Z世代を中心に、「推し」を応援し、推し活(=アイドル/キャラクター/VTuber などを推し、その関連消費を楽しむ活動)が文化として広まりつつあります。
推し活用のグッズ購入・ライブ・配信・コラボ商品など、関連市場は趣味を超えて数兆円規模に成長。
今回は、「推し活関連銘柄」として投資視点で注目される企業群にスポットを当て、市場の現状・成長ドライバー・具体銘柄・投資判断のポイントまで、初心者にも分かりやすく整理していきます。
推し活関連銘柄に注目!Z世代を中心に市場が拡大

「推し活関連銘柄」とは、推し活文化を支えるキャラクター・IP(知的財産)、アニメ・マンガ・ゲーム、VTuber・配信プラットフォーム、ライブ・音楽・イベント事業、グッズ・カプセルトイ・オンラインくじなど、ファン消費を裾野とする企業群のことです。
近年、SNS発のファン活動や投げ銭、グッズ大量購入といった“推しのために使う”消費が定着し、企業サイドでも推し活需要を取り込むビジネスモデルが加速。趣味の枠を超えた文化的・経済的な潮流として、「推し活」をテーマに据えた銘柄群が投資対象として浮上しています。
推し活市場の規模と今後の見通し
市場規模に関して調査によると、2025年時点で「推し活人口」が約1,384万人にのぼり、年間消費額の合計が約3.5兆円という推計があります。
その理由として、 ・Z世代・ミレニアル世代の“推し文化”の広がり ・遠征・ライブ・グッズ・配信といった複数チャネルでの消費 ・海外向けファンビジネス拡大 などが挙げられ、その成長ポテンシャルは今後も高いと見られています。
推し活消費は不況に強い!?
景気や為替の変動が消費心理を冷やす中でも、推し活消費は比較的底堅いという特徴があります。
例えば「好きなキャラクター・アイドルを応援したい」という動機が強く、消費の主体が“応援・共有”という目的志向型であるため、他の趣味や一般消費と比べて揺らぎにくい側面があります。野村證券の調査でも、物価上昇の中で推し活市場が拡大という報告があります。
メディアミックスや海外展開による成長余地
推し活ビジネスは、一次のキャラクター・IPから二次・三次の収益展開(アニメ化・映画化・ゲーム化・グッズ化)を可能とし、更には海外展開(グローバルファンの取り込み)にも道を開いています。
これにより、収益の複線化・長期化が可能であり、企業側では一つの人気IPから長期にわたって利益を引き出せる構造が形成されています。さらに海外市場では日本発IPが人気を博しており、成長余地は国内以上とも言われます。
注目の推し活関連銘柄を主要カテゴリーごとに紹介

推し活市場は、キャラクターIP、アニメ制作、VTuber、ライブイベント、グッズビジネスなど、多岐にわたる業界が複層的に支えています。そのため、推し活関連株と一口に言っても、収益モデルや成長ドライバーはカテゴリーごとに大きく異なります。
ここでは、推し活を構成する主要領域を整理しながら、どの分野がどのようにファン需要を取り込んでいるのかを丁寧に解説します。
また、各カテゴリーごとに代表的な上場企業を1社ずつピックアップし、「どのような強みを持っているのか」「どんな推し活需要を収益にできているのか」まで分かるように具体例付きで紹介します。これにより、推し活投資における“自分の関心に合った銘柄”が見つけやすくなるはずです。
キャラクター・IPビジネス
概要・特徴:キャラクターやストーリーを核とした知的財産(IP)を活用し、ライセンス供与、グッズ販売、テーマパーク展開、コラボ商品など複数収益源を持ちます。IPは“資産”としての価値を持ち、人気が出れば長期間収益を生む可能性があります。
具体企業:【8136】サンリオ

「ハローキティ」など多数キャラクターを保有し、国内外でのライセンス展開・グッズ販売に強み。キャラクター人気の波に乗ると安定的な収益が期待できます。
アニメ・マンガ・メディアミックス
概要・特徴:マンガやライトノベルを原作にアニメ化・映画化・ゲーム化・配信化といったメディアミックスを通じて、作品1つから多段収益を生むモデル。
具体企業:【4816】東映アニメーション

