2024年1月にスタートした新NISA制度をきっかけに、日本株市場への関心はかつてないほど高まっています。
しかし、市場が活況を呈する一方で、個人投資家の間では「どの銘柄を選べばよいか分からない」「膨大な情報を前に、判断の軸が定まらない」という切実な悩みも増えています。
こうした中、日本投資機構株式会社のアナリストが開発した「AI銘柄スクリーナー」が、投資の判断をサポートする新たな道具として注目を集めています。
今回は、開発を主導した峯岸恭一氏にAI投資の真実と、変化の激しい現代相場を生き抜くための思考法を詳しく紐解きます。
AI銘柄スクリーナー開発の背景と登場人物
本インタビューは、投資家が直面する「銘柄選定の壁」をどう乗り越えるべきかを探るため、投資情報メディア「インベストリーダーズ」編集部が企画しました。
AIという言葉が独り歩きする現代において、その裏側にあるロジックと、開発者の誠実な哲学を明らかにすることが目的です。

峯岸 恭一(みねぎし きょういち)氏 日本投資機構株式会社 アナリスト。最新のAI技術やディープラーニングを投資分析に応用。膨大なバックテスト(過去検証)に基づき、AI銘柄スクリーナーの発案から現場検証までを一貫して主導。
AI銘柄スクリーナーが果たす「補助線」の役割

AI銘柄スクリーナーは、世間に溢れる「自動で儲かる魔法の杖」ではありません。
情報過多な現代において、投資家が思考を停止させず、いかに「納得感」を持って市場と向き合えるか。
その設計思想の根底には、プロのアナリストならではのこだわりが詰まっています。
AIが決定権を持つのではなく、あくまで人間を主役にするための役割分担について語ります。
——まず基本的なところから伺います。AI銘柄スクリーナーとは、具体的にどのようなサービスなのでしょうか。
A. 峯岸: 一言で申し上げると、「投資家の思考を整理するための投資サポートアプリ」です。
株式投資を始めようとすると、財務内容や業績予想、チャートの形状、さらには世界情勢や金利動向など、確認すべき情報が膨大にありますよね。
しかし、多忙な現代人がそれらをすべて完璧にこなすのは、時間的にも精神的にも、現実的に不可能です。
——確かに、最初はその意気込みがあっても、情報の多さに圧倒されて疲弊してしまう方は多いですね。
A. 峯岸: そうなんです。そこでAI銘柄スクリーナーは、利用者にいくつかの簡単な質問に答えていただく形式をとっています。「どれくらいの期間で運用したいか」「どのようなリスクを許容できるか」といった質問です。
それに基づき、AIが数千もの銘柄の中から、過去の膨大なデータと照らし合わせて「今のあなたにふさわしい候補」を提示します。

——「銘柄を選んでくれる」というより、考えるための材料を整えてくれるという印象を受けます。
A. 峯岸: まさにその通りです。AIが投資判断をすべて代わりに行うのではありません。
私たちが目指したのは、利用者が冷静に判断を下すための「補助線」を引くことです。
学校の数学でも、図形に補助線一本あるだけで解法が見えることがありますよね。
それと同じで、銘柄選びという迷路の中で、どの道に注目すべきかを照らし出す。
最終的な出口、つまり「納得感のある購入」までスムーズに導くことが、このツールの最大の役割だと考えています。
AI銘柄スクリーナーが解決する環境面の課題

なぜ、あえて手間のかかる「自ら考える」仕組みを採用したのか。
その裏には、今の日本株市場において「自分の軸」を持てないまま投資をしている人々への強い懸念がありました。
開発の原動力となった、個人投資家が置かれている過酷な現状について掘り下げます。
—— 開発のきっかけとなった、峯岸さんの中にある具体的な課題意識について詳しく伺えますか。
A. 峯岸: 一番強く感じていたのは、「自分がなぜその銘柄を買ったのか、自分の言葉で説明できない方が非常に多い」という危機感です。
「有名なインフルエンサーが言っていたから」「ネット掲示板で話題だったから」という理由で、大切なお金を投じてしまっている。
これでは、もし利益が出たとしても自分の実力になりませんし、損をしたときには後悔と市場への不信感しか残りません。
——それは個人の勉強不足、ということなのでしょうか。
A. 峯岸: いいえ、私はそうは思いません。これは個人の能力の問題ではなく、「考えるための環境が整っていないこと」が真の原因だと思っています。
昼間は仕事をして、夜は家事や育児、趣味の時間もある。その隙間で、上場している数千銘柄を詳細に分析しろというのは、あまりに酷な話です。
分析のプロセスが苦行のようになれば、誰だって楽な「他人の推奨」に流されてしまいます。

——その「分析の苦行」を肩代わりするのがAIの役目、ということですね。
A. 峯岸: はい。情報の収集やパターンの抽出といった「機械が得意な作業」はAIに任せ、人間は「その結果をどう捉え、どう決断するか」という、投資の醍醐味である思考の部分に集中できるようにする。
その環境さえ整えば、誰でも自分の軸で投資ができるようになるはずです。
負担を軽くすることで、投資を「嫌な作業」から「知的なワクワク感のある活動」に変えていきたい。それが開発時の最も強い想いでした。
AI銘柄スクリーナーと偽装AI投資との違い

