インバウンドが日本経済を動かす!注目の関連銘柄と今後の展望

インバウンドが日本経済を動かす!注目の関連銘柄と今後の展望

訪日外国人旅行者は過去最多の3,686万人を突破し、インバウンド市場は完全復活どころか、コロナ前を上回る第2次成長期へと突入しました。

円安・ビザ緩和・LCC拡大の追い風を背景に、消費は都市部から地方、リアルから越境ECへと拡大中です。

本記事では、そんな爆発的な訪日需要の波に乗る業界・銘柄を整理し、投資のチャンスを見極めたい方に向け、データと構造的な視点から読み解きます。

目次

インバウンド関連銘柄は「新たな成長エンジン」として注目

訪日外国人の消費が急増し、観光関連企業にとって追い風となっている。インバウンド市場の拡大が株式市場でも鮮明になってきた。

来訪者数の記録更新で旺盛な需要を裏づけ

2024年の訪日外国人数は3,687万人となり、2019年の過去最多記録(3,188万人)を約15.6%上回って更新。2025年5月単月では約369万人が来日し、前年同月比+21.5%増を記録(出典:日本政府観光局〈JNTO〉)。

消費額も上昇傾向、経済効果が株式市場に波及

外国人旅行者による国内消費は、飲食・宿泊・小売・交通・観光サービスに広がっており、インバウンド消費全体が経済の新たな柱として定着。企業業績と株価の両面で波及効果が拡大しています。

インバウンド関連銘柄が注目される背景は経済構造の変化にある

訪日外国人の増加によって消費が急拡大し、インバウンド関連銘柄は観光業にとどまらず幅広い産業と連動して成長しています。

旅行消費がGDPを押し上げる“外貨の流入源”に

インバウンドは単なる観光収入ではなく、外貨を伴う消費の直接流入として日本経済を底上げ。宿泊・交通・飲食に加え、小売やエンタメ産業にも波及効果をもたらしています。

2024年の訪日観光消費は約8.1兆円──前年比+53%の急増

日本政府観光局(JNTO)などの統計によれば、2024年の訪日外国人による旅行消費は約8.1兆円。1人あたり平均消費額は約22.7万円(前年比+6.8%)に上り、製造・小売業界の売上にも好影響が波及しています。

インバウンド関連銘柄は「円安×ビザ緩和」で追い風を受けている

為替と政策のダブル効果で訪日外国人が増加し、消費拡大による関連銘柄の業績期待も高まっています。

円安で「お得な日本」への印象が拡大中

2022年以降、為替相場は長期で1ドル=140円超の水準が続き、観光客にとって日本は“割安な旅先”となっています。高級ホテルや飲食、ブランド品などの消費が活性化し、インバウンド関連の小売・外食・宿泊業に資金が集まりやすい地合いが形成されています。

ビザ緩和で東南アジア・欧州からの旅行者が増加

観光庁などのデータによれば、アジア・欧州の一部ではビザの取得要件が大幅に簡素化。タイやマレーシアなどでは短期滞在ビザ免除が継続されており、コロナ後の回復を後押し。政策と為替の相乗効果で、今後も訪日数の増加が見込まれます。

インバウンド関連銘柄は越境ECとスマホ決済の波に乗る

インバウンド消費は「旅の途中だけの支出」から「帰国後も続く経済活動」へと拡張中。EC・キャッシュレス対応が関連株の成長ドライバーになっています。

 中国・東南アジアの観光客は「キャッシュレス」が当たり前

訪日外国人の大多数を占める中国・東南アジア圏では、WeChatPayやAlipayが生活インフラに定着。日本でも観光地・小売・飲食で非接触決済の導入が進み、利便性が評価されリピーター増加につながっています。インバウンド関連銘柄にとっても、決済環境の整備は需要喚起の重要要素です。

 越境ECによる訪日後消費の継続が業績を押し上げる

訪日時に気に入った商品を帰国後にECでリピート購入する行動が定着。とくにSNSで拡散された話題商品や日本限定モデルは、インバウンドとECのハイブリッド消費を加速させています。越境対応が進む銘柄ほど、中長期での収益貢献が期待されます。

インバウンド関連銘柄は地方分散型観光で新展開へ

観光トレンドが都市集中から地方分散へと移行中。地域色豊かな体験が求められる今、地方展開している企業にチャンスが広がっています。

地方の自然・文化・体験型観光が注目度を高めている

「人混みを避けたい」「日本らしい文化を深く体験したい」という訪日観光客の声が増加。農村体験・温泉・祭りなど地方独自の魅力が消費意欲を喚起し、宿泊日数や消費単価が都市部よりも高くなる傾向が見られます。


