各地で熊(クマ)による人身被害が急増しており、 2025年度上半期(4〜9月)の出没件数は2万件を突破。
環境省の速報によれば2万792件と過去最多を記録しています。(※ツキノワグマのみ統計対象)
各自治体は防災無線、AI監視、ドローン巡回などを組み合わせた対策に乗り出しており、防災テック市場が加速度的に拡大している状況です。
そのため熊対策関連銘柄は成長テーマとして、投資家の関心を一気に集めています。
そこで本稿では、政策・技術・有望企業・投資戦略を体系的に整理し、投資初心者にもわかりやすく解説します。
熊対策関連銘柄が注目されるのは「構造課題」へ変化したため

熊出没の増加は偶発的な現象ではなく、人口減少、森林管理の遅れ、気候変動が重なった 構造的な社会課題 です。
防災領域全体が拡大する中で、熊対策は自治体予算と密接に結びつき、関連銘柄の需要を押し上げています。
人口減少と森林管理のギャップ
山間地域では林業の担い手不足が深刻化し、里山と住宅地の境界管理が難しくなっています。
その結果、餌を求めて住宅地へ降りる熊が増え、従来の山奥の問題では済まなくなりつつあります。
最新の被害データが示す深刻度
環境省の速報(2025年度上半期:4〜9月)では、ツキノワグマの出没件数が 2万792件と過去最多を更新。
人的被害も前年を上回るペースで推移しており、自治体は警戒区域の拡大と監視機器の増設を急いでいます。
出没情報アプリやAI警戒システムの導入が広がる背景には、従来の対策では追いつかないという危機管理上の事情があります。
熊対策関連銘柄は「個体数増加と縄張り構造の変化」も追い風に

熊出没の増加は、単に山の餌が不足しているからでも、林業人口が減ったからでもありません。
近年のツキノワグマは、個体数そのものが増加傾向にあり、群れの社会構造の変化(縄張り圧力) が出没増加の一因と指摘されています。
熊の個体数増加がもたらす押し出し現象
ツキノワグマは縄張り性が強く、成熟したオスが広い範囲を占有しやすい傾向があります。
近年は生息数の増加に伴い、山の中心部で強いオスが優位を占め、若いオスやメスがその圧力から外側へ押し出されるケースが確認されています。
この押し出しによって、住宅地付近での遭遇リスクが上昇しているのです。
生態バランスの変化が出没増加を裏付ける
生態学の研究では、繁殖期の競合や餌資源の分布変化も押し出し現象と関連があるとされ、特定地域の異常な出没と一致するケースが報告されています。
個体数増加・気候変動・森林管理の遅れが複合し、山中のバランスが崩れることで、若い個体ほど危険を避けて人里側へ逃れる傾向を強めています。
一時的な現象ではなく構造的な増加と考えられるため、自治体の防災投資や監視インフラの整備が継続し、関連分野は長期テーマとして位置づけられます。
熊対策関連銘柄の「単一生物テーマ株」としての爆発力

単一生物(ヒアリ・熊・スズメバチなど)を対象としたテーマ株は短期急騰しやすい傾向があります。
筆者は2017年のヒアリ騒動でこの動きを強烈に体感しました。
インパクトの強いニュースが社会不安と直結したとき、市場はテーマへ一気に資金を集中させ、短期間で急騰する銘柄が生まれるのです。
2017年のヒアリ騒動で起きた急騰
2017年、全国の港湾施設でヒアリ(南米原産の特定外来生物)が相次いで発見され、「強毒アリが日本に上陸」と大きな社会不安を引き起こしました。
連日報道が続くなか、防虫スプレー、害虫駆除、殺虫剤などを手がける企業へ資金が集中し、関連株が短期間で大きく値を伸ばす相場へと発展しました。
筆者が担当していたお客様の中でも、とくに 【4998】フマキラーの上昇局面で利益を得られた方が多く、テーマ株の瞬発力を強く実感した相場でした。
▼株価は2017年4月13日の安値1,408円から7月10日の高値2,740円まで、約3ヵ月で94.6%上昇しています。

単一生物テーマは投資家の注目を一気に集める
ヒアリ関連銘柄が急騰したのは、強いインパクトを持つ社会ニュースとして連日報じられ、個人投資家の注目が集中したからだと考えられます。
これは熊対策関連銘柄にも共通します。
出没増加や人的被害が大きく報じられる局面では、防災・監視・忌避関連の小型株に資金が入りやすくなるでしょう。
さらに、熊対策のように 社会課題が構造化しているケースは急騰+中長期テーマの両面を併せ持つとみられます。
熊対策関連銘柄は多くの分野に広がる