昨今、投資の世界でも「AI」という言葉は一種の流行語のように使われています。
しかし、その輝かしい響きの裏側には、中身が伴わないサービスや、投資家を欺くような危険な誘導も潜んでいます。
AI銘柄スクリーナーが掲げる「誠実さ」とは何か。安易な儲け話に流されないために投資家が知っておくべき「業界の実態」について、峯岸氏が警鐘を鳴らします。
—— 最近はYouTubeやSNSの広告でも「AI×株式投資」というフレーズを頻繁に目にします。アナリストとして、この状況をどう見ていますか。
A. 峯岸: 正直に申し上げると、期待よりも懸念の方がはるかに大きいです。
確かにAI技術は進化していますが、中にはロジックが不透明なまま「AI」という名前だけを冠したサービスや、残念ながらSNS型投資詐欺の入り口として悪用されているケースも散見されます。
特に投資経験が浅く、将来に不安を抱えている方ほど、「AIが自動で稼いでくれる」という甘い言葉に惹かれがちですが、投資において「100%の自動化」は非常に危うい。

——その問題意識も、AI銘柄スクリーナーの設計に反映されているのでしょうか。
A. 峯岸: もちろんです。私たちは、根拠が不明瞭な「ブラックボックス」を提示することは絶対にしません。
怪しい情報に流される人を一人でも減らしたい。そのためには、データとロジックに基づいた、正しい意味でのAI活用を提示する必要があります。
——「正しいAIの使い方」とは、具体的にどのようなことでしょうか。
A. 峯岸: AIを「神様」のように崇めるのではなく、あくまで高度な「計算機」や「効率的な道具」として扱うことです。私たちが提供するのは、結果だけでなくそのプロセスに透明性を持たせることです。
日本国内の金融リテラシーを底上げしたいという強い思いが、このツールの根底には流れています。
安易な儲け話ではなく、本物の分析に基づいた投資体験を提供すること。それが、今の不透明な情報社会に対する私たちの回答です。
AI銘柄スクリーナーの精度を支える「検証」のプロセス

投資の世界に「絶対」は存在しません。しかし、多くのユーザーはAIに対して「必勝法」を期待してしまいがちです。
AI銘柄スクリーナーが、あえて「的中」という言葉以上に「検証」を強調するのはなぜか。
開発現場で日々行われている泥臭いまでのフィードバックループと、そこから生まれる信頼の根拠について詳しく伺います。
——ユーザーが最も関心を持つのは、やはり「どれくらい当たるのか」という精度だと思います。「AIなら必ず上昇銘柄を当ててくれる」という期待に対し、開発者としてどう向き合っていますか。
A. 峯岸: 非常に重要な質問です。まず明確にしておきたいのは、AIは「未来を予言する魔法の水晶玉」ではないということです。相場には常に不確実性が伴います。
AI銘柄スクリーナーの本質的な価値は、的中率そのものよりも、その予測に至る「プロセスの再現性」と、外れた時の「徹底的な検証」にあります。
——「的中」よりも「検証」を重視するというのは、具体的にどのような作業を指すのでしょうか。
A. 峯岸: 私たちは、過去数年分の膨大な市場データを使い、数え切れないほどのバックテスト(シミュレーション)を繰り返しています。
例えば、ある局面でAIが提示した銘柄が期待通りに動かなかった場合、私たちはその結果を放置しません。
「なぜこのタイミングでこの指標が機能しなかったのか」「市場の構造変化が起きていないか」を徹底的に洗い出し、アルゴリズムの微調整を行います。

—— 一度作って終わりではなく、常にアップデートされ続けているわけですね。
A. 峯岸 そうです。相場は生き物ですから、昨日の正解が今日の正解とは限りません。
AIが出した答えを鵜呑みにするのではなく、外れたケースから学びを得て、次への糧にする。
この地道な「検証の積み重ね」こそが、最終的にユーザーの皆様へ提供できる「情報の精度」につながると信じています。
AI銘柄スクリーナーが想定する理想のユーザー像

このツールは、単に銘柄を絞り込むだけでなく、使う人の「投資リテラシー」を引き上げる側面も持っています。
初心者からベテランまで、それぞれがどのようなシーンで活用し、どのような恩恵を受けることができるのか。
大畠氏が、実際の利用シーンを具体化するための質問を投げかけます。
—— 実際には、どのような方にこのツールを最も活用していただきたいとお考えでしょうか。
A. 峯岸氏: 大きく分けて二つの層を想定しています。
まず一つは、これから株式投資という未知の世界に足を踏み入れる「初心者」の方々です。右も左もわからない状態で数千銘柄の海に放り出されるのは過酷です。
そこで、AIがいくつかの基準を示すことで、「最初の一歩」の心理的ハードルを劇的に下げることができます。

