犬猫生活(証券コード:556A)は、国産・無添加のプレミアムペットフードを自社ECで定期販売するD2C企業です。
2026年4月23日に東証グロース市場へ新規上場し、公開価格は2,990円、想定時価総額は約78億円となります。
注文の約95%が定期購入、売上の約91%が自社EC経由というサブスク型の収益構造を持ち、25年4月期には黒字転換を達成。
ZOZO創業者・前澤友作氏の前澤ファンドが44.59%を保有する「著名人系IPO」でもあります。
本記事では、犬猫生活の投資妙味とリスクを整理します。
犬猫生活の事業内容・ビジネスモデル

犬猫生活は、2018年5月に「オネストフード株式会社」として設立されたペット関連D2C企業です。
代表の佐藤淳氏が保護猫を引き取ったことをきっかけに創業し、2021年1月に前澤ファンドを引受先とする第三者割当増資を実施、同年8月に社名を「犬猫生活株式会社」へと変更しました。
2026年2月末時点の従業員数は57名、平均年齢36.7歳の若い組織です。
ビジネスは3つの領域で構成
事業は、大きく「生活販売」「生活サービス」「エンターテインメント」の3領域で構成されます。
中核となるのは生活販売で、「犬猫生活」ブランドのオリジナルペットフード(ドライフード、手作りごはん、デンタルふりかけ、サプリメント、おやつなど)を自社ECで展開。
これに加え、往診型動物病院、地方のペットクリニック、トリミングサロンの運営、ペット関連イベントへの出展などを通じて、オフラインでの顧客接点も広げています。
商品コンセプトは「無添加・国内製造・ヒューマングレード」
主力商品は無添加・国内製造・ヒューマングレード素材を訴求したプレミアム領域のペットフードです。
価格競争を避け、健康志向・家族化志向の飼い主層に深く刺さる商品設計になっています。
さらに会社利益の20%を一般財団法人犬猫生活福祉財団など動物福祉団体への寄付に充てており、「この会社から買うこと自体に意味がある」というブランド体験を設計している点も特徴です。
犬猫生活のIPO概要

まずは、今回のIPOの基本情報を確認しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 上場日 | 2026年4月23日 |
| 市場 | 東証グロース |
| 証券コード | 556A |
| 公開価格 | 2,990円(仮条件上限) |
| 公募株式数 | 33万株 |
| 売出株式数 | 28万株 |
| OA(オーバーアロットメント) | 9万1,500株 |
| 吸収金額 | 約21億円 |
| 想定時価総額 | 約78億円 |
| 主幹事 | SBI証券 |
| 調達資金の用途 | 広告宣伝費 |
吸収金額21億円はグロース市場としては中型案件に位置し、軽量案件のような強い初値形成は見込みづらい規模感です。
一方で、SBI証券が主幹事を務めるIPOは統計的に初値が上昇しやすい傾向があり、需給と事業評価の両面から読み解く必要があります。
株主構成は上位2者で約80%を占める集中型
大株主は前澤ファンドが44.59%、代表の佐藤淳氏が36.16%を保有しており、上位2者で約80.8%を占める集中的な株主構成です。
主要株主には上場後180日間のロックアップが設定されており、2026年10月19日までは売却できません。
価格による解除条件はないため、短期的な追加売却圧力は限定的です。
ただし売出の大半が前澤ファンドによるものであることから、「出口性」のあるIPOとして、需給評価はやや慎重に見る必要があります。
犬猫生活の業績とサブスクリプション型の強み