熊の被害から人命を守るには、熊の存在を検知し近づかないことに加えて、熊が人里に降りてこないような対策、万が一出会ってしまった場合の装備などが必要です。
そのため、関連銘柄も熊を検知するための監視システムを手掛ける企業や、熊を近寄らせないための忌避装置を開発する企業など、いくつかの分野に広がっています。
ここからは、具体的にどのような事業を展開する企業が熊対策関連とされるのかを解説します。
AI監視×センサーで熊の存在を検知
熊の早期検知には、AIによる画像解析と赤外線・距離センサーの組み合わせが効果的で、自治体の導入が進んでいます。
AIによる画像解析では、AIが映像から熊やシカなどの動物を識別し、危険と判断した場合に自動通知を行うシステムが普及し始めています。
警備企業やSI企業は、自治体向けのパッケージ化を進めており、出没警報との連動が本格化しています。
また、暗所や霧が出やすい山間地域では、赤外線センサーや距離センサーが重要な役割を果たします。
光学メーカーや計測機器企業は、既存技術を鳥獣対策へ転用し、誤検知を抑えた安定運用を可能にしています。
ドローン×地図情報で広域監視も可能に
山間部から住宅地まで広く移動する熊に対応するには、地上のカメラだけでは不十分です。
そのため、ドローン巡回と地図情報(GIS)を組み合わせた広域監視が注目されています。
赤外線カメラを搭載した産業用ドローンは、山林上空から熱源を検知できます。
自治体は定期巡回を民間へ委託する形で導入を進めており、熊対策と災害対応を兼ねた運用が広がっています。
さらに地図データ企業は、過去の出没履歴、地形、農作物の配置などを重ね合わせた危険エリアマップを整備。
AIと組み合わせて、重点監視エリアを自動抽出するシステムも研究段階から実用化へ近づいています。
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音・光・電波による忌避技術に期待感
熊を近寄らせないための技術として、音響警報、LED照射、電波反射を用いた忌避装置も急速に普及しています。
防災無線や道路インフラを持つ企業にとっては、新しい市場として位置づけられています。
たとえば、防災スピーカーを活用し、熊出没情報を自動音声で広域放送する仕組みが整備されています。
既存インフラを活かせるため、学校や公共施設では比較的低コストで導入できる点が評価されています。
さらに、 LEDフラッシュや反射材を使った視覚威嚇装置、特定周波数の電波で近づきにくくする装置の研究も進行中です。
農地や山林との境界へ設置することで、人里への侵入を未然に防ぐ効果が期待されています。
装備・無線など個人向け防災市場も拡大中
自治体だけでなく、登山者・林業従事者・狩猟者などの個人向け防災市場も拡大しています。
安全装備、警告音具、携帯無線など多様な製品が需要を伸ばしています。
たとえば、高耐久ウェア、熊鈴、防災ブザーなどは、ホームセンターやアウトドア店で通年販売へ移行。
近年のアウトドア人気と重なり、熊対策用品は生活安全アイテムとして認知が高まりつつあります。
また、山間部で電波が届きにくいエリアでは、簡易無線機や防災ラジオが重要です。
防災無線や業務用無線機のメーカー各社は、自治体向けと個人向けを横断する形で需要を獲得しています。
熊対策関連銘柄として注目の企業を深掘り

ここでは、熊対策関連銘柄として注目の企業を3社取り上げます。
アース製薬(4985)害獣忌避剤の国内トップメーカー
アース製薬は、家庭用・業務用の動物忌避剤を幅広く展開し、害獣対策分野で国内トップ級の存在です。
熊専用スプレーは輸入品が中心ですが、野生動物を近づけないための忌避剤・顆粒剤・屋外環境向け薬剤の開発実績が豊富で、自治体向け製品の導入も進んでいます。
鳥獣対策の需要が増える中で、化学処方のノウハウを持つ同社は、防災・害獣対策の中核メーカーとして成長余地があります。
北陸電力(9505)害獣自動検出AIで熊対策を支えるインフラ企業
北陸電力は北陸3県を中心に電力を供給する企業ですが、新価値創造研究所では害獣自動検出AI「Bアラート」の開発に携わっています。
カメラ画像からクマやシカなどの害獣をAIで検出し、自治体や警察、消防などに通報する仕組みで、人身被害や農作物被害の軽減に貢献しています。
富山県内では、防災行政無線と連携したクマ対策システムの実証実験も進んでおり、出没情報をいち早く住民へ伝える取り組みが始まっています。
電力インフラの運用で培った現場力と、AI技術を組み合わせた防災ソリューションは、熊対策関連銘柄として中長期の成長が期待される分野です。
DCMホールディングス(3050)熊撃退スプレーや電気柵の販売網を持つ
DCMホールディングスは、全国展開するホームセンター「DCM」で、熊撃退スプレー(ベアスプレー)、動物忌避剤、電気柵、ワイヤーメッシュ、防護用品などの熊対策用品を広く取り扱っています。
都市部だけでなく農村部・山間部にまで販売拠点を持つため、地域が必要とする熊対策グッズを即座に供給できるインフラとしての役割を果たします。
熊出没が増加する中で、アウトドア用品・防災用品売り場の拡充が進んでおり、防災需要と地域実需の両面で成長ポテンシャルが見込まれます。
また、自治体や地域ボランティア向けの物資提供の実績もあり、熊対策における現場密着型プレイヤーに位置づけられる存在です。
その他の注目熊対策関連銘柄
| 銘柄名 | 市場 | 企業概要 |
| 【4261】アジアクエスト | 東証グロース | AI画像解析を活かした防犯・野生動物検知の実証が進む。 |
| 【9474】ゼンリン | 東証プライム | 熊の出没マップや危険エリア表示の基盤技術を提供。 |
| 【6809】TOA | 東証プライム | 自治体向け防災スピーカーを展開し、警報システムで存在感。 |
| 【6820】アイコム | 東証プライム | 山間部・登山用の通信機器に強く、緊急通報で採用拡大。 |
| 【5933】アルインコ | 東証プライム | 無線機と建設設備を手掛け、防災・作業現場での需要が安定。 |
熊対策関連銘柄の今後の見通し|政策が追い風に

