イノバセルは、2026年2月24日に東証グロース市場に上場する細胞治療・再生医療を軸にした研究開発企業です。
事業セグメントは「細胞治療・再生医療研究開発事業」の単一ですので、パイプラインの価値が、企業価値に直結します。
ただし同社は、よくある単一技術・単一シーズ(技術の種)勝負の再生医療ベンチャーとは少し立ち位置が異なります。
「細胞治療・再生医療グローバルアグリゲーションモデル」を掲げて、シーズ探索から開発・商業化の組み立てまでをグローバル前提で設計しているのが特徴です。
そこで本記事では、再生医療領域の中でのイノバセルの立ち位置や収益化のポイント、IPO後に評価される可能性について、順番にわかりやすく解説していきます!
イノバセルの事業内容|再生医療のなかでも失禁領域に注力

イノバセルは、「細胞の力で、失禁を根本から治すこと」にフォーカスした再生医療の企業です。
薬で症状を抑えるのではなく、患者さん本人の細胞を使い、弱ってしまった筋肉の機能を回復させる根本治療を狙っています。
筋肉の元になる細胞を取り出して増やし、うまく働かなくなった筋肉に注入して、筋肉の力を取り戻すことで症状改善を目指すのです。
イノバセルが狙う3つの失禁領域
イノバセルが狙うのは、「失禁」の中でも「切迫性便失禁」「漏出性便失禁」「腹圧性尿失禁」の3つの領域です。
いずれも失禁症状の原因の1つである筋肉機能の回復を狙い、根本治療を目指す点で共通しています。
この3つの領域で、今は主に3本の開発が走っています。
そのなかでも注目されているのは、一番進んでいる開発品である「ICEF15」です。
これは切迫性便失禁向けで、すでに日本と欧州で最終段階に近い治験となる第Ⅲ相を進めています。
つまり、まだ研究段階の会社ではなく、実用化にかなり近いところまで来ているのです。
拡大する失禁市場を日米欧で取りに行く
失禁領域は、患者数が多いのに、根治療法が限られやすい分野です。
イノバセルの説明によれば、便失禁に悩む患者は、日本国内に約500万人いるそうです。
加えて、患者は増加傾向にあり、市場規模は拡大基調との見立ても示しています。
こうした拡大する市場において、イノバセルは国内だけではなく、米国や欧州でも販売できる体制を構築しつつあります。
同社のパイプラインである「ICEF15」は日欧で第Ⅲ相の国際共同治験を進め、さらに米国も参加国に組み入れる準備を並行して進める方針です。
最初から日米欧の主要な3地域を取りにいく設計をしている点は、IPO後に投資家の関心を惹きやすいでしょう。
イノバセルの強み|すでに製造施設を有している
もう1つ、投資家目線で気になるのは「開発した医薬品を作れる体制があるか?」なのですが、イノバセルはここも押さえています。
グループ会社が医薬品レベルの品質管理が可能な製造施設を持っていて、実際に治験で使う細胞製品の製造も担っています。
さらに面白いのは、開発品がバラバラではなく、同じ種類の細胞をベースに横展開できる設計になっている点です。
1本の開発だけに賭けるのではなく、共通の細胞・製造技術を複数のパイプラインに広げて、効率化とリスク分散を狙っています。
イノバセルの売上高規模は?決算を確認

イノバセルの2026年12月期の事業収益は10億円、経常損失は34.6億円と赤字幅が拡大する見通しです。
日本における共同販売促進契約の交渉・締結、進行中であるICEF15第3相国際共同治験の推進及びその他のパイプラインの臨床試験の準備または開始を計画しており、ICEF15に係る契約一時金として10億円の計上を見込んでいます。
イノバセルはバイオベンチャーですので、費用が先行して、赤字となりやすい企業です。
イノバセルの独自性・強み|グローバルアグリゲーションモデル