「ワンピース」「ドラゴンボール」など世界的人気IPを多数保有し、アニメ制作・版権事業・商品化・配信の四本柱で展開。IPの波及力が大きな強みです。
VTuber・配信プラットフォーム
概要・特徴:VTuberやライブ配信プラットフォームでは、投げ銭・サブスク・コラボグッズといったファン参加型収益が中心。グローバルに展開できる点も魅力です。
具体企業:【4751】サイバーエージェント

動画配信「ABEMA」、VTuber/ゲーム/IP事業などを手がけており、若年層向けトレンドを捉えたビジネスモデルを有しています。
ライブ・音楽・イベント
概要・特徴:ライブコンサート、ファンミーティング、舞台イベントなど“推しに会いに行く”体験型消費が中心。チケット・グッズ・遠征交通・宿泊といった付随消費も大きな比重です。
具体企業:【4839】WOWOW

ライブ配信・スポーツ・音楽イベントの配信ビジネスを展開しており、配信化されるライブ需要に対応する体制を整えています。
グッズ・カプセルトイ・オンラインくじ
概要・特徴:ファン消費の典型として、公式グッズ、大量購入や収集、オンラインくじ、カプセルトイなどが挙げられます。低単価ながら枚数・回数が多く、累積消費額が大きくなりやすい構造です。
具体企業:【7832】バンダイナムコホールディングス

玩具・ゲーム・アミューズメント施設・映像・音楽の複合事業体で、「ガンダム」「ドラゴンボール」など長寿IPを活かし、グッズ・カプセルトイ・ライセンス商品を強みにしています。
その他の推し活関連銘柄
| 証券コード | 企業名 | 推し活関連としての注目ポイント |
| 2432 | ディー・エヌ・エー (DeNA) | スマホゲームIP展開・配信強化(ゲームや配信でのファン消費)。 |
| 3659 | ネクソン | オンラインゲーム・グローバル展開に優れる(国際的なファン層によるゲーム内消費)。 |
| 6758 | ソニーグループ | ゲーム・映画・音楽・IP多角展開(総合的なエンタメエコシステム)。 |
| 7974 | 任天堂 | 自社IPをグッズ・映画・テーマパークなどへ横展開(強力なIPによる多方面のファン消費)。 |
| 6316 | 丸山製作所 | カプセルトイ機械製造に強み(グッズ・収集系消費の基盤)。 |
| 5214 | 日本電気硝子 | ガシャポンカプセル素材向けに部材供給(カプセルトイ市場のサプライヤー)。 |
推し活関連銘柄の選び方|銘柄選定のポイント

