しています。
現在は、少しずつ回復し底値をついたように見えますが、下落前水準には届いていません。
そこで今回は、2502 アサヒグループホールディングスの回復について、データ分析し考えていきたいと思います。
【現状分析】サイバー攻撃前から続くアサヒ(2502)株価低迷の背景
サイバー攻撃前の同社は、2025年3月以降から、1,900円を中心に「上値:2,000円~下値:1,800円」のボックス圏での推移を続けていました。
しかし、9/3以降8日連続で陰線をつけ1700円台まで下落するなど、サイバー攻撃以前から好調に推移しているとは言えない状況でした。
移動平均線を見ても、緩やかに上昇中の200日移動平均線を、9/30に25日移動平均線が下抜けしました。10/23には、さらに25日移動平均線も200日移動平均線を下抜けしました。

25日移動平均線が200日移動平均線を上から下に抜ける現象は「デッドクロス」と呼ばれ、一般的に下落トレンド入りのサインとされます。
サイバー攻撃以前から25日・75日移動平均線が右肩下がりに変化していたことを考慮すると、この下落にサイバー攻撃が勢いを加えたようにも見えます。
10月4週に入り下げ止まったようにも見えますが、各移動平均線の状況を考慮すると、すんなり回復に向かうか判断が難しいところでもあります。
そこで、過去の傾向から11月末時点の上値・下値の予想レンジを計算し、同社の株価がこれから回復に向かうかについて分析してみましょう。
[関連]ゴールデンクロス・デッドクロスは本当に使える?株初心者が知るべき移動平均線の基本
【25年統計】アサヒHD株価は11月に「小幅変動」に留まる可能性
まず同社の株価が、11月に例年どのような傾向が見られるのか分析してみます。そのデータ分析の結果はこちらです。

| 期間 (2000年~2024年) | 上昇回数 | 下落回数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 全体の傾向 | 14回 | 11回 | 上昇・下落の傾向は、やや上昇だが、ほぼ均衡と考えても良い |
| ±10%以上の変動 | 3回 (最大+30%超) | 4回 (最大-20%程度) | 10%程度で落ち着く傾向 |
| ±5%以内の小幅変動 | 7回 | 7回 | 全体のおおよそ半数を占める |
このデータ分析の結果、例年の11月の株価は、やや上昇傾向はありますが、上昇傾向と下落傾向が「ほぼ均衡している」と読み取れます。変動幅を見ると、全体の半数が5%以内の小幅変動にとどまっています。
これをふまえると、この時期の株価は小幅変動にとどまる可能性も高いと分析できます。また、過去に+30%超などの大きな変動も見られますが、上下ともに10%程度まで到達すると値動きが止まる傾向があることも確認できます。
データ分析が示す株価変動の傾向:このまま下げ止まり状態が続くと予測
つまり、5%に届かない水準で値動きが停滞した場合は、小幅変動になる可能性が高く、5%を超えると10%程度で落ち着く傾向があると分析できます。
これをふまえると、同社の株価はこの11月に、上昇と下落のどちらに進むかは、ほぼ均衡しますが、小幅変動にとどまる可能性が高いと判断します。
直近のサイバー攻撃前の下落の動きや、サイバー攻撃後の下げ止まりを見ると、小幅変動に留まる可能性が高いでしょう。
一方で、25日・75日移動平均線が200日移動平均線を下抜けし始めたことを考慮すると、10%程度までの下落も想定するのが良いでしょう。
そのときは-5%を超えるかが基準です。これよりも進む場合は、そのまま-10%程度まで方向感が出ると考えられますので、注意しておきましょう。
では、この分析結果を元にすると、同社の11月末時点の株価予想レンジはどれくらいになるのでしょうか?
11月末の目標株価予測レンジ:上値1,876円/下値1,637円
これまでの株価をデータ分析すると、11月末の株価は、平均的な上昇幅は約7.3%、平均的な下落幅は約6.2%と考えられます。
よって、11月末の株価の予想レンジは以下の通りです。
【予測レンジ(目標株価)】
上値目安:1,876円
下値目安:1,637円
※10/20終値1,747円を基準に計算
また、下のグラフの通り、上昇幅は約7.3%、下落幅は約6.2%ということもあり、上下のどちらに進んでもおおよそ同じくらいの変動があると予想されます。

なお、予想レンジでは上下とも5%以上の変動になっていますが、確率で考えると上下とも5%以下の変動にとどまる可能性が高いと分析できます。
もし、5%をこえても方向感が出る場合は、この平均的な水準を上回り10%程度まで変動すると考えておくと良いでしょう。
それ以上の変動の場合は、20%や30%の変動になりますが、そこは過去25年の中でも2回の出来事ですので、そこまでの方向感が出る確率は低いでしょう。
予想レンジから見る現状:下げ止まり状態でのテクニカル分析
上値目安まで上昇した場合は、直近の75日・200日移動平均線を上抜け下あたりまで上昇します。
9月の続落前の水準には届きませんが、半値戻しよりは高い水準に戻ることになります。

ただし、10%程度まで上昇する確率が低い傾向がありますので、ここで上昇が止まると分析します。
各移動平均線も右肩上がり変化するまでには時間を要するので、データ通りこの5~7%上昇したあたりで停滞すると考えます。
サイバー攻撃の理由以前から続落したいたこともふまえると、上昇しても楽観的に捉えることなく、厳し目にみていくのが良いでしょう。
現状から見る注意すべき「下落リスク」と最悪のシナリオ
反対に、下値目安まで下落した場合は、年初来安値付近まで下落します。こうなると、9月の続落から明確に下落トレンドに突入したと判断できます。

傾向から見た場合、確率は低いですが仮に10%下落すると、さらに年初来安値手前まで下落します。
サイバー攻撃がきっかけの下落のようにも見えますが、それ以前から続落していたことや、決算発表も11月中旬にあることをふまえると、悲観的には年初来安値更新も予測されます。
株価回復の条件:外部要因とファンダメンタルズ分析

現状を見る限り、上昇しても下落前水準に戻らず、下落すると年初来安値付近で低迷しそうな状況です。
そうなると、移動平均線を上抜けするなどのテクニカル的な部分では、ファンダメンタルズの材料が出てこない限り、上昇は難しいかもしれません。
ただし、そういった材料が何になるかは不明です。
サイバー攻撃以前から続落し、サイバー攻撃がトドメを刺したような状況ですので、場合によってはサイバー攻撃の終焉が材料になるかもしれません。
一方で、超長期的に見ると、下落があったのちは上昇を開始したり、しばらく直近の安値圏を推移するものの、再上昇する動きを見せています。
ちょうど、日本株市場全体は、12月に向け上昇する傾向もありますので、上手くその流れに乗ってこの再上昇のシナリオになることも考えられます。
いずれにしても、内部要因による上昇ではなく、外部要因による上昇になることが想定されます。
そういった状況ですので、基本的には厳しめのスタンスで見て、外部の風の状況によって再上昇があると考えると良いでしょう。
ぜひ、このような情報をもとに、あなたの投資スタンスを決めてみてはいかがでしょうか。
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執筆者情報
ストラテジスト
株式会社SAC Technologies ストラテジストでありトレード歴12年以上の現役ベテラントレーダー。2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。単年で負ける年もあったものの12年間以上、安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。
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