犬猫生活の業績は、ここ数年で大きな転換点を迎えています。
売上高は毎期50%超で成長、25年4月期に黒字転換
同社の売上高は毎期50%以上の高成長を継続しています。
25年4月期は売上高29億円(前年同期比62.0%増)、営業利益9,200万円、当期純利益2億700万円を計上し、営業赤字からの黒字転換を果たしました。
広告宣伝費を積極投下して定期会員を積み上げてきた戦略が、ようやく利益面でも実を結び始めた局面です。
さらに26年4月期第3四半期(25年5月~26年1月)累計では、売上高33.3億円、経常利益4.1億円とすでに前期通期を上回るペースで推移しています。
通期業績予想は売上高44.4億円(前期比53.3%増)、経常利益6.0億円(同6.7倍)と大幅増収増益を見込んでいます。
売上の91%が自社EC、注文の95%が定期購入
同社の最大の強みは、D2C×サブスクリプション型の収益モデルにあります。
25年4月期時点では、売上高の約91%が自社EC経由、注文の約95%が定期購入、定期会員数は約5万6,000人に到達。
この収益構造には、以下のようなメリットがあります。
- 手数料負担が軽い
楽天やAmazonなどのモールに依存しないため、プラットフォーム手数料がかからず利益率を高めやすい。 - 顧客データを自社に蓄積できる
購入頻度・継続率・解約タイミングなどのデータを直接保有し、広告効率やCRM施策の最適化が可能。 - 将来の売上が積み上がる
定期購入ベースのため、SaaS企業のMRR(月次経常収益)に近い性格を持ち、売上の再現性が高い。
ペットフードは消耗品であり、一度気に入った商品を継続して購入する傾向が強いため、サブスクリプションとの相性が極めて良いカテゴリです。
飼い主は愛犬・愛猫の体調が安定している限り、フードを切り替えるリスクを取りたがりません。
これが高い継続率につながっています。
ペット関連市場の拡大と「プレミアム化」という追い風

犬猫生活が乗る市場そのものも、構造的な成長トレンドの中にあります。
ペット関連総市場は2025年度1兆9,257億円規模
矢野経済研究所の調査によると、2025年度のペット関連総市場規模は、小売金額ベースで前年度比100.8%の1兆9,257億円に拡大する見通しです。
飼育頭数そのものが大きく伸びているわけではなく、「1頭あたりの支出が増えるから伸びる市場」に転換しているのが特徴です。
ペットフードに限定しても、富士経済の調査では2026年に国内市場は5,122億円規模へ拡大する見込みで、主にプレミアムタイプ・猫用スナック・サプリメントなど高付加価値カテゴリがけん引するとされています。
日本のペットフード市場全体の年平均成長率は4〜5%前後と推計されており、小さくない成長余地が残っています。
「家族化」がプレミアムフード需要を押し上げる
ペットを家族の一員として扱う傾向が強まるにつれ、飼い主は安価な商品よりも健康に配慮したプレミアムフードに支出するようになっています。
自然派素材や無添加を訴求した商品、肉の含有量が多い商品、国産品などが好調に推移しており、まさに犬猫生活が狙う領域と一致します。
この「プレミアム化」のトレンドは、ペットの高齢化とも結びついています。
高齢ペットの健康ケア需要が高まり、サプリメントや療法食といった周辺カテゴリまで波及効果が生じやすくなっています。
競合と比較した犬猫生活のポジション
プレミアムD2Cペットフード領域には複数のプレーヤーが存在します。
主要競合との比較は下表の通りです。
| 企業 | 特徴 | チャネル |
|---|---|---|
| 犬猫生活 | 国産無添加ドライフード中心 | 自社EC 91% |
| バイオフィリア(ココグルメ) | 冷凍フレッシュフード | 自社EC+イオンペット |
| PETOKOTO | 獣医師開発フレッシュフード | 自社EC中心 |
犬猫生活はフレッシュフード勢と比べると、保存性や価格面で扱いやすいドライフード中心であること、動物病院・トリミングサロンまで垂直統合している点が差別化要素となります。
競合も自社ECを軸にしている点は共通しており、ブランディングと顧客ロイヤリティの競争が今後の優劣を分けることになりそうです。
前澤ファンドが44.59%保有する「著名人系IPO」の意味

犬猫生活を語るうえで外せないのが、前澤ファンドの存在です。
前澤ファンドはZOZO創業者の前澤友作氏が2020年2月に設立した投資会社で、総額100億円規模の投資を掲げ、社会貢献型スタートアップを中心に出資してきました。
その代表的な出資先のひとつが犬猫生活です。
個人投資家の注目を集めやすい案件
新興IPOにおいては、事業内容や業績だけでなく、「誰が株主なのか」「どんな投資家が関わっているのか」が初期の需給を動かす要因になります。
前澤氏の個人投資家における知名度は極めて高く、SNSでの発信力もあるため、上場初日から話題性が広がりやすいです。
一方で、前澤ファンドはVC的な性格を持つ出資主体でもあり、今回のIPOでも売出人として25万株を売却します。
ロックアップ明けの2026年10月19日以降に追加売却が入る可能性は、中期的なリスクとして意識しておく必要があります。
犬猫生活の株価上昇が期待できる3つのポイント