青森・熊本・岐阜などが外国人旅行者に人気

LCCの地方空港乗り入れやSNSによる拡散効果により、青森ねぶた祭・熊本城・白川郷などが外国人に好評。自治体のプロモーション戦略も奏功し、地方インバウンドを取り込む小売・交通・宿泊関連株が再評価されています。

インバウンド関連銘柄は観光立国政策で本格成長へ

国策として観光が強化され、観光インフラやDXの整備が進む中、関連企業の追い風が一段と強まっています。 

政府は2030年に訪日外国人6,000万人を目指す

国土交通省・観光庁は「観光立国推進基本計画」を策定し、訪日客数6,000万人・旅行消費額15兆円の達成を掲げて政策支援を拡充。補助金制度や地方誘致策を通じて、観光産業全体の底上げが図られています。

観光DXや文化財利活用で関連銘柄にも恩恵

多言語アプリ・スマートチェックイン・混雑緩和AIなど観光DXによる利便性向上が進行。文化財や寺社のライトアップ事業なども支援されており、IT・施設管理・交通・小売など幅広いインバウンド関連銘柄が注目対象に浮上しています。

インバウンド関連銘柄はインフラ・建設分野にも広がる

観光需要の回復に伴い、ホテル・交通網などの再整備が進み、インフラ・建設系銘柄にも恩恵が波及しています。

観光客増により宿泊・交通の供給課題が表面化

インバウンド回復により都市部のホテル不足や地方の交通老朽化が深刻化。これにより再開発・施設拡充のニーズが急増し、関連銘柄への資金流入が加速しています。

建設・不動産・空港運営なども投資対象に浮上

ホテル建設・空港整備・駅ナカ商業施設の改装などで、清水建設、竹中工務店、関西エアポート、三井不動産などの関連企業が注目。宿泊・移動の受け皿拡充が急務となる中、中長期での成長期待も高まっています。

インバウンド関連銘柄で過去に急騰した注目株の実例

インバウンド関連銘柄は、訪日客の急増や円安、ビザ緩和といったイベントに素早く反応します。特に外部要因が明確で期待感が高まる局面では、短期間で株価が2倍・3倍に跳ねた事例もあり、テーマ株としてのボラティリティが高いのが特徴です。

オリエンタルランド〈4661〉はコロナ禍のインバウンド関連で代表的な急騰銘柄

2020年初頭に発生した新型コロナウイルスのパンデミックにより、東京ディズニーリゾートは長期休園を余儀なくされ、オリエンタルランドの株価は2020年1月の高値3,215円から2,250円まで急落しました

しかし、2022年秋以降、段階的な水際対策の緩和と円安の進行により、訪日外国人観光客が急増。特に、外国人入園者数の増加や東京ディズニーリゾート開園40周年イベントによる来園需要が追い風となり、同社の業績も黒字へと転換しました。

インバウンド関連銘柄に投資する際の注意点

インバウンド関連銘柄は、外国人観光客の増加によって売上や利益が伸びると期待される「テーマ株」のひとつです。ただし、こうしたテーマ株には特有のリスクもあります。

思惑先行と実績のギャップに注意

訪日観光客数の増加や円安進行などを背景に、思惑先行で人気化する場面も多い一方、企業の業績が伴っていない場合は失望売りが起こりやすくなります。

決算内容や訪日統計データの実績を丁寧に確認することが大切です。

短期急騰後の調整局面に備える視点を

期待から急騰した銘柄は、イベント通過後に利益確定売りや需給悪化によって反落するケースが見られます。

テーマ株ゆえの“ボラティリティの高さ”を理解し、中長期の視点と冷静な損切りルールを持つことが重要です。

インバウンド関連銘柄の本質を見極めよう

こうした銘柄の多くは大型株であり、財務基盤や安定したキャッシュフローを持つ企業も多数存在します。短期的なテーマだけでなく、「中長期的に収益を伸ばせる企業かどうか?」を見極めることで、ブレない投資判断につながります。

インバウンド関連銘柄として今注目の企業

先述したように観光業だけでなく、百貨店、鉄道、ホテル、外食、小売、さらには空港やIT企業など、幅広い業種の企業に追い風が吹いています。

中でも「訪日客の消費が伸びている企業」「観光地での存在感が高い企業」「越境EC(海外からのネット通販)に対応している企業」などは、特に注目です。

オリエンタルランド〈4661〉

2024年5月~2025年8月までの月足チャート Tradingviewより引用

千葉県浦安市にある「東京ディズニーランド」と「東京ディズニーシー」を運営している企業です。訪日外国人観光客にとっても、日本旅行の目的地として非常に人気が高く、世界的にも有名な観光施設となっています。

共立メンテナンス〈9616〉

2024年5月~2025年8月までの月足チャート Tradingviewより引用

全国に「ドーミーイン」ブランドのビジネスホテルを展開している企業です。コロナ禍で一時落ち込んだ宿泊需要も、現在は外国人観光客の回復とともにV字回復を見せています。

