株式市場には、特定の時期に株価が変動しやすい「季節性アノマリー(経験則)」が存在します。
そのなかでも、投資家の期待と注目を集めるのが、米国市場発の「クリスマスラリー (サンタクロース・ラリー)」です。
本記事では、このクリスマスラリーの有効性をデータで検証し、投資家が取るべき具体的な戦略を提案します。
クリスマスラリーとは?いつからいつまでを指すか解説

クリスマスラリーとは、年末年始に株価が上昇しやすいという米国市場発の季節性アノマリー(経験則)です。
有名なレポート「ストック・トレーダーズ・アルマナック」によって定義されており、具体的には年末最終5営業日と年始の2営業日の合計7営業日の期間を指します。
この期間は、クリスマス休暇や年末年始で市場参加者が減少し、少しの資金流入でも株価が動きやすくなります。
株式市場では、11月下旬のブラックフライデー頃からクリスマス商戦に注目が集まり始めますが、厳密な意味でのクリスマスラリーの期間とは区別されます。
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クリスマスラリーは本当にあるのか?S&P500で検証
投資家として気になるのは、クリスマスラリーが本当に有効なアノマリーかどうかでしょう。
そこで、実際に年末年始に株価が上昇する傾向があるのかを検証していきます。
まず、クリスマスラリーの期間である年末5営業日+年始2営業日にS&P500指数が平均でどれだけ上昇したかと、勝率(0.01%でも上昇した割合)を調べました。
具体的には、年末最終営業日の5営業日前の終値から、年始2営業日目の終値までの騰落率で計算を行いました。
比較対象として、年末10営業日+年始2営業日や年末15営業日+年始2営業日の平均騰落率と勝率も算出しています。
また長期と直近の傾向が分かるように、①1950年~2024年、②2000年~2024年、③2015年~2024年の3つの期間についてデータを集計しました。
▼まず平均騰落率から見ていきましょう。

平均騰落率は2015年~2024年の直近の期間で年末5営業日+年始2営業日がもっとも高く、それ以外の期間で年末15営業日+年始2営業日がもっとも高くなっています。
ただし、株価が右肩上がりで推移した場合、期間が長い方が上昇率が高くなるのは自然です。
▼そこで、1営業日あたりの騰落率に直すと以下のようになります。

いずれも年末5営業日+年始2営業日の平均騰落率がもっとも高くなっており、たしかにクリスマスラリーの期間の株価が強く推移していると言えそうです。
▼また、各期間の勝率は以下のようになっています。

いずれの期間も年末5営業日+年始2営業日の勝率が高くなっています。
12月中旬にS&P500指数が下落した場合にも、年末年始の期間にリバウンドするケースが多いと考えられます。
12月から年始までのS&P500の動きをチェック
▼より詳しく分析するために、2015年から2024年の年末18営業日+年始2営業日の計20営業日におけるS&P500指数の動きをグラフ化しました。

一見すると値動きはバラバラで、明確な傾向はないように思えます。
▼そこで、この期間のパフォーマンスがマイナスになっている年だけを抜き出しました。

2015年、2022年、2024年には、12月中旬頃に株価が下落した後、反発に転じる動きが見られています。
また、その後も下げ渋る動きとなっており、相場環境があまり良くない年でも、クリスマスラリーの期間は株価があまり下落しないと言えそうです。
例外的なのが2018年で、同年は米FRB(連邦準備制度理事会)による利上げ継続と米中貿易戦争の激化懸念から12月に株価が大きく下落し、「ブラッククリスマス」とも表現されました。
そんな2018年でも、年末にかけては株価が持ち直し、下げ渋る動きに転じています。
なぜクリスマスラリーは起きるのか要因を解説

ここまでの結果から、たしかにクリスマスラリーの期間の株価は歴史的にパフォーマンスが良好で、相場環境が悪い場合にも下げ渋る傾向があると言えそうです。
いったいなぜなのか、ここからは理由を解説していきます。
節税売り一巡と年始に向けた資金流入
クリスマスラリー発生の要因の1つには、需給環境の改善が挙げられます。
まず、最終営業日に向けて行われていた節税対策による売りが一巡します。
投資家は、その年の利益と相殺するために含み損を抱えた銘柄を年末までに売却する傾向がありますが、これが終わり売り圧力が減少するのです。
そして売りが枯れた頃に、新年に向けた新たな資金が市場に流入し始めます。
特に年金基金や個人投資家による積立金やボーナスなどが、株の買い付けに回される傾向があります。
機関投資家によるドレッシング買い
機関投資家による「ドレッシング買い」も、ラリーを支える要因です。
ドレッシング買いとは、ファンドマネージャーが年末の決算や顧客向けのレポート作成を前に、銘柄を意図的に買い増す行為です。
これには、ファンドの保有状況を良く見せたり、ベンチマークとの乖離を縮小させたりする目的があります。
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イベントリスクの減少、投資家心理の改善
年末年始の期間は、経済指標の発表や金融当局者の公式な発言などが少なく、イベントリスクが低下します。
加えて、クリスマスや新年を迎えるホリデー・ムードが投資家心理を楽観に傾けやすいです。
機関投資家や大手トレーダーの多くが休暇に入り、残った個人投資家が楽観的なムードの中で積極的にリスクを取りやすくなります。
アノマリーを意識した買いも?
アノマリーを意識した投資家の行動が、株価を押し上げている可能性も指摘されています。
クリスマスラリーが広く知られているため、多くの投資家が年末は株が上がるはずだと期待して、買いを入れやすくなっている可能性があるのです。
クリスマスラリーと掉尾の一振との違いとは?