熊対策市場は、自治体の危機管理意識の高まりとともに、政策による後押しが強まっています。
政府は2025年度から国土強靱化計画の第3期フェーズへ移行し、災害リスク管理や遠隔監視の導入を重点分野に掲げています。
この中には、構造的な社会問題になりつつある熊対策も含まれていると考えて良いでしょう。
また、 総務省が公表した2024年度予算案では、防災ICTを含む関連予算が前年比で約18%増加。
自治体はAIカメラ、無線機、防災スピーカーなどの導入に補助金を活用しています。
防災インフラへの投資が増える中で、AI監視、通信、防災無線、地図情報といったテクノロジー分野が広く恩恵を受ける構造が続くと見られます。
動物愛護との共存も避けて通れないテーマ
熊対策関連銘柄が注目される一方で、野生動物保護や動物愛護の観点にも配慮した取り組みが欠かせません。
近年は人命の安全と熊の保全を両立させる仕組みづくりが進んでおり、企業側もただ追い払う装置ではなく、共存型の防災テックを軸に開発を進めています。
「致死回避技術」の普及が鍵
熊対策をめぐる議論では、捕殺(駆除)が大きな争点となります。
自治体や企業が導入を進めるAI監視・センサー・忌避装置は、原則として熊を傷つけず、人と熊が遭遇しない環境づくりを目的としています。
人と熊を物理的に遭わせない技術は、動物愛護団体にも受け入れられやすく、共存のための現実的な手段として位置づけられつつあります。
防災テックの普及は駆除の代替策としての価値も持っているのです。
熊対策関連銘柄を買い付ける際の注意点
熊対策関連銘柄への買いを短期目線で狙うのであれば、ドローンやAI関連の中小型株が適しているでしょう。
ボラティリティが高いため、熊出没のニュースや自治体導入の報道が出ると、短期的に急騰する余地があります。
中長期目線では、自治体導入実績や技術優位性をしっかりと確認しておきたいです。
AIカメラ、無線、防災スピーカー、地図情報などの分野で自治体導入実績がある企業、赤外線、距離センサー、産業用ドローンなどの技術優位性が明確な企業が有望です。
また、熊対策以外の防犯や点検といった分野の需要を取り込んでいる企業にも注目したいです。
まとめ|熊対策は構造的な課題、長期テーマに

熊の出没増加は、人口減少や森林管理の遅れに加え、個体数増加による押し出しなどの生態学的要因も重なった構造的な課題です。
その対策として、AI監視、センサー、地図情報、ドローン、音響警報など多様な技術が「人と熊が遭遇しない環境づくり」を支えています。
動物愛護の観点でも、致死回避型の対策方法の普及は望ましいと言えます。
国土強靱化計画や自治体の防災ICT投資が継続する中、熊対策は日本にとって長期的なテーマになるとみられ、関連企業の成長余地も広く残されています。
投資家に求められるのは、社会課題に向き合う企業の持続的な価値を見極める姿勢です。
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執筆者情報
本部長
準大手の証券会社にて資産運用のアドバイザーを務めた後、日本株主力の投資顧問会社の支店長となる。現在は日本投資機構株式会社の筆頭アナリストとして多くのお客様に株式投資の助言を行いつつ、YouTubeチャンネルにも積極的に出演しており、資産運用の重要さを発信している。
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