アンソロピックに投資する方法とは?ユーザー急増のClaude関連銘柄を整理

石塚 由奈

日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)

アンソロピックに投資する方法とは?ユーザー急増のClaude関連銘柄を整理

アンソロピック(Anthropic)が開発するClaude(クロード)は、文章作成やシステム開発を支える生成AIとして利用が広がっています。2026年6月にはIPOに向けた書類を非公開で提出し、投資家の関心も高まっています。

ただし、アンソロピック株はまだ取引所で売買できません。上場企業を通じて成長に関わる方法はありますが、出資企業とClaudeを使う企業では、得られる恩恵が異なります。本記事では日米7銘柄を取り上げ、提携内容・最新決算・投資時の注意点を整理します。

目次

アンソロピックはClaudeを企業実務へ広げるAI企業

アンソロピックと生成AI Claudeの研究開発をイメージした画像

アンソロピックは2021年にOpenAI出身者を中心に設立されたAI企業です。安全性の研究と、企業の実務に使えるAIの開発を進めています。Claudeの会話機能だけでなく、開発支援や外部システムとの接続にも事業を広げています。

アンソロピックの沿革|2021年に創業

アンソロピックは、ダリオ・アモデイ氏とダニエラ・アモデイ氏らが設立しました。2022年にはAIの応答を原則に沿って改善するConstitutional AIの研究を発表し、2023年3月にClaudeを公開しています。

その後は法人向けサービスと開発者向け機能を拡充し、2026年には大規模な資金調達とIPO準備へ進みました。AIモデルの研究から、企業が日常業務で使うサービスへ事業を拡張しているのが特徴です。生成AI関連株を見る際も、モデル開発、クラウド、導入支援を分けると各社の役割が分かりやすくなります。

アンソロピックの主要な研究と技術

Constitutional AIは、原則のリストを使い、AIによる評価や修正を訓練に取り入れる手法です。また、AIがどのように情報を処理するかを調べる「解釈可能性」の研究にも力を入れています。いずれも、AIの動作を理解し、安全性を高めるための取り組みです。

実用面では、AIと外部のデータ・ツールをつなぐ共通規格MCPも重要です。業務システムと接続できれば利用範囲は広がりますが、接続先の権限や機密情報の管理まで自動で安全になるわけではありません。企業導入ではモデルの性能と、運用時の管理体制を併せて整える必要があります。

アンソロピックの将来性は利用拡大と採算改善にかかる

Claudeの企業利用と事業成長をイメージした画像

Claudeの利用拡大は、課金収入の増加だけでなく、計算資源や安全対策への支出も伴います。売上の伸びと利益の増加は別です。ビジネスモデル、競合との違い、需要を支える設備の3つから将来性を確認します。

アンソロピックのビジネスモデル

主な収益源は、Claudeの有料契約と、外部サービスにAIを組み込むAPIの利用料です。企業が開発・調査・文書作成などの継続業務に導入すれば、利用が積み上がりやすくなります。一方、利用量の増加に応じて計算処理の費用も発生します。

同社は2026年5月、年換算売上が470億ドルを超えたと発表しました。これはその時の売上ペースを1年分に換算した数値で、年間の確定売上や利益ではありません。有料契約の継続、値下げの影響、計算費用を差し引いた採算まで確認してこそ、成長の持続性を評価できます。

競合との差はモデル性能と企業導入のしやすさ

Claudeは、OpenAIのChatGPTやGoogleのGeminiなどと競争しています。モデルの性能順位は更新のたびに変わり、文章処理、開発、画像、料金など、用途によって適した製品も異なります。「常に最も高性能」とは言い切れません。

2026年9月には、AWSでもClaude Fable 5.1の提供が始まりました。企業にとっては既存のクラウド契約や業務システムと組み合わせやすいかも選択理由になります。GoogleもGeminiとクラウドを持つため、Claudeの利用増加だけで競争相手の減収を決めつけず、各社の顧客基盤と提供経路を比べましょう。

利用拡大を支える計算資源と安定稼働

アンソロピックは2026年4月、急激な需要増加が一部サービスの安定性に影響していると説明しました。同時にアマゾンとの協力を拡大し、今後10年でAWSの技術に1,000億ドル超を支出する契約を公表しています。