クリスマスラリーと似た言葉に、日本株で使われる「掉尾の一振(とうびのいっしん)」があります。
これらは混同されがちですが、それぞれ対象とする市場と期間が異なります。
掉尾の一振は主に日本株の年末の上昇を示し、期間は年末の最終営業に向けての短期間を指す場合が多いです。
一方、クリスマスラリーは主に米国株を対象とし、年末と年始をまたぐ特定の7営業日を指します。
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2025年のクリスマスラリーはどうなった?12月FOMCと市場の動きを振り返る

2025年末から2026年の年始にかけて、クリスマスラリーと呼べるような堅調な株式市場の展開は実現したのでしょうか?
当時のイベントスケジュールを踏まえながら、実際の値動きを振り返ってみましょう。
12月9日~10日の米FOMCでは予想通り利下げ実施
2025年12月9日~10日に開催された米FOMCでは、市場予想通り0.25%の利下げが決定され、政策金利は3.50%~3.75%となりました。
しかし、結果は賛成9・反対3という2019年以来もっとも反対票の多い決定となり、委員会内で激しい意見対立があったことが浮き彫りになりました。
パウエル議長は政策金利が「中立金利の上限にある」と言及し、今後の利下げペース鈍化を示唆したため、市場はこれを「タカ派的な利下げ」と受け止めました。
乱気流を乗り越え、年末にかけてラリーへの期待を繋ぐ
当時は長引いた米政府閉鎖による経済指標の発表遅れや、相場の過熱感への警戒も意識される中、市場は一時的な乱気流(警戒感)に包まれていました。
しかし、最大イベントであるFOMCを通過し、遅れていたインフレ指標などの確認が進んだ12月下旬にかけて、S&P500はクリスマス前後に節目の6,900台まで上昇する場面も見られました。
一方で、12月の月間トータルではほぼ前月比フラットの結果に終わっており、年末にかけての株高(サンタクロース・ラリー)が一貫して続いたとは言い切れない展開でした。
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クリスマスラリーを利益に変える投資戦略

最後に、クリスマスラリーに乗って、利益を獲得するための投資戦略を提案します。
過去のS&P500指数の値動きから、節税売りが一巡する直前が効果的な仕込みのタイミングになると考えられます。
具体的には、12月の最初の2週間(節税売りが出やすい時期)における株価の調整局面(押し目)を狙い、12月半ばまでにポジションを構築します。
買いを入れる銘柄としては、翌年も人気が続くとみられるテーマ株が有望でしょう。
こうしたテーマ株には、翌年に期待した個人投資家による買いが入りやすいためです。
クリスマスラリーが終わる年明けにかけては、金融当局者の発言や経済指標などのイベントリスクが改めて意識され始めます。
楽観ムードが続くかを見極めながらも、買い付けた銘柄の上値が重くなったタイミングでは早めの利益確定を考えるのが良いでしょう。
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よくあるQ&A|クリスマスラリーの疑問を解決
まとめ|12月前半~中盤の買いを狙おう!

クリスマスラリーは、節税売り後の需給改善や機関投資家のドレッシング買い、ホリデー・シーズン特有の楽観的な投資家心理などが複合的に作用し、発生していると考えられます。
12月前半から中盤にかけての下落を狙って、先回り的に買いを入れることが、クリスマスラリーを利益に変えるための有効な戦略となるでしょう。
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執筆者情報
日本投資機構株式会社 証券アナリスト(CMA) テクニカルアナリスト(CMTA®)
国内株式、海外株式、外国為替の領域で経験豊富なアナリスト・ファンドマネージャーのもと、金融市場の基礎・特徴、マクロ経済の捉え方、個別株式の分析、チャート分析、流動性分析などを学びながら、日本投資機構株式会社では唯一の女性アナリストとして登録。自身が専任するLINE公式など各コンテンツに累計7000名以上が参加。Twitterのフォロワー数も3万人を超える人気アナリスト。

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