資生堂〈4911〉

2024年5月~2025年8月までの月足チャート Tradingviewより引用

1872年創業の老舗化粧品メーカーで、国内外で広くブランド展開をしているグローバル企業です。訪日客の回復とともに、免税売上も戻りつつあり、インバウンド回復局面で業績拡大が期待できる企業です。

その他のインバウンド関連注目銘柄 

銘柄名 市場企業概要
【3086】J.フロント リテイリング東証プライム大丸・松坂屋などの百貨店を展開し、訪日富裕層による高級ブランド品・化粧品の「爆買い」需要を取り込む力が強い。大阪や銀座といった好立地に大型店舗を持ち、免税売上の回復が業績の下支えになっている。
【9603】エイチ・アイ・エス東証プライム旅行代理店大手として国内外のツアーやホテル手配を手がける。訪日観光客向けにも商品展開しており、コロナ後の国際観光回復でインバウンド事業が急回復中。また、テーマパーク「ハウステンボス」などの関連事業も展開。
【9706】日本空港ビルデング 東証プライム羽田空港の旅客ターミナルビルを運営し、施設内のテナント収入や免税店売上が主力収益源。訪日外国人の増加により、空港が「買い物と観光の場」として機能する中で安定した収益増が期待される。
【2440】ぐるなび東証スタンダード飲食店情報サイトを運営し、店舗検索・予約機能に多言語対応も進めている。訪日前に食の計画を立てる外国人旅行者が増えており、飲食店送客による広告・手数料収入の回復がインバウンド特需を取り込む鍵となる。。
【8202】ラオックスホールディングス東証スタンダード一時は訪日中国人の「爆買い」で注目された家電・雑貨小売業者。現在は業態転換を進め、越境ECや富裕層向け観光型小売へとシフト中。再成長とインバウンド復活をテーマとした中小型の短期注目株でもある。

インバウンド関連銘柄を狙う中長期投資戦略とは?

訪日外国人の増加は、もはや一過性のトレンドではなく、日本経済を支える持続的な成長要因といえます。その背景を踏まえ、中長期視点で注目したいのが「インバウンド関連銘柄」です。

世界的観光需要の拡大で中長期の追い風が続く

アジア圏を中心とした中間層の増加やビザ緩和、航空路線の拡充などにより、世界的な観光需要は今後も右肩上がりに推移すると見られています。こうした構造変化が、日本のインバウンド市場の持続性を下支えしています。

ETFやテーマ型ファンドの活用も有効

個別銘柄に加え、観光や消費関連に特化したETFや投資信託も登場。テーマの広がりを捉えつつ、リスクを分散して波に乗る手段として注目されています。たとえば、空運・百貨店・ホテル業などを含む複合テーマ型の投信は、堅調な資金流入が続いています。

インバウンド関連銘柄の業績見通しは中長期で極めて良好

訪日外国人の増加は一過性ではなく、世界的な観光需要の拡大を背景に今後も継続が見込まれています。インバウンド需要に直結する企業群には、長期的な業績拡大が期待されています。

世界的な観光需要の伸びが日本を後押し

アジア圏を中心に中間層の所得水準が上昇し、「海外旅行」が一般化。なかでも日本は「治安の良さ」「清潔さ」「食文化の魅力」などが評価され、旅行先としての人気が根強く維持されています。

受け入れインフラの強化が企業業績を下支え

地方空港の国際線対応や宿泊施設の増設、多言語対応の観光サービスなど、訪日客を迎える体制も着実に整備中。これにより、インバウンド関連銘柄は「長期の構造的成長」を享受しやすい環境が整っています。

まとめ

インバウンド需要は、単なる「外国人旅行者の一時的な動き」ではなく、日本の小売・不動産・建設・IT・物流など、さまざまな業界に経済効果が波及しています。

これは、日本経済にとって非常に重要な“成長の起点”になりつつあるといえます。

また、政府も2030年までに訪日外国人6,000万人、旅行消費15兆円という明確な目標を掲げ、【国策】として後押ししています。このように、インバウンドは「一過性のブーム」ではなく、政策・経済・インフラの連動によって支えられる構造的な成長テーマです。

今後は為替(円安など)やビザの制度、地方の観光資源の活用などがさらに進み、インバウンド関連市場は長期的に拡大していくと考えられます。投資対象としては、短期的な値動きだけでなく「日本全体の変化を支えるテーマ」として、じっくりと注目していく価値があるでしょう。

執筆者情報

nari

INVEST LEADERSを運営する顧問投資会社「日本投資機構株式会社」の代表取締役を含めたスタッフ及びサポートアナリストの記事を掲載しています。株式投資や金融に纏わる話題は勿論のこと、読者の暮らしや生活を豊かにするトピックスや情報を共有していきます。

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