追加の計算能力を確保できれば、利用制限の緩和や法人向けの安定提供につながります。ただし、長期の設備・サービス契約は将来の資金負担でもあります。契約総額を当期の売上や利益として扱うのは誤りです。Claudeの需要拡大がデータセンターや半導体に波及する一方、設備の立ち上がりと費用回収には時間差があります。

アンソロピックはIPO準備中、上場日・公開価格は未定

アンソロピックのIPO準備と投資方法をイメージした画像

アンソロピックはIPOの準備を進めていますが、上場日・公開価格・通常の取引開始はまだ確定していません。上場後の市場買付、上場前のファンド等、関連企業への投資を混同せず、何を保有する方法なのか確認しましょう。

6月に非公開申請、上場日と公開価格は未定

アンソロピックは2026年6月1日、米証券取引委員会(SEC)へIPO向けの登録届出書案を非公開で提出したと公表しました。売出株数と価格は未定で、実施は市場の状況などに左右されると説明しています。9月にも年内上場の観測が報じられていますが、確定日程ではありません。

5月の資金調達では650億ドルを集め、調達後の評価額は9,650億ドルでした。未上場時の評価額は、公開価格や上場後の時価総額とは別です。上場後に買う場合も、利用する証券会社の取扱開始日を確認します。IPOの配分を受ける手続きと、市場での買付も異なります。

方法購入対象確認したい条件
上場後の市場買付アンソロピック株上場・証券会社の取扱開始が必要
IPOの配分公開価格で募集される株式募集条件・販売先・配分の有無は未確定
上場前のファンド等未上場株等を組み入れる商品募集の有無、資格、最低額、手数料、換金制限
関連銘柄への投資出資・提携・利用する上場企業の株式アンソロピック株の直接保有にはならない

アンソロピックに間接的に投資する方法

出資企業への投資では、アンソロピックの価値上昇が保有資産の評価を通じて影響する可能性があります。例えばアマゾンは2026年4月に50億ドルの追加出資を公表し、将来さらに最大200億ドルを投じる枠も示しました。追加枠の全額が実行済みという意味ではありません。

ただし、出資先の評価益が、そのまま株主への配当や株価上昇になるわけではありません。アマゾンには通販・広告・クラウドなどの事業もあります。Googleを傘下に持つアルファベットなども含め、保有比率、会計上の扱い、本業の利益を確認して投資先を選びます。

アンソロピック関連銘柄探しの難しさ

関連銘柄には、資本関係がある会社、Claudeの販売・導入を支える会社、自社の業務で利用する会社が混在します。出資なら保有資産、導入支援なら受注、社内活用なら生産性というように、収益に届く経路は異なります。

そのため、「Claude関連」という名前だけで利益への影響の大きさは比較できません。複数のAIモデルを扱う企業では、Claude以外の成長も業績に含まれます。OpenAI関連株にも同じ注意が必要です。競合AIへの出資や取引があるだけで、どちらかのAIの成長と株価が一対一で連動するとは限りません。

Claude関連の米国上場株|出資とクラウド基盤に注目

Claude関連の米国上場株|出資とクラウド基盤に注目

米国市場で売買される銘柄では、出資と取引の両面を持つアマゾン、接続基盤を提供するクラウドフレア、出資実績のあるSKテレコムを取り上げます。SKテレコムは韓国企業で、以下の株価は米国上場のADRです。

銘柄主なつながり9月16日終値
アマゾン(AMZN)出資・AWSの計算資源供給245.96米ドル
クラウドフレア(NET)AI実行・接続基盤324.65米ドル
SKテレコム(SKM)出資・通信向けAI開発35.35米ドル

アマゾン・ドット・コム(AMZN)|出資とAWS利用契約

アマゾンはアンソロピックへの出資に加え、AWSを通じてAIの学習・稼働に必要な計算資源を供給しています。Claudeを企業へ届けるAmazon Bedrockもあり、資本関係と継続的なサービス取引の両方を確認できる銘柄です。

2026年4~6月のAWS売上高は前年同期比37%増の422億ドル、同部門の営業利益は166億ドルでした。ただし、AWS全体の数字で、Claude単独の収益ではありません。設備投資も重く、全社の6月末までの過去12か月のフリーキャッシュフロー(設備投資後の現金収支)は76億ドルの赤字でした。

アマゾン・ドット・コム(AMZN)の日足チャート、2025年9月17日~2026年9月16日
TradingViewを基に弊社作成(日足:2025年9月17日~2026年9月16日)

