高市首相の解散表明をシステムトレードの観点から読み解く|2.8投開票へ向けた相場シナリオ

高市首相の解散表明をシステムトレードの観点から読み解く|2.8投開票へ向けた相場シナリオ

2026年1月23日、通常国会の冒頭において衆議院が正式に解散されました。1月19日の表明からわずか4日、ついに「2月8日投開票」という戦後最短の16日間におよぶ超短期決戦の火蓋が切られたことになります。

こうした政治の大きな節目では、誰しもが株価の変動に目を奪われ、「今、何が起きているのか」「自分はどう動くべきか」という問いに直面します。

しかし、情報の激流の中に身を置き続けると、私たちはいつの間にか「客観的な事実」ではなく「主観的な期待や恐怖」で判断を下してしまうようになります。

本稿では、高市首相の解散会見という具体的な事象を振り返りながら、ニュースに翻弄されて判断がぶれてしまう心理構造を解き明かし、その荒波を乗り越えるための「システムトレード的な向き合い方」を、一歩ずつ丁寧に整理していきます。

目次

衆議院解散の会見で、市場の空気はどう変わるのか

衆議院解散というイベントは、事前に観測が出るケースもあれば、今回のように突如として示される場合もあります。市場がこれに敏感に反応するのは、政治が経済の「大前提」を決めるからです。

「予測の霧」が晴れ、「行動の指標」が生まれる瞬間

 市場には「ある程度想定できる解散」と「予測が難しい解散」があり、その違いによって受け止め方も180度変わります。 今回の会見は、事前の見通しが立てづらい中で急転直下の解散日程が示されたことで、市場の空気が一気に切り替わる場面となりました。

システムトレードの観点から見れば、これは「不透明感(リスク)」が「確定したスケジュール(条件)」へと変わったことを意味します。解散が明確になり、「いつ投開票が行われるか」が見えてくると、投資家はようやくイベントリスクを逆算して織り込めるようになり、ポジションを取りやすくなるのです。

「なぜ今なのか」という大義名分が市場を納得させる

 会見で強調されたのは、政権の枠組みが変わり、重要な政策転換を進める中で「国民の信を直接問いたい」という姿勢でした。 なぜ今のタイミングなのか。

この問いに対する明確な説明は、市場が「現在の株価水準が、国民の信任を得た上でのものか」を整理するための重要な材料になります。政策の正当性が議論される過程で、市場参加者の想定が具体化し、それが値動きのエネルギーへと変換されていくのです。

解散日程の具体化がもたらす、投資家の「心理的変化」

日程が示されると、市場では「いつ何が起きるか」を時間軸に沿って考えられるようになります。

様子見から「行動」へのパラダイムシフト

 解散時期が分からない不透明な時期、多くの投資家は「様子見」を決め込み、出来高も細りがちです。しかし、1月19日の会見で1月23日解散、2月8日投開票という日程が確定したことで、参加者の行動は劇的に変わります。

「期待」と「警戒」が同時に高まる中で、行動を開始する参加者が増えることが、結果として相場の流動性を生み、大きな値動きを後押しするのです。

結果次第で一方向に傾く「分岐点」を想定する

選挙結果が明確になるまでは、思惑が交錯して方向感が定まりにくく、短期的な上下を繰り返す場面も想定されます。

しかし、一定の条件がそろったタイミング(例えば投開票後の結果が市場の予想を超えた場合など)で、システムトレードのアルゴリズムが一斉に反応し、評価が一方向に傾く場面が訪れます。

だからこそ、今の段階で「結果がどちらに転んだら、自分はどう動くか」というシナリオを想定しておく姿勢が、大きなチャンスを掴むための唯一の鍵となるのです。

なぜニュース相場では判断がぶれてしまうのか

大きなニュースが出ると、関連する情報や専門家の見方が爆発的に増えます。情報の多さは一見有利に思えますが、実はそれが「判断の迷い」を引き起こす罠になります。

情報過多が引き起こす「判断の遅れ」 

ニュースをすべて完璧に理解しようとすると、その間に相場は先へ行ってしまいます。 こうした場面で迷わないコツは、あらかじめ「見るべきポイント」を極限まで絞っておくことです。

  • 日程の確定度は?
  • 結果によって評価が180度変わる材料か?
  • 短期的な反応か、中期的なトレンドか?