推し活関連銘柄を投資対象として選ぶ際には、単に「今流行っているか」だけでなく、その企業が長期的にファン消費から安定して利益を生み出せる構造を持っているかを評価することが重要です。以下の6つの視点で企業をチェックしてみましょう。
IP・キャラクターの保有力(資産としての価値)
企業の核となるキャラクターやストーリーなどのIP(知的財産)がどれだけ強力で、長持ちするかを見極めます。IPは企業にとって長期的な「資産」です。
- 長寿IPの有無: 「ポケモン」「ガンダム」「ハローキティ」のように、世代を超えて長く愛され、安定した収益を生み出し続ける長寿IPを持っている企業は、基盤が強固です。
- 新規育成力: 新しい時代のトレンドを捉え、TikTokやYouTubeなどから新たな人気IPを生み出し続ける能力があるかどうかも重要です。
メディアミックス展開力(収益の多角化)
一つのIPから、どれだけ多くの収益源を広げられるかという横展開の能力を評価します。展開力が高いほど、収益は安定し、爆発力も増します。
- 多段収益モデル: マンガがヒットしたら、アニメ化、映画化、ゲーム化、そしてグッズ化へと、複数のチャネルでファンから収益を得る仕組みが整っているかを確認します。
グローバル展開(市場の大きさ)
日本のIPは世界中で人気が高まっています。国内市場だけでなく、海外のファン(グローバルファン)をどれだけ取り込めているかは、今後の成長ポテンシャルを測る重要な指標です。
- 海外売上比率: 企業の売上に占める海外比率が高い、または海外展開が急成長している企業は、国内市場が成熟しても成長を続ける余地が大きいです。
- 配信インフラ: アニメやVTuberの配信プラットフォームが、世界中のファンに向けて視聴しやすい環境を整えているかもポイントです。
ファン参加型収益の強さ(消費の多様性)
ファンがお金を使う「財布の口」がいくつあるかを確認します。収益チャネルが多様なほど、一つの消費が落ち込んでも、他の消費でカバーできます。
- チャネル多様性:
- 物販: グッズやカプセルトイ
- 体験: ライブ、イベント、コラボカフェ
- デジタル: 配信の投げ銭、ゲーム内課金、NFT
- LTV(顧客生涯価値)向上: 一度ファンになった人が、上記のような多様な形で長くお金を使い続ける仕組み(例:ファンクラブの年会費、継続的なゲーム内イベント)があるかも重要です。
景気耐性(不況への強さ)
景気が悪化しても、生活に必須ではない「推し活」の消費がどこまで守られるかを評価します。
- 応援消費の動機: 推し活は「推しを応援したい」「一体感を共有したい」という強い動機に基づいているため、他の一般消費と比べて景気に左右されづらい傾向があります。
- 消費層のバランス: 景気の影響を受けやすい層(例:アルバイト学生)だけでなく、可処分所得が高い社会人・ミレニアル世代などもバランスよくファン層に取り込めているかを確認すると、より安心感が増します。
リスク管理(ポートフォリオの分散度)
企業が特定のIPや収益モデルに過度に依存していないかというリスク分散の視点です。
- IPの分散: 常に新しいIPを生み出す能力や、複数の長寿IPを持つことで、「次の作品がヒットしない」というリスクを分散できています。
- 収益モデルの分散: グッズ、ライセンス、ゲーム、配信、イベントなど、多様な事業を持つことで、「コロナ禍でイベントができない」といった事態でも、他の事業(配信やゲーム)で損失をカバーしやすくなります。
初心者必見!推し活投資の始め方

「推しを応援するように、企業に投資してみたい」
推し活の楽しさを知っているあなたにとって、推し活関連銘柄への投資は、企業を応援する新しい形の「推し活」になるかもしれません。
投資の幅を広げるなら「AI」や「テンバガー」にも注目!
特に、テクノロジー分野の最先端を走る「AI関連銘柄」は、今後の産業構造を大きく変える可能性を秘めており、中長期的なテーマ投資として非常に人気があります。
また、値上がりを狙うなら、株価が10倍になる可能性を秘めた「テンバガー」候補を探すのも、ゲーム感覚で楽しめます。
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推し活関連銘柄のリスクと注意点