クラウドフレア(NET)|Claudeの実行・接続基盤

クラウドフレアは、ウェブの通信・セキュリティや開発者向けの基盤を提供しています。2026年5月にはアンソロピックと協力し、Claude Managed AgentsをCloudflare Sandboxesと連携させる取り組みを発表しました。

AIが外部サービスを使う際の実行環境を支える立場ですが、Claude専業でも、アンソロピックへの出資を主目的に買う銘柄でもありません。4~6月の売上高は36%増の約6.96億ドルに伸びた一方、米会計基準の営業損失は約2.06億ドルでした。AI需要の拡大と会計上の黒字化を分けて確認する必要があります。

クラウドフレア(NET)の日足チャート、2025年9月17日~2026年9月16日
TradingViewを基に弊社作成(日足:2025年9月17日~2026年9月16日)

SKテレコム(SKM)|出資価値と通信本業を分ける

SKテレコムは韓国の通信大手で、2023年8月にアンソロピックへの1億ドルの追加投資と、通信向けAI開発の協力を発表しています。米国ではADRが上場していますが、国内証券会社での取扱いは個別に確認が必要です。

2026年4~6月の営業利益は前年同期比67.3%増の5,660億ウォンでした。前年のUSIM交換費用の反動などが寄与しており、増益の全てをアンソロピック出資の成果とみなすのは不適切です。出資時の金額だけでは現在の持分価値も算定できません。通信収益の回復と保有株式の開示を別々に追いましょう。

SKテレコム(SKM)の日足チャート、2025年9月17日~2026年9月16日
TradingViewを基に弊社作成(日足:2025年9月17日~2026年9月16日)

Claude関連の日本株|導入支援と社内活用を分ける

Claude関連の日本株|導入支援と社内活用を分ける

日本株では、Claudeの導入・販売で売上を得る企業と、社内活用で開発効率を高める企業を分けます。AIに仕事を奪われるとの懸念で売られても、その後の株価は新規受注、契約継続、利益率の変化に左右されます。

銘柄主なつながり9月16日終値
野村総合研究所(4307)認定リセラー・導入支援5,097円
エクサウィザーズ(4259)法人サービスでClaudeを提供874円
Finatext HD(4419)社内活用・金融機関のAI活用支援1,373円
マネーフォワード(3994)開発組織でClaude Codeを活用5,985円

野村総合研究所(4307)|認定リセラーと導入支援

野村総合研究所は2025年11月、日本国内初のAmazon Bedrock向けAnthropic認定リセラーに選定されました。2026年には提携を拡大し、Claude Codeなどの導入・運用支援や、社内の技術者育成を進めています。

27年3月期1Qの売上収益は前年同期比7.5%増の2,104.55億円、営業利益は12.0%増の417.11億円でした。古い四半期の低迷だけで現在の業績を評価できません。ただし、全社の増益をClaudeだけで説明するのも無理があります。既存の金融IT事業と、AI導入案件の利益貢献を分けて見ます。

野村総合研究所(4307)の日足チャート、2025年9月17日~2026年9月16日
TradingViewを基に弊社作成(日足:2025年9月17日~2026年9月16日)

エクサウィザーズ(4259)|法人向けに複数のAIを提供

エクサウィザーズのグループ会社は、法人向けサービス「エクサベース AI」で複数のAIモデルを提供しています。2026年7月にはClaude Opus 5への対応も発表しました。Claudeを企業が管理しながら使えるサービスとして届ける立場です。

27年3月期1Qは売上高34.48億円で前年同期比41.0%増、営業利益2億円で39.0%増でした。導入企業の拡大は追い風ですが、これもグループ全体の業績です。他社モデルとの使い分けができる強みを、契約継続や利用単価の改善につなげられるかが、長期の成長を左右します。

エクサウィザーズ(4259)の日足チャート、2025年9月17日~2026年9月16日
TradingViewを基に弊社作成(日足:2025年9月17日~2026年9月16日)

Finatextホールディングス(4419)|金融業務へのAI実装

Finatextグループは金融インフラを提供し、グループ内で証券・保険・貸金の業務も運営しています。2026年2月にAI活用支援を本格化し、Claude Code等の社内配布と、金融機関がAIを使いやすい基盤の整備を打ち出しました。

27年3月期1Qは売上高28.43億円で35.1%増でしたが、営業利益は1.88億円で15.8%減でした。AIへの取り組みと、利益が増えているかは別です。Claudeの利用企業という説明だけで投資を決めず、金融インフラの継続収益や開発費が利益率にどう影響しているかを確認しましょう。

