ホンダ(7267)がEV戦略を見直し!業績回復見通しと株価への影響を徹底分析

ホンダ(7267)がEV戦略を見直し!業績回復見通しと株価への影響を徹底分析

ホンダ(7267)が、26年3月期に上場来初の赤字に転落する見通しを発表。
EV戦略の大幅見直しと最大2兆5,000億円に上る損失計上が発表され、今後の株価動向への注目が高まっています。

そこで本記事では、EV戦略をどう見直すのかや巨額損失の実態など、個人投資家が知るべきポイントを整理。
回復シナリオと現在の投資判断も解説します。

目次

ホンダのEV戦略見直しと巨額損失の正体

ホンダは26年3月期に上場来初めての最終赤字に転落する見通しです。
▼期初予想では為替や関税の影響で大幅減益となるものの、黒字は維持する計画でした。


本田技研工業株式会社 2025年3月期 決算説明会 P16
https://global.honda/jp/investors/library/financialresult/main/00/teaserItems1/01113/linkList/0/link/FYE202503_4Q_financial_presentation_j.pdf

しかし2026年3月12日、北米におけるEV市場の鈍化を踏まえ、一部EVモデルの上市・開発の中止を決定。
EV戦略の見直しに伴い、減損損失や追加支出に関する損失を計上する見込みとなりました。

さらに25日には、ソニーらと開発を進めていたSHM(ソニー・ホンダモビリティ)のEV第1弾モデルなどの開発・発売中止も発表。
26年3月期の損失と合わせて最大で2兆5,000億円の追加費用や損失が今後も計上される可能性があるとしています。

本田技研工業株式会社 四輪電動化戦略の見直しに伴う損失の発生および今後の方向性について
https://global.honda/jp/investors/library/financialresult/main/00/teaserItems1/01117/linkList/0/link/0312_Media%20Briefing%20_Presentation_je.pdf

現在のホンダの時価総額がおよそ6兆円であることからも、損失規模がいかに大きいかがわかります。

各主要メーカーのEV方針を振り返る

ここ数年のホンダ、トヨタ(7203)、SUBARU(7270)のEV方針を整理すると、各社の戦略の違いが鮮明になります。

ホンダは、2021年4月に「2040年までにEVとFCVの販売比率を全世界で100%にする」との「脱エンジン宣言」を行いました。
しかし今回、その方針を大幅に見直しています。

▼トヨタはEV・FCV・ハイブリッドなど「多様な選択肢」を通じてカーボンニュートラルを実現する方針を堅持。

トヨタ自動車株式会社 マルチパスウェイ戦略
https://global.toyota/pages/fact-data/fact-data_002_02_jp.pdf

EV普及が難しい地域の現実に寄り添い、複数の選択肢を並行開発してきました。

▼SUBARUは、2023年8月の新経営体制発表で、経営資源を「バッテリーEV」に集中する方針を示していました。

株式会社SUBARU 新経営体制における方針
https://www.subaru.co.jp/outline/about/policy/2023/

ただし現在は各社同様、現実に即した軌道修正が進んでいます。

株価乖離の背景にトランプ政権の影響

▼2020年4月を起点とした各社の株価推移を確認してみましょう。

ホンダとトヨタはほぼ同じ動きをしていますが、2024年前半と2025年後半に大きな乖離が生じています。
この乖離は、トランプ政権の影響によるものだとみられます。

トヨタは2024年2月の決算時に業績の上方修正を発表。
TSMCの熊本工場への出資も材料となり大きく上昇しました。
加えて、大統領選でトランプ元大統領の返り咲き可能性が高まっていた時期でもあり、「マルチパスウェイ戦略」を取るトヨタへ買いが集まりました。
バイデン政権が推進してきたEV政策が反転し、EVだけではなくハイブリッド車にも注力してきたトヨタにとって追い風になるとの見方が広がったのです。

実際、2025年1月には、トランプ米大統領がEV購入補助金や充電インフラ補助の停止・撤廃を表明。
▼ホンダは自動車販売が北米に依存していたため、米国のEV方針転換の影響を最も大きく受けたメーカーの1つとなりました。

本田技研工業株式会社 四輪電動化戦略の見直しに伴う損失の発生および今後の方向性について
https://global.honda/jp/investors/library/financialresult/main/00/teaserItems1/01117/linkList/0/link/0312_Media%20Briefing%20_Presentation_je.pdf

ホンダに業績回復シナリオはあるのか?