イノバセルは、「細胞治療・再生医療グローバルアグリゲーションモデル」を掲げている点で、よくある再生医療ベンチャーとは立ち位置が異なります。
これは、世界中から有望な治療のタネとなるシーズを見つけて、開発・製造・売り方まで組み立てて商業化するビジネスモデルです。
ここからは、このビジネスモデルのポイントを解説します。
良いシーズを拾ってくるのが仕事の一部
多くの再生医療ベンチャーは、「自社のコア技術1本で勝負」になりがちです。
しかし、イノバセルはそこにこだわらない方針を明記しています。
専門的な知見やネットワークを使って、商業化の可能性があるシーズを世界で発掘して、自社パイプラインに組み込んでいく考え方です。
開発の仕方と売り方を、地域ごとに変えている
細胞治療は、承認後の製造・販売も大変です。
そこでイノバセルは、パイプラインごとに最適なモデルを選ぶとしています。
特にICEF15については、承認までの開発は自社で進めつつ、承認後のマーケ・販売などは外部提携先に委託する計画が書かれています。
収益源が1つではない
イノバセルは、開発途中で商業化権を譲るライセンスアウトをした場合は、「契約一時金・開発協力金・マイルストーン・ロイヤリティなどが収益になり得る」と整理しています。
さらに欧州では製造を受託することで製造受託収入が得られる可能性も示しています。
治験が進んだら終わりではなく、提携、製造、販売といった複数の段階で収益源を用意しているのが、このビジネスモデルの肝です。
イノバセルの株価はどうなる?3つのポイントを整理

それではここからは、イノバセルの上場後の株価見通しについて考えていきます。
このIPOで注目すべきポイントは3つあります。
ポイント①|主力のICEF15が日欧で最終段階に近い治験の第Ⅲ相まで進んでいる
バイオ株のIPOでよくあるのが「前臨床〜第Ⅰ相段階で、承認まで長期間を要する」というケースですが、イノバセルは主力製品が実用化に近いゾーンにあります。
ここは投資家の目線でもかなり大きな期待材料です。
ポイント②|提携・商業化モデルが具体的で売り方まで語れている
イノバセルは、承認後にどうやって売上・利益を稼いでいくかを、最初から現実的に組み立てています。
具体的には、日本では提携先を活用して販売を行い、欧州ではグループ内で製造を担う計画です。
上場直後から製造販売の方針まで明確化しているバイオベンチャーは少ないため、IPOストーリーとしては評価されるでしょう。
ポイント③|製造拠点と品質管理
細胞治療は、実は研究以上に製造と品質管理に高いハードルがあります。
その点イノバセルは、グループ会社が医薬品レベルの品質管理の製造施設を持っており、治験用製品も製造しています。
このように、イノバセルは、第Ⅲ相まで進んだ主力案件があり、商業化の絵も語れて、さらに製造体制まで持っているという点で、バイオIPOの中でも完成度が高い企業です。
イノバセルの投資戦略と注意点

イノバセルは、治験の進捗と資金調達で株価が大きく振れやすい銘柄です。
そのため、セカンダリー投資を狙うのであれば、材料が出た時の反応と出来高が継続するかを見ながら、慎重に買いに入るのが現実的かと思われます。
ここでは、IPOの基本情報とリスク、そして実際に投資する場合の戦略について整理します。
イノバセルの初値&基本情報
| 想定価格 | 1,350円 |
| 時価総額 | 563億円(想定価格ベース) |
| 上場市場 | 東証グロース |
| 主幹事 | 野村証券 |
上場後の株価はどうなる?セカンダリー投資のポイント
上場後の株価の動きを予想する上では、「誰が株を持っているか」「今後株を売る可能性があるか」という需給バランスの見極めが重要です。
大株主にベンチャーキャピタルは確認されますが、既存株主へのロックアップは180日となっており、上場日から半年は大口の売りはないと推察されます。
セカンダリーを狙うならまずは、初値がついてから上値を追う動きとなるかを見極めましょう。
また、初値が公開価格を超えるかにも注目です。
まとめ|2月13日のイノバセルの動向に注目!

総合的に見ると、イノバセルは「再生医療・細胞医薬」という強いテーマ性に加え、単一パイプライン勝負に寄せ切らずに価値源泉を束ねていく設計が見える点が注目ポイントになります。
上場は2月13日予定で、イノバセル1社となっていることから短期資金が集中しやすい日程です。
まずは初値形成と初動の出来高が続くかを確認し、テーマ資金が残っている局面なら、押し目の作り方次第でセカンダリーの妙味が出やすい銘柄といえます。
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執筆者情報
日本投資機構株式会社 アナリスト
大学時代に投資家である祖母の影響で日本株のトレーディングを始める。大学時代、アベノミクスの恩恵も受けて資金を増やすことに成功する。卒業後、証券会社、投資顧問会社を経て2019年2月より日本投資機構株式会社の分析者に就任。モメンタム分析を最も得意としており、IPO(新規上場株)やセクター分析にも長けたアナリスト。

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