——初心者が陥りがちな「情報の迷子」になるのを防ぐわけですね。
A. 峯岸氏: その通りです。そしてもう一つの層は、すでに一定の経験をお持ちながら、圧倒的に「時間」が足りない多忙な会社員や経営者の方々です。
プロの投資家と違い、彼らには本業があります。日中の相場を逐一チェックしたり、決算書を隅々まで読み解く時間は限られています。
その「分析の労力」をAIが肩代わりすることで、彼らは最終的な意思決定にのみエネルギーを注げるようになります。
——経験者の方にとっても、自分では見落としていた「新しい視点」を得るメリットもありそうですね。
A. 峯岸氏: あります。人間はどうしても自分の得意な業種や過去に利益を出した銘柄に固執する「認知のバイアス」から逃れられません。
AIは感情を排してフラットにデータを分析しますから、「自分では絶対に選ばなかったが、実は数字が裏付けている有望銘柄」を提示してくれます。
これは、投資の幅を広げる上で非常に強力な武器になるはずです。
AI銘柄スクリーナーで実現する「自立した投資」の姿勢

実はテクノロジーが進化するほど、人間の「意志」が問われるようになります。AI銘柄スクリーナーを使いこなすために必要なマインドセットとは何か。
AIに支配されるのではなく、AIを強力なパートナーとして従えるための、投資家としての矜持について議論を深めます。
—— AIがこれほど進化すると、「すべてAIに任せればいい」と考える人が出てくるのも自然な流れだと思います。そうした姿勢についてはどう思われますか。
A. 峯岸氏: それこそが最も警戒すべき姿勢だと考えています。
AI銘柄スクリーナーは「責任まで肩代わりするツール」ではありません。あくまで判断の材料を提供するものです。
AIの結果を見て、「なぜこの銘柄が選ばれたのか」をご自身の頭で一度咀嚼し、最終的に「よし、これで行こう」と決断を下す。このプロセスを省略してはいけません。
——「依存」ではなく「活用」するという距離感が重要、ということですね。
A. 峯岸: はい。例えば、優秀な秘書を雇っている経営者をイメージしてください。
秘書が有能な資料を揃えてくれたとしても、最後に判を押すのは経営者本人ですよね。
投資も同じです。AIという「有能な分析官」を使いこなしつつ、自分の資産に対して自分で責任を持つ。
この「自立した姿勢」があって初めて、ツールはその真価を発揮します。

—— その姿勢を持つことで、もし損失が出たとしても「自分の経験」として蓄積されますね。
A. 峯岸: おっしゃる通りです。他人の推奨に丸乗りして負ければ「騙された」という恨みしか残りませんが、自分で判断して納得して買えば、それは次に活きる学びになります。
AI銘柄スクリーナーは、そうした「学びのある投資」をサポートする存在でありたい。ユーザーの皆様には、ツールを通じて自分なりの「投資の型」を確立していただきたいと考えています。
AI銘柄スクリーナーが目指す投資の「日常化」と未来

インタビューの締めくくりとして、このサービスが目指す最終的なゴールについて伺います。
投資が特別な人のギャンブルではなく、誰もが当たり前に向き合う「一生の習慣」になるために。
開発者としての情熱がこもったメッセージをお届けします。
—— 最後に、今後の展望と、投資に不安を感じている読者へのメッセージをお願いします。
A. 峯岸: 投資を「一生続けられる習慣」に変えていきたい、というのが私の願いです。
多くの人が投資を途中でやめてしまうのは、結果が出ないこと以上に、続けることへの負担が大きすぎるからです。
AI銘柄スクリーナーは、その「負担」を極限まで取り除き、投資を日常の一部へと馴染ませるための道具です。
—— 投資がストレスではなく、生活を豊かにするための自然な活動になるということですね。
A. 峯岸: はい。投資は特別な才能が必要なものではありません。
ただ、これまではプロと個人の間に、分析力や情報量の圧倒的な格差があっただけなんです。
その溝をAIというテクノロジーで埋める。正しい道具と正しい姿勢さえあれば、誰もが資産形成の主役になれます。
一歩踏み出すのを躊躇している方も、ぜひ「自分を成長させるパートナー」として、このツールに触れてみていただきたいですね。
まとめ:AI銘柄スクリーナーは判断を奪うものではなく、支える存在

AI銘柄スクリーナーの本質は、銘柄選びを自動化すること自体ではなく、投資家が「自分の判断」と向き合い続けるための余白を作ること。
AIに丸投げするでもなく、かといって個人の感覚だけに頼るのでもない。「考える余地を残したまま使える現実的な道具」として、投資に不安を感じる方々を支える存在です。
これまでのインタビューを通じて見えてきたのは、AIという冷徹な計算機の裏にある、日本投資機構株式会社の「投資家を自立させたい」という温かい情熱でした。
情報に振り回される時代は終わり、これからはAIを賢く使いこなし、自らの手で未来の資産を築いていく。そんな新しい投資体験が、ここから始まろうとしています。
執筆者情報
編集部
INVEST LEADERSを運営する顧問投資会社「日本投資機構株式会社」の代表取締役を含めたスタッフ及びサポートアナリストの記事を掲載しています。株式投資や金融に纏わる話題は勿論のこと、読者の暮らしや生活を豊かにするトピックスや情報を共有していきます。
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