ここまでの分析を踏まえ、上場後に注目したいポイントを整理します。
①|「ペットの家族化」という息の長いテーマ
ペットフードのプレミアム化・ヘルスケア重視というトレンドは当面続くとみられます。
犬猫生活はまさにこの潮流の中心にいる企業で、単価上昇の恩恵を受けやすいポジションにあります。
②|サブスクリプションモデルによる安定性
売上の大半を自社ECが占め、その注文の95%が定期購入であるため、業績の再現性が高いビジネスです。
IPO後に株式市場から評価されるのは、単なる売上成長ではなく「継続性の高い成長」であり、広告投下→新規会員獲得→継続課金というフローが見えやすい点は強みです。
③|前澤ファンド出資による話題性
前澤ファンドが44.59%を保有しているという事実だけで、個人投資家層からの注目を集めやすい銘柄です。
事業内容はペットフードという地味な領域ですが、市場規模が大きい上に追い風もあり、サブスク型で利益成長が見え始めている点と合わせると、短期・中期のどちらの視点でも面白い存在になり得ます。
犬猫生活への投資における3つの注意点

一方で、以下のリスクもフラットに押さえておきましょう。
①|バリュエーションは割安ではない
公開価格2,990円ベースで、前期(25年4月期)の実績PERは37倍台となります。
成長率50%超を考慮するとPEGレシオは0.7〜0.8程度で「割高ではない」水準ですが、「割安」とも言えない微妙なラインです。
また想定仮条件ベースの2026年4月期予想PERは16〜17倍台とされており、今期の業績予想達成が前提となったバリュエーションである点に注意が必要です。
②|成長が広告投資に依存
調達資金の大半を広告宣伝費に充てる計画である通り、同社の成長は広告投下量に大きく依存しています。
広告効率が悪化したり、獲得単価(CPA)が上昇したりすれば、新規会員の積み上がりが鈍化し、成長鈍化と利益圧迫が同時に起こりかねません。
解約率の具体的な数値は目論見書でも開示されておらず、継続率の実態把握は上場後の開示を待つ必要があります。
リスク3:ロックアップ明けの需給悪化
前澤ファンドと佐藤社長の保有分(合計約80.8%)には180日のロックアップがかかっていますが、2026年10月19日以降は売却が可能になります。
VC的性格を持つ前澤ファンドが利益確定に動けば、需給は一気に崩れる可能性があります。
セカンダリーで長期保有を検討する場合、10月前後の動きには特に注意が必要です。
まとめ|ストック型成長とテーマ性を両立するIPO

犬猫生活は、ペットの家族化・プレミアム化という構造的トレンド、自社EC×定期購入のサブスク型モデル、前澤ファンド出資による話題性という3つの要素を兼ね備えたIPO案件です。
25年4月期に黒字転換を達成し、26年4月期も売上高44億円・経常利益6億円と大幅増益を見込んでいる点も、赤字成長企業が多い新興IPOの中では評価できるポイントです。
一方で、吸収金額21億円という中型規模、PER37倍台のバリュエーション、広告依存の成長構造、180日後のロックアップ解除といった注意点もあります。
短期的な需給戦を狙うのか、中期的に会員基盤の積み上がりを追うのか、投資スタンスによって見え方が変わる銘柄と言えるでしょう。
初値動向を見極めつつ、同社が公表するKPI(定期会員数、解約率、広告効率など)の継続的なチェックが、この銘柄と付き合ううえでの重要なポイントとなります。

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執筆者情報
日本投資機構株式会社 アナリスト
大学時代に投資家である祖母の影響で日本株のトレーディングを始める。大学時代、アベノミクスの恩恵も受けて資金を増やすことに成功する。卒業後、証券会社、投資顧問会社を経て2019年2月より日本投資機構株式会社の分析者に就任。モメンタム分析を最も得意としており、IPO(新規上場株)やセクター分析にも長けたアナリスト。

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