推し活関連銘柄は魅力的な成長性を持ちますが、エンターテイメント産業特有の変動要因や、ファンの感情に強く左右されるリスクが存在します。投資を始める際は、以下の注意点をしっかりと把握しておきましょう。
IP(知的財産)依存による売上変動リスク
推し活関連企業の収益は、特定の人気IP(キャラクターや作品)が生み出す力に強く依存しています。この構造は、強力なヒット作がある間は大きな利益をもたらしますが、裏を返せば、以下のような大きなリスクとなります。
- 単一IPへの過度な依存: ある企業が一つの大ヒットIPに頼りすぎている場合、そのIPの人気が低迷したり、次作がヒットしなかったりすると、企業の業績が急激に悪化する可能性があります。
- 流行の波の速さ: 特にZ世代が主導するトレンドは移り変わりが速く、昨日まで大人気だったIPが、数年後には関心を失うこともあります。この流行の波を企業が乗りこなせるかどうかが、長期的な投資判断の鍵となります。
コンテンツ炎上・不祥事リスク
ファン消費を基盤とする推し活ビジネスにおいて、最も警戒すべきは「信頼の失墜」です。
- 出演者・クリエイターの不祥事: アイドルやVTuberなどの出演者、あるいはクリエイターがスキャンダルや不祥事を起こした場合、ファンが一斉に離れる(ファン離れ)リスクがあります。これにより、グッズの売上停止、イベント中止、企業イメージの毀損などが短期間で業績に直結します。
- コンテンツ自体の問題: 著作権侵害、差別的な表現、過去の作品の掘り起こしなど、コンテンツ自体が社会的な炎上を引き起こした場合、企業は謝罪や回収対応に追われ、ブランド価値が大きく損なわれることになります。
収益構造の偏りによる運営リスク
推し活ビジネスの収益チャネル(グッズ、イベント、配信)が特定のものに偏っている場合、外部環境の変化による影響を大きく受けやすくなります。
- グッズ・物販依存: グッズの販売比率が高い企業は、在庫リスクを抱えやすくなります。見込み違いでグッズが売れ残れば、大きな廃棄損が発生します。逆にヒットしすぎると、生産が追いつかず機会損失を生みます。
- ライブ・イベント依存: ライブやファンミーティングなどの体験型消費に収益を頼っている企業は、パンデミックや自然災害、大規模な交通障害などによりイベントが開催できなくなった際に、売上がゼロになるリスクを負います。
景況・一般消費動向の影響
推し活は「応援消費」という側面が強いため、一般的な趣味やレジャーと比べて景気後退期でも消費が落ち込みにくい(景気耐性がある)と言われます。しかし、景気が極端に悪化したり、生活必需品の物価が高騰したりすると、以下の点に影響が出ます。
- 高額消費の抑制: 遠方へのライブ遠征費、宿泊費、高額なフィギュアや大型セット商品など、単価の高い消費は抑制されやすくなります。
- 可処分所得の圧迫: 多くのファンが「無理をしてでも推しを応援したい」と考えますが、生活費が可処分所得(自由に使えるお金)を圧迫すると、推し活に回せる予算自体が減少し、市場全体が冷え込む可能性があります。
2026年以降の推し活市場はどうなる?

今後は大型アニメ・映画・ゲームリリース、VR/メタバースでのファン体験強化、2.5次元舞台・リアルイベントの復興と拡大が期待されます。服装・フィギュア・聖地巡礼など“体験+グッズ”の複合消費がさらに盛り上がるでしょう。Z世代を超えてミレニアル・中高年層への波及も進むと予想されています。
2026年はライブやフェスの回復基調、SNSや配信での“推し”発信力拡大、コラボカフェ・ポップアップショップの展開加速などが材料となりそうです。急速に消費が戻る局面では、関連銘柄が先取りされる可能性があります。
脱炭素・デジタル化・グローバル化が推し活分野にも波及しています。例えば、配信プラットフォームの利便性向上、NFT・デジタルグッズ展開、リアル・バーチャル融合ライブなど、新しい収益モデルが生まれつつあります。こうした構造変化を捉えられる企業が中長期で有利です。
まとめ
推し活関連銘柄は、文化・趣味の延長線上から大きな経済市場へと成長しつつあります。投資対象として魅力的な反面、ヒットIPや体験イベントに依存しやすいという構造的リスクも併せ持っています。
選定にあたっては、IP保有力、収益チャネルの多様性、グローバル展開力、そして景況耐性やコンテンツリスクへの対応力を丁寧に見極めましょう。
推し活を“応援”する気持ちで企業を応援する投資という視点も、今後のテーマ株投資の新しい入り口になり得ます。
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執筆者情報
金融ライター
2016年大手証券会社に入社、2018年に最大手オンライン証券会社に入社し、機関投資家部門(ホールセール)を立ち上げ、翌年2019年には同社シンガポール拠点設立。2022年より日系証券会社の運用部にてポートフォリオマネジャーの経験を得て以降、一貫して運用業務に従事。
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