マンガ関連ECを主力とするTORICO(7138)が、マーケットの注目を一身に集めています。その原動力は、デジタル資産を財務戦略に組み込む「DAT戦略」への参入です。
イーサリアムの段階的な取得に加え、著名な起業家である國光宏尚氏の関与という強力なストーリーが、個人投資家の思惑を加速させています。
一方で、大規模な資本政策に伴う希薄化リスクも無視できません。本稿では、同社の変貌がもたらす上昇余地と、投資家が直面するシビアなリスクについて、多角的な視点からその実態を紐解いていきます。
TORICOの暗号資産(ETH)取得による財務戦略の劇的な変貌

TORICOは主力事業の不安定さを打破すべく、デジタル資産を財務基盤に組み込む「DAT戦略」へ舵を切りました。これにより、単なる小売企業から、暗号資産の含み益が企業価値を左右するトレジャリー企業へと変貌を遂げています。
DAT(デジタルアセット・トレジャリー)戦略が投資家の視線を集める理由
TORICOが掲げる「DAT戦略」は、企業の余剰資金を暗号資産で運用し、企業価値を高める極めて野心的な試みです。従来のマンガEC事業はヒット作の有無に左右されやすく、収益の安定性に課題を抱えていました。
そこに「暗号資産の保有」という強烈なテーマが加わったことで、株価は業績評価の枠を超えた「思惑相場」のフェーズに突入しています。投資家は同社を、デジタル資産の保有量で評価される米国マイクロストラテジーに近い存在として再定義し始めています。
イーサリアム(ETH)の連続取得がもたらす資産価値の透明性
同社は2025年12月から2026年1月にかけて、合計約2億円規模のイーサリアムを相次いで取得しました。会社開示によれば、第1弾として平均約46.1万円で約216ETH、続く第2弾では平均約55.9万円で約178ETHを取得済みです。
この資産保有状況は適時開示によって透明化されており、暗号資産市場の価格変動がダイレクトに株価の反応を引き起こす構造となっています。保有量の増加はそのまま材料としての鮮度を維持させ、買いを呼び込む強力なマグネットとして機能します。
TORICOの著名人関与とSNS拡散による圧倒的な需給の偏り

本銘柄の上昇を支えるのは、Web3領域の有力者や著名人による強力な「お墨付き」です。経営体制の刷新とSNSでの拡散力が組み合わさることで、圧倒的な買い需要が生まれています。
國光宏尚氏のアドバイザー就任が期待させるWeb3への深化
gumi創業者として知られる國光宏尚氏がDAT事業アドバイザーに就任した事実は、市場に大きな衝撃を与えました。
國光氏は筆頭株主にも浮上しており、2026年6月には取締役就任も予定されています。この人事は同社のWeb3シフトが単なるパフォーマンスではないことを裏付けています。
暗号資産領域における國光氏の知見とネットワークは、今後の事業展開における「成功の蓋然性」を投資家に想起させ、株価を大きく切り上げる要因となっています。
堀江貴文氏周辺コミュニティを通じた情報拡散の威力
実業家の堀江貴文氏が、國光氏主導のファンドを通じてTORICOへの投資に関与したことを公表した点も無視できません。堀江氏は「イーサリアムを積み上げる戦略が面白い」と評価しており、こうした著名人による発信は「理屈を超えた買い」を呼び込みます。
情報の伝播速度が飛躍的に高まったことで、板の薄い中小型株特有の急激な価格形成が実現しました。SNSでのバズが投資家の心理を揺さぶり、さらなる期待を醸成するループが形成されています。
本田圭佑氏も参入。TORICOが掲げる「イーサリアム・トレジャリー企業」の爆発力
2026年1月14日、プロサッカー選手で投資家としても知られる本田圭佑氏がLPとして出資したことを発表しました。本田氏は「イーサリアムの可能性、トレジャリー企業の可能性は凄く大きい」と言及しており、著名投資家がこの新しい企業形態に明確な「買い」のサインを出した形です。
最大希薄化率29.12%を伴う資本政策の両刃の剣