▼「四輪電動化戦略の見直しにともなう損失の発生および今後の方向性について」では、2026年3月期・2027年3月期をボトムに業績回復を目指すとしています。

本田技研工業株式会社 2026年3月期 第3四半期決算説明会資料https://global.honda/jp/investors/library/financialresult/main/00/teaserItems1/01116/linkList/00/link/FYE202603_3Q_financial_presentation_script_j_1.pdf
本田技研工業株式会社 四輪電動化戦略の見直しに伴う損失の発生および今後の方向性について
https://global.honda/jp/investors/library/financialresult/main/00/teaserItems1/01117/linkList/0/link/0312_Media%20Briefing%20_Presentation_je.pdf

HEV強化が回復の鍵

今後の方針として、北米ではHEV(ハイブリッド車)モデルの強化を発表。
EVを完全に手放すわけではなく、HEVとの共通投資は継続していくとしています。

採算の悪いEVの販売よりも、足元で売れ筋のHEVへ舵を切る判断です。
不採算のEV投資を前倒しで処理することで、今後の立て直しを狙う計画になっています。

二輪事業・金融事業が四輪回復までを下支え

▼ホンダの事業別業績を見ると、売上は四輪が大半を占める一方、二輪事業の営業利益率は約18%と突出して高い水準です。

本田技研工業株式会社 事業別売上高・営業利益

一般的に製造業の営業利益率は5%以上が優秀とされる中、2025年3月期のトヨタですら9.9%。
ホンダの二輪事業の収益性は際立っています。

共通部品を活用した大量生産によって、製造コストを大きく抑えられていることが利益率の高さの主因です。
また、金融サービスも小さくない営業利益を生み出しており、この2つの事業が四輪回復までの下支えとなります。

ホンダ株は今買うべきか?

ここからは、今ホンダ株は買いなのかを考えていきましょう。
▼株式指標では、PBR(株価純資産倍率)0.4倍以下と過去の安値を割り込む水準にあります。

IRBANKより引用
https://irbank.net/7267/pbr

ただし、これは今回の巨額損失計上前の自己資本をもとにした数値です。

最大2兆5,000億円の損失が計上される可能性がある一方、過去最高だった2024年3月期の純利益は1兆1,000億円。
資本が大幅に減少する可能性も十分あります。

目先の注目点と投資判断

SHMについては、ホンダ・ソニー・SHMの3社で事業見直しを行うと発表済みです。
今後も方針発表が続く可能性が高いですが、それだけで株価が上昇する公算は低いでしょう。

本格的な株価上昇には「HEV拡販の目処がつくこと」が必要です。
日産と比較すると、事業ポートフォリオが厚く、時間をかけて立て直しを進められるため、回復の確度は相対的に高いと考えられます。
ただし、目処がつくまでに相当の時間がかかる可能性もあります。

そのため、今から買いを入れると、上昇までに時間がかかり、他の投資機会を失うリスクがあります。
資金効率を考えるのであれば、今後の動向を見極めてから買い付けを行う方が無難でしょう。
ポートフォリオへの組み入れを検討するなら、HEV拡販の進捗を確認してからでも遅くありません。

まとめ|ホンダ(7267)株価見通しのポイント

26年3月期に上場来初の赤字転落が見込まれ、最大2兆5,000億円の損失計上を予定しているホンダ。
これは、トランプ政権によるEVへの逆風もあって、EV戦略を大転換した結果によるものです。

営業利益率18%を誇る二輪事業と金融事業が、四輪回復までの下支えとなる点は心強いです。
ただし、業績回復のシナリオはHEV拡販にかかっており、時間がかかる可能性が高いのも事実。
足元では、拡販の目処が立つのか動きを注視し、買いタイミングを慎重に検討するのが賢明です。

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執筆者情報

nari

峯岸 恭一

日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)

総合鉄鋼メーカーに勤務していた経験を活かした、鉄鋼・自動車市場の分析及び情報収集を得意とし、データの集計・分析に基づいた統計学により銘柄の選定を行う希少なデータアナリスト。AIに関する資格も有しておりデータサイエンティストとしても活躍の場を拡げている。

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