株価チャートを見ようとすると、「日足」「週足」「月足」といった形で期間を選択する箇所が出てくるかと思います。
初心者の方はどの足を重視すれば良いのか、また各足を使うにあたってはどの期間の移動平均線を設定すべきか迷いがちです。
そこで本記事では、トレードスタイルに合わせた重視したい時間足の選び方や、おすすめの設定をテクニカルアナリスト資格を有するプロが解説します。
日足・週足・月足とは?どの足を重視すべきか

株価チャートを構成するローソク足は、一定期間の株価の始値、終値、高値、安値を視覚化したものです。
このローソク足が、どれだけの期間の値動きを対象としているかによって、「日足」「週足」などの種類に分けられます。
そのため、どのような時間軸で投資を行うかによって、見るべき足の種類も変わります。
まずは各足の特徴とおすすめのトレードスタイルを解説していきます。
[関連]ローソク足の見方・種類・パターンを完全解説|株式投資初心者でも相場が読める!
日足の見方|スイングトレードにおすすめ
日足は、ローソク足1本が1営業日(当日)の始値から終値までの値動きを表す、最も標準的なチャートです。
主にこの日足を使い、数日から数週間の株価のトレンドを確認している投資家が多いと思います。
直近好決算を発表したり、材料性が話題になったりした銘柄に対して、数日から数週間の保有期間を想定した買いを入れるのであれば、日足を重視するのが良いでしょう。
日足をしっかりと確認することで「昨日と比べて株価の勢いはどう変わったか」や「短期的な節目はどこか」を把握できます。
週足の見方|スイング~中期トレード向け
週足は、ローソク足1本が1週間(月曜日の始値から金曜日の終値まで)の値動きを表します。
週足は日足よりも値動きが滑らかになり、日々のノイズ(一時的な小さな値動き)が除去されるため、中期のトレンドを把握するのに役立ちます。
相場の大局的な方向性や、中期的な高値・安値の節目を判断する際によく使われます。
日足でエントリーのタイミングをはかる投資家でも、週足で「今、自分は中期的なトレンドに乗っているのか、逆らっているのか」を確認する場合が多いです。
1週間以上の保有期間を想定して買いを入れるのであれば、週足も確認しておきたいです。
月足の見方|数年単位の投資で大局を確認
月足では、ローソク足1本が1ヶ月間の値動きを表します。
月足は、数ヶ月から数年といった長期のトレンド、すなわち相場の全体像を把握するために使われます。
長期のトレンドを確認すると、好況・不況といった景気のサイクルを把握できます。
また、そうした景気の波を乗り越えて成長を続けられている銘柄かどうかも、月足によってある程度見えてきます。
年単位の投資を行う際には、月足も確認しておくとその企業の特徴をより深く理解できます。
時間足・分足の見方|デイトレード・スキャルピングには必須
時間足(1時間、4時間など)や分足(1分、5分など)は、1日で売買を完結させるデイトレードや数分で売買を繰り返すスキャルピングといった短期売買には必須のチャートです。
これらの短い時間軸の足は、日足では見えない超短期的な値動きの勢いや転換点を捉えるために使われます。
デイトレーダーは、時間足でその日の短期的なトレンドを確認し、分足で秒単位のエントリーや決済のタイミングを見極める場合が多いです。
投資家によっては、数日から数週間での売買を念頭に置いていても、時間足や分足でエントリータイミングをはかる
ただし、ノイズが多く「だまし」も頻繁に発生するため、過信しないことも重要です。
各時間足における適したトレードスタイル一覧
| 足の種類 | ローソク足1本が示す期間 | 適したトレードスタイル |
| 分足 | 1分、5分、15分など | スキャルピング(数分の取引)、デイトレード(1日で完結させる取引) |
| 時間足 | 1時間、4時間など | デイトレード~スイングトレード(数日から数週間の取引) |
| 日足 | 1営業日 | スイングトレード |
| 週足 | 1週間(5営業日) | スイングトレード〜中期トレード(数か月の取引) |
| 月足 | 1ヶ月(約20営業日) | 長期トレード(年単位の取引) |
各時間足における移動平均線のおすすめの設定