攻めの戦略を実行する一方で、大規模な資金調達による株式価値の希薄化が避けられない情勢です。調達資金の活用先が期待される反面、将来的な売り圧力が上値を抑える要因となります。
第三者割当増資と新株予約権による資金調達の実態
TORICOはDAT戦略を推進するため、第三者割当による新株式発行と、最大1,050,000株に及ぶ新株予約権の発行を組み合わせたスキームを構築しました。
調達される資金は主にイーサリアムの取得等に充てられる計画ですが、これは将来の株式数増加を前提とした戦略です。
材料の鮮度が高い間はポジティブに受け止められますが、需給が緩む局面では、この調達構造そのものが市場価格にブレーキをかける要因へと変貌します。
潜在株式がもたらす株価へのシビアな下押し圧力
最大希薄化率が29.12%という数字は、既存株主にとって無視できないインパクトを持ちます。株価が上昇するほど新株予約権の行使が進み、市場に流通する株式数が増加する仕組みです。
これは「上昇局面での蓋」として機能するため、材料が良くても上値が重くなる要因となり得ます。投資家は、暗号資産の含み益がこの希薄化によるマイナス影響を上回ることができるのか、冷静な損益計算を求められることになります。
TORICOの業績下方修正と本業の赤字転落という冷徹な現実

足元の華やかな話題とは対照的に、本業の収益性は厳しい局面にあります。投資家は「夢」と「現実」のギャップを理解し、企業の持続可能性を慎重に見極める必要があります。
通期予想の下方修正が示す本業の苦境とキャッシュの行方
2025年12月、同社は2026年3月期の通期業績予想を下方修正しました。売上高を約30億円に引き下げ、営業利益は1億3,400万円の赤字に転落する見通しです。
これは、本業のキャッシュフローが潤沢ではない中で、リスク資産である暗号資産に投資を行っている現状を浮き彫りにしました。投資家は、暗号資産の値動きだけでなく、本業の止血がいつなされるかという視点を欠かすことができません。
「赤字計画への回帰」が投資判断に与えるシグナル
当初の黒字予想から一転して赤字転落となったことで、投資判断は複雑化しています。余剰資金での運用ではなく、調達資金を用いた「再起を賭けた投資」という側面が強く、極めて高いボラティリティを許容する層を引き寄せています。
一方で、堅実な資産形成を目的とする投資家にとっては、本業の存続リスクが意識され始めています。業績の裏付けがない中での急騰は、常に「期待の剥落」というリスクと隣り合わせの状態にあります。
TORICOの2026年春に向けた上振れ・下振れの分岐シナリオ

2026年1月20日以降、市場の関心は「次なる一手」に集まります。暗号資産市場の動向と事業シナジーの具体化が、株価のセカンドステージへ進むための必須条件となります。
暗号資産相場(ETH)の継続性が上振れの生命線
TORICOの今後の評価は、保有するイーサリアムの価格動向に事実上支配されています。ETH価格が持続的に上昇し、DAT戦略の有効性が時価総額に反映されれば、再評価が進むでしょう。
特に海外時間での変動が翌朝の寄り付きに直撃するため、24時間動く暗号資産市場のセンチメントが同社の価格形成の主導権を握っています。追加取得の発表が継続し、「イーサリアムといえばTORICO」というブランドが確立されれば、株価の土台は固まります。
「期待の消費」と需給悪化による下振れへの警戒
反対に、暗号資産相場の調整や、資本政策への嫌気が表面化すれば、株価は急速にリスクオフへ向かいます。本業の赤字が重石となり、次なる調達への懸念が広がった時が最大の警戒ポイントです。
テーマ株の特性上、「上げの速さ」は「下げの深さ」と表裏一体であることを再認識すべきです。國光氏との連携が具体的な利益として結実するまでには時間を要するため、それまでの需給の維持が最大の課題となります。
まとめ
TORICO(7138)は、暗号資産(DAT)戦略と著名人の関与により、2026年の注目銘柄へと変貌しました。しかし、29.12%に及ぶ希薄化リスクと本業の赤字転落という冷徹な事実も併せ持っています。
短期的な値幅取りを狙うなら材料の鮮度を、中長期なら事業変革の実態を注視すべきです。イーサリアムの価格推移と資本政策の進捗を常に監視し、思惑と実態のバランスを冷徹に見極める姿勢が、勝利への鍵となるでしょう。
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執筆者情報
金融ライター
2016年大手証券会社に入社、2018年に最大手オンライン証券会社に入社し、機関投資家部門(ホールセール)を立ち上げ、翌年2019年には同社シンガポール拠点設立。2022年より日系証券会社の運用部にてポートフォリオマネジャーの経験を得て以降、一貫して運用業務に従事。
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