このように注目点を整理しておくことで、情報というノイズに振り回されず、一貫した判断軸を保つことができます。

「あとから理由を探す」という後追いのリスク

値が動いたあとに「上がった理由は〇〇だ」と理由を探す行動は、人間の本能に近いものです。しかし、その理由が事前に分かっていたとは限りません。 相場の要因は決して一つではなく、はっきりと断定できないことも多いのです。

理由探しに躍起になると、次の局面でも「もっともらしい理由」が見つかるまで動けなくなり、再び好機を逃すという悪循環に陥ります。

システムトレード視点による「三菱重工」の読み解き

ここで言うシステムトレードとは、決して機械的な自動売買だけを指すのではありません。「あらかじめ条件を決めておき、感情が入る隙をなくす」という思考の規律を意味します。

争点と銘柄の結びつきをチャートで捉える

高市首相の会見では、「安全保障」や「危機管理」、「積極財政」といったキーワードが力強く語られました。こうした政策テーマは、特定の分野に対する市場の関心を一気に引き寄せます。 その代表例として、防衛関連の文脈で語られることが多い三菱重工(7011)のチャートを参考にしてみましょう。

 ※会見前後のボラティリティと、出来高の変化を可視化したもの。特定の売買を推奨するものではなく、あくまで事実を整理するための参考イメージです。

チャートから何を読み取るべきか?

なぜここでチャートを見せているのか。それは、高市首相の会見という「強力なニュース(材料)」が出た際、「いつ、どのタイミングで、システム(ルール)が動いたか」を可視化するためです。

1. 「新規買い」のタイミング(1月19日)

チャート中央の青い矢印に注目してください。

  • ニュースの役割: 高市首相の会見(安全保障・積極財政への期待)が火種となり、買いが集まりました。
  • システム(ルール)の役割: ニュースを聞いて慌てて飛びつくのではなく、このチャートでは「移動平均線のゴールデンクロス」や「直近高値のブレイク」といったあらかじめ決めた条件(サイン)が揃った瞬間に、感情を排して機械的に「買い」を実行しています。

2. 「利確:返済売り」のタイミング(1月20日)

チャート右側の紫の矢印に注目してください。

  • 何が起きたか: 上昇の勢いが止まり、価格がピークを打って下がり始めました。
  • システム(ルール)の役割: 初心者は「もっと上がるかも」と欲を出して保有し続け、利益を減らしがちです。しかし、システムトレード視点では「上昇トレンドが崩れた(デッドクロスなど)」という客観的な事実が出た瞬間に、淡々と利益を確定させています。

チャートは「答え」ではなく「事実の記録」

政策発表後の相場を振り返るとき、大切なのは「予想が当たったかどうか」ではありません。 「どのような場面で、どのような反応が出たのか」という事実をチャートから読み取ることです。今回の会見前後でも、複数の条件が重なったタイミングで短期的な動きが出ました。

しかし、こうしたニュース起因の動きは長続きしないことも多い。 「この動きが続く」と決めつけるのではなく、「ルール上のサインが出ている間だけ乗る」。この割り切りが、システムトレード的な視点の真髄です。

自分なりの「判断軸」を磨き続ける

衆議院解散のような巨大なイベントは、今後も形を変えて繰り返し現れます。そのたびに振り回されないために、私たちは自分なりの「物差し」を持つ必要があります。

「一つの材料」にすべてを託さない

どれほど大きなニュースでも、相場全体の流れをそれだけで決めることはできません。 実際には、世界景気や為替、金利といった無数の要因が重なり合っています。ニュースに熱狂するのではなく、少し距離を置いて眺める意識が、結果としてあなたを正しい判断へと導きます。

時間軸の「棲み分け」を意識する

今回の会見では「解散日」と「選挙日程」という2つの時間軸が示されました。 「選挙までの数日間」の戦い方と、「選挙後の数ヶ月間」のスタンスは、全くの別物です。自分が今、どの時間軸の波に乗ろうとしているのかを明確にするだけで、判断の揺れは劇的に少なくなります。

まとめ

1月19日の表明から23日の正式解散を経て、ついに「国民に信を問う」16日間が始まりました。この期間、市場には期待と警戒が入り混じり、激しい波が押し寄せます。

しかし、ニュース相場に向き合う際、本当に見るべきは「結果そのもの」ではなく、「自分がどう判断し、どう行動するというルールを持っていたか」というプロセスの部分です。

衆議院選挙後の複数のシナリオを想定し、その波及効果を監視しながら、システムトレードの考え方を自分の投資に組み込んでみる。こうした知的な準備こそが、不確実な相場を楽しみ、確かな利益へと繋げるための最強の武器となるはずです。

執筆者情報

nari

川本 恒平

株式会社ナレッジクリエイション 代表取締役

個人投資家向けアルゴリズム取引の識者として各種メディアに掲載される。 金融業界に携わることを目標に法政大学に入学するも「金融とITの融合」の必要性を痛感しプログラム開発を独学で学びエンジニアとして活躍。 その後、大手BtoC投資顧問会社に入社しデータアナリストを経て、トレードシステム開発部門責任者として「金融とITの融合」に取り組む。2019年に独立し、現在は現役のエンジニアや個人投資家向けのアルゴリズム取引の識者として活躍中。

記事をシェア
  • URLをコピーしました!
目次