チャート分析の基本である移動平均線も、ローソク足の時間軸に合わせて設定期間を変えると、その機能がより明確になります。
ここでは各時間足において、良く使われる移動平均線の設定を紹介します。
[関連]移動平均線とは?仕組みや計算方法、活用時の注意点をプロが徹底解説
日足における移動平均線の設定
日足では、25日線と75日線を設定するのが一般的です。
25日線は1ヶ月(約20営業日)の平均コストに近く、短期的な売買の節目として機能します。
75日線は約3ヶ月(1四半期)の平均コストを示すため、中期的なトレンドの方向性を確認するのに適しています。
また、海外では75日線ではなく、約2カ月の平均コストに近い50日線を使う場合が多いです。
米国株や海外投資家の保有比率が高い銘柄を売買する場合には、50日線を使うと移動平均線が節目として機能しやすいと考えられます。
25日線と75日線(50日線)を基本に、短期で大きく値が動いている銘柄を売買する場合には5日線を、中長期のトレンドを重視する場合には200日線や250日線を追加で設定するとより良いでしょう。
週足における移動平均線の設定
週足では、約半年(6ヶ月)の平均コストを示す26週線を重視する投資家がもっとも多いと思います。
週足で半年という中期的なトレンドを確認すれば、日足のノイズに惑わされず、ポジション保有の是非を判断する軸が得られます。
26週線に加えて、保有期間が数週間の取引を念頭に置く場合には、約3ヵ月の平均コストを示す13週線を表示させるのが良いでしょう。
保有期間が数か月の取引を行うのであれば、約1年の平均コストを示す52週線を表示しておきたいです。
勿論、13週、26週、52週の3本の移動平均線を表示させても問題ありません。
月足における移動平均線の設定
月足では、12ヶ月線(1年)や24ヶ月線(2年)、あるいは60ヶ月線(5年)を設定するのが一般的です。
月足でこれらの線を見ると、長期的な景気サイクルや、数年単位の大きなトレンドを把握できます。
特に60ヶ月線は、長期投資家にとって強力な節目として意識されます。
時間足・分足における移動平均線の設定
時間足や分足といった短期チャートでは、5本線や10本線といった非常に短い期間の移動平均線が使われます。
これらの線は、株価の瞬間的な勢いや直近の小さな転換点を捉えるために利用され、デイトレードにおいて素早いエントリー・決済判断の基準となります。
とはいえ、期間が短いとだましが多すぎて売買が上手くいかないケースもあります。
その場合には20本線や50本線などを試しに使ってみて、自分の投資スタイルに合った移動平均線を見つけていくのが良いでしょう。
複数足を組み合わせて売買の精度を上げよう

日足だけを見て売買すると、日足は上昇トレンドに転じているけれど、週足のトレンドが下向いたままでなかなか株価が上がらないということが起きてしまいがちです。
複数の時間軸の足を同時に見て分析を行えば、こうした失敗を避けて、売買の精度を高めることができます。
実際にどのように複数の時間軸を捉えていくのが良いか、私の考え方を紹介します。
複数の時間軸でチャートを見るときの考え方
私はまず日足で買いタイミングを迎えている銘柄を探し、買い候補となった銘柄について、週足・月足をチェックするようにしています。
日足で上昇トレンドが確認でき、週足・月足も同様に上昇トレンドとなっている場合には、短期目線のスイングトレードでの買い候補として考えます。
週足や月足も上昇トレンドであれば、上値に戻り待ちの売りが出やすい価格帯はなく、短期でも値幅を狙える可能性が高いです。
一方で、株価がすでに高値圏である可能性も考慮し、失速した場合には早期にロスカットを行うことも視野にいれておきます。
逆に、日足で上昇トレンドが確認できても、週足・月足が上昇トレンドになっていない場合には、中長期でじっくり仕込む銘柄の候補とします。
この場合、底値圏で銘柄を拾える期待がある一方、なかなか上値が軽くならない可能性を考慮する必要があるからです。
ゴールデンクロスやデッドクロスといったシグナルを頼りに売買を行う場合などにも、複数の時間軸で見ることを意識してみてください。
[関連]ゴールデンクロス・デッドクロスは本当に使える?株初心者が知るべき移動平均線の基本
[関連]移動平均線を用いたエントリーポイント!アナリストが実際の売買例を元に解説
まとめ|投資スタイルに合わせて時間足を使いこなそう

時間足は、それぞれの期間の特徴をきちんと理解して、適切に使いこなすことが重要です。
ご自身の売買スタイルの合わせて、意識的に設定を行うようにしましょう。
執筆者情報
日本投資機構株式会社 投資戦略部 主任代理/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)/日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA®)
国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。
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