Finatextホールディングス(4419)の日足チャート、2025年9月17日~2026年9月16日
TradingViewを基に弊社作成(日足:2025年9月17日~2026年9月16日)

マネーフォワード(3994)|社内活用を製品の競争力へ

マネーフォワードは会計・給与などのクラウドサービスを手掛け、Claude Codeを用いた開発組織づくりがアンソロピックの活用事例に選ばれています。出資先の価値上昇ではなく、開発の効率化と製品改善を期待する銘柄です。

26年11月期上期の売上高は289.92億円で前年同期比24.8%増、営業損失は15.92億円から2.09億円へ縮小しました。新機能を早く投入できても、顧客の契約継続や単価上昇につながるとは限りません。AIを使った開発の速さに加え、実際の売上成長と赤字縮小が続くかを確認します。

マネーフォワード(3994)の日足チャート、2025年9月17日~2026年9月16日
TradingViewを基に弊社作成(日足:2025年9月17日~2026年9月16日)

ここまで読んで、本命と次の主役の見分けに迷っていませんか。
この分野は主役の入れ替わりが驚くほど速く、自分一人で追い続けるのは簡単ではありません。アナリストが今注目している銘柄も、あわせて確認しておきましょう。

Claude関連銘柄は高い期待と実際の利益を分けて選ぶ

Claude関連銘柄の収益とリスクを確認するイメージ

Claudeの人気だけを根拠に関連株を買うと、期待と実際の利益の差を見落とします。資金負担、安全性、各社の収益構造を確認しましょう。成長余地が大きい企業でも、期待が株価に織り込まれ過ぎれば値下がりします。

高い評価額と資金需要は両立する

アンソロピックの調達時評価額が上がっても、研究費や計算資源への支出が小さくなるわけではありません。事業拡大のために追加調達が必要になれば、既存投資家の持分比率が薄まる可能性もあります。評価額の増加率を、そのまま出資企業の利益率に置き換えるのは危険です。

上場前のファンド等を検討する場合も、組入資産、評価方法、手数料、換金制限が投資成果を左右します。関連企業の株式なら日々売買できても、その値段は本業の決算や市場全体の動きにも反応します。「有名なAIに関係する」という説明だけでは、投資価格の妥当性は分かりません。

安全性への対応は開発速度と顧客の信頼に影響する

アンソロピックは2026年9月9日、Claudeが外部の実システムへ不正にアクセスした4件の事例を評価しました。いずれもサイバー評価中の事例で、環境の設定不備によりインターネットへ接続され、製品版の安全対策も適用されていませんでした。通常利用と同じ条件ではありません。

同社は第三者による調査も進めています。投資面では、安全対策の追加費用や提供条件の変更、顧客の信頼への影響が重要です。高度なAIを導入するほど、権限管理や監視の需要も増えます。AIの普及とサイバーセキュリティの強化は、併せて追う必要があります。

AIによる仕事の代替と、導入支援の成長は同時に起こる

AIがコード作成などを効率化すれば、従来型の開発作業の単価や必要人数が減る可能性があります。一方で、企業ごとのデータ整備、既存システムとの接続、運用管理など、新たな導入需要も生まれます。同じソフトウェア企業でも収益への影響は一様ではありません。

見るべきなのは、減る仕事を新規受注や利益率改善で補えるかです。AI機能の発表件数より、契約の継続、売上の伸び、開発費を含めた営業利益を優先します。NECなどの大手IT企業も生成AIによる代替懸念と導入需要の両方に向き合っており、各社の決算から実際の変化を追えます。

まとめ|アンソロピック関連株は利益につながる関係から選ぶ

アンソロピックとClaude関連銘柄の今後を考えるイメージ

アンソロピックはIPO準備を進めていますが、上場日や公開価格は未定です。関連株を買っても、同社の株主になるわけではありません。

日米の候補を比べる際は、出資・導入支援・社内活用のどこで利益を得る企業なのかを確認しましょう。アマゾンのAWS取引と、日本企業の開発効率化では、収益に届く仕組みが異なります。

Claudeの利用拡大に加え、各社の受注、利益率、資金負担を追うと、期待先行の銘柄と実績が伴う銘柄を選別しやすくなります。成長の速さだけでなく、購入する株価にも目を向けてください。

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執筆者情報

nari

石塚 由奈

